第178話 側室候補
「スルティアが、ミロシュ様の求婚に応じました」
アカシャが報告を入れてくれる。
プライベートなことなのでオレ達は盗み見しないようにしていたが、とはいえ結果だけは早く知りたかった。
だから、アカシャに決まったら結果だけ教えてくれと頼んでいたのだ。
「おおー! やったねミロシュ様!」
「スルティアも良かったわねぇ」
「僕は何となく、上手くいく気がしていたよ」
「あたちも、あたちも!」
オレの屋敷の談話室でそわそわしながら待っていたので、みんな朗報に沸き立った。
「では、後はどう実現するかだけですね。我々の出番というわけです」
ジョアンさんが顎鬚を撫でる、いつもの考えるポーズをしながら言った。
その顔に不安はない。
頼もしい限りだ。
宰相はオレ達も全面協力するという話をしたとき、本当に泣きそうになりながら感謝してくれた。
スルティアとミロシュ様のためにというのはもちろん、苦労人な彼のためにも、いい形での実現を目指したいと思う。
「リストはアカシャが出してくれた。オレ達はこれから、それを使って側室を探すことになる。誰かが泣きを見るような政略結婚にするつもりはない。皆が幸せになれる状況を作りだすために、『情報』を使って全力で事に当たる。いいな?」
オレはテーブルの上に印刷というか、魔法で出力した紙を積んで、皆に話しかけた。
「ええ」
「もちろんよ!」
「オッケーなの!」
「一緒に頑張ろう」
皆、笑顔で快諾してくれる。
最高の仲間たちだぜ。
宰相や学園長や『大賢者』の爺さん、ギルマス達も巻き込むか。
人手は多い方がいいし、何より今回の側室候補達は大陸中の身分が高い女性達だ。
以前から身分が高い彼らと面識がある人物もいるだろう。
国の未来を大きく左右することだ。
彼らも協力を断りはすまい。
というか、できねぇよな…。
ちなみに、ミロシュ様の側室候補でオレが今1番気になっている人物は、リバキナ元女王のソラナさん。
彼女は未婚だし、人柄も素晴らしい。
決して行き遅れではないという言葉に偽りがなければ、こういう機会を待っていたのかもしれない。
いや、あの発言、真偽判定に引っかかってたような気もするけど…。
後で確認しとくか。
まぁでも、少なくとも1度は話を持っていきたい人だ。
オレだけでなく仲間うちでも、ソラナさんはどうだろうという話が、スルティアが答えを出す前から出ていたくらいだからね。
最初に会いに行くのは、きっとあの人だろう。




