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第2話 この世界はあまりにも…

 オレ達が住むセントル大陸の北に位置する魔大陸。


 この世界の一般的な船で約1か月ほどの距離にあるその大陸は、『魔族』と呼ばれる人間達が支配している。


 魔族は、はるか昔に『融合ゆうごう』という神に愛された能力を持つ人間が、自分や周囲の人間を魔物と融合させてしまったことに起源を発する。

 当時魔大陸に住んでいた普通の人間達が、魔物と融合した人間を見た目から魔族と名付けた。

 その時は、まさか自分達が魔族の子を産まされ、後に子孫全てが魔族と言われる存在になるとは思ってもみなかっただろうけれど。


 当初の魔族は、魔物を操るような力はなかったものの普通の人間よりはるかに身体能力に優れ、魔力が大きく、融合した魔物の特徴を色濃く受け継いでいた。

 現在では交配が進んだことで血が薄れ、魔物の力を大きく有する者はいなくなったが、それでも魔族は普通の人間に比べ明らかに身体能力が高く平均寿命が長い。


 ただし、魔物の力を有するがゆえの弱点もある。

 魔族は魔物のように核を持っており、核が破壊されれば死ぬ。そして、普通の人間と同じように心臓や脳を破壊されても死ぬ。

 また、魔力が全くない空間に長時間いたり、魔力がゼロになっても死ぬ。これも核の影響だ。

 さらに、平均寿命としては魔族の方が長いが、寿命が短い者と長い者の差が極端だ。安定していない。


 アカシャから教えてもらったこれらの情報を踏まえた上で、オレの主観としては魔族も人間の範疇はんちゅうに含まれると思っている。

 主観だから、もちろん異論は認める。核を持っていれば人間ではないと定義されればそれまでだ。誰が定義するかは知らんけど。

 地球では、どうやって主観を入れずに何かを定義していたのだろうか。


 とにかく、オレ個人としてはセントル大陸の人間とほとんど変わらんと思って魔族を見ている。


 そんな魔族の王を『魔王』と呼ぶ。

 魔王は、魔大陸全土をおさめる王だ。


 魔王は世襲せしゅうではなく、魔大陸で最も強い者がなるならわしだ。


 歴代のどの魔王も、ほとんどの場合はセントル大陸で最強の者よりも強かった。

 幸いなことに、その全てがセントル大陸に侵攻してきたわけではなく、過去に魔王が侵攻してきたのは2回だけだ。

 その時も、やはりどちらの魔王もセントル大陸の誰よりも強かった。

 セントル大陸で魔王に挑んだ者達の中で主導的な立場だった者が『勇者』と呼ばれるようになるほどに。


 過去2回の侵攻では、多大な犠牲を出しつつ何とか魔王を撃退した。


 討伐ではなく、撃退だ。


 勇者を中心として弱いなりに力を合わせて、侵攻を遅らせつつ何度負けても挑んでくるセントル大陸の人間達に、魔王が辟易へきえきして侵攻を止めたというのが第1次、第2次人魔大戦の結末である。


 そして、第3次人魔大戦が避けられなくなった現在。

 やはり今回も、魔王はセントル大陸の誰より強い。

 というか、地上最強の生物だ。

 史上最強かどうかは怪しいけど。


 史上最強かどうかが怪しい理由はたった1つ。

『能力無効化』の神に愛された能力を持つ者が、かつて存在したことが複数回あるからだ。

 今代の魔王は、もしこの能力を持っていた者達と戦えば大抵負ける。


 オレは奇跡的に『能力無効化』を持った者が生まれるか、魔王がセントル大陸に興味がないまま寿命で死ぬかに期待していた。


 でも、残念ながらどちらもかなわなかった。


 今代の魔王アルカラスと戦って勝つことは不可能だ。


 オレのアカシャと情報戦をして勝てるヤツがいないのと同じ理屈。


 魔王アルカラスは、戦闘にというか、生存に特化したチートオブチート能力スキルを持っている。



 この世界に生まれてからすぐに、そしてずっと思ってたことがある。


 オレが言うのも何だけど、この世界はあまりにも、能力持ちが有利過ぎるだろ…。







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