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第186話 提案

 ノアトゥンとの話は終わった。

 去り際、改めて学園長がノアトゥンの領主に釘を刺す。



「では、くれぐれも頼みますぞ。他は気にせず、自領を栄えさせることのみに注力するのじゃ。それが、ノアトゥンのためにもスルトのためにもなる」


「分かっている。結果として我が領地が1番になるのは構わんのだろう?」



 ノアトゥン領主は苦い顔をしつつも、強がりなのか本気なのか、強い言葉を放ってきた。



「無論じゃ。今回の警告による出遅れを挽回ばんかいすること、期待しておるぞ」



 対して、ラファエル爺さんはすでに出遅れていることをハッキリと伝えた。

 そう。ノアトゥンはフリズスとミーミルに比べ出遅れは確実だ。

 フリズスは領主の評価で、ミーミルはミロシュ様との婚姻で、それぞれ一歩前に出ている。


 ノアトゥン領主の顔が悔しそうにゆがむ。



「くっ。…もう、余計な画策はせぬ。ミロシュ様に伝えてくれ」



 先程とは打って変わって弱気な態度になったノアトゥン領主。

 その言質げんちが取れただけでも、来たかいがあったというものだ。



「分かりました。それでは、次はミーミルに飛びますので、私達はこれで失礼します」



 オレがノアトゥン領主に笑いかけて言うと、仲間達が察して近くに寄ってきた。



『アカシャ。ノアトゥンの人達に見えないように光を屈折させる。サポート頼んだ』


『お任せ下さい』



 肩に乗るアカシャにサポートを頼み、光魔法で足元に魔法陣を描く。

 オレ達からは光って見える集団転移の魔法陣が、ノアトゥンの人達からは見えないように工夫して。


 その少しの間に、ネリーとベイラがノアトゥン領主にちょっとしたアドバイスをしていた。



「お城を直す時は、領主の間を城の中心に移した方がいいわよ」


「もうちょっと、頑丈につくるの」



 お前ら…。

 親切心で教えてあげてるのは分かるけどね、壊したのはオレらなんだぜ…。


 そう心の中でツッコミを入れながら魔法を発動し、今度はミーミル上空に転移した。




 その後、ミロシュ様と婚姻が決まった娘に良からぬことを吹き込もうとしていたミーミル領主にも、ノアトゥン同様の警告をした。

 ミーミル領主にもお分かりいただけたと思う。


 さらにその後におとずれたフリズスでは、城をぶち壊すことはせず、急なアポイントではあったものの普通に話し合いをした。

 今回のようにスルト中央の意図をんで動いて欲しいことや、いらぬ画策をしたノアトゥンやミーミルに警告したことなどを伝えた。


 また、これからもわきまえた行動を取り続けていれば優遇するという約束もした。

 これにはフリズスのアレハンドロさんもニッコリだった。


 そして帰ってきたオレ達はミロシュ様に報告を行い、大領地との話し合いは一段落した。


 これで、いよいよミロシュ様とスルティアの結婚における本格的な準備を始められる!




「ミロシュ様とスルティアの結婚式を、史上最大の結婚式にしようぜ!」



 だから、オレは張り切って、皆に楽しくなりそうなことを提案したんだ。


 それがまさか、あんなことになるなんて、この時点では全く予想していなかった。







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