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第174話 おかえり

「よーし。じゃあ、転移します。用意はいいですか?」



 屋敷に全員が集まったので、皆に声をかける。

 ミロシュ様、ジョアンさん、ワトスンさん、ネリー、アレク、ベイラ、スルティアがそれぞれうなずく。



『ご実家の玄関前、転移可能です』



 全員が頷いたのを見て、アカシャが実家の前に人がいなくて転移可能であることを伝えてくれる。



「”集団転移”」



 魔法を使うと一瞬で景色が入れ変わって、ゴードン村の実家の玄関が目の前に現れる。


 ちなみに、今の実家はオレの生家せいかではない。

 以前より裕福になったし家族も増えたので、建て替えたのだ。

 今日みたいに、オレ達が遊びに来ることもあるしね。


 玄関のドアを、コンコンと2回ノックする。



「はーい」



 アン母ちゃんの声がして、パタパタと足音が近づいてくるのが聞こえる。

 なんかもう、これだけでも平和だなぁって思えちゃうな。


 ガチャリとドアが開き、ニコニコと笑った母ちゃんの顔が見える。



「あらあら、いらっしゃい。待ってたわよ。皆さんも、こんな田舎まで。遠かったでしょう?」


「ただいま、母ちゃん。転移で来たから、遠くはねぇよ」


「そうなの? 相変わらず便利ねぇ。さ、あがってあがって。貴方たちが来るって言うから、ジードもアルもジルも家にいるわ」



 転移のことを分かってるのか分かってないのか、よく分からん反応をする母ちゃんが、笑顔のままオレ達を招き入れてくれる。



「農民の家の中に入ったのは初めてだが、立派なものだな」


「私も初めてですが、主殿の実家ですからね。普通ではないでしょう」


「いやいや、この村の家はどこもこんなもんですよ。今はね」



 ミロシュ様とジョアンさんがオレの後ろでささやき合っていたので、オレはこの家の大きさがこの村で特別大きいわけではないことを伝えた。



「なに? それでなぜ、この村のことがうわさになっていない? そんな話は聞いたことがないぞ。いや、セイの実家があるなら、そういうことか…」



 ミロシュ様は、この村の情報が自分のところに来ていないことを疑問に思ったようだ。

 ただ、すぐに原因にも思い当たったらしい。



「そういうことなの。あたち達もこの村のことは全力で守ってるの。ミロシュ様達も協力するの」



 ベイラがオレの頭の上でドヤ顔で語る。

 この村のことが外に漏れないようになってるのは、オレとアカシャだけじゃなく皆で協力して内緒にしているからだ。


 この村は今、世界樹の庭のように、偽装されている。


 言いふらしたりさえしないでくれれば協力を強制するつもりはなかったけれど、もしミロシュ様の権力とジョアンさんの知恵が加わればより鉄壁の守りになるので、協力してもらえるならばありがたい。



「無論、協力いたしましょう」


「ああ、もちろんだ。この村が含まれている領地をやろうか? 正直、お前の功績は大きすぎる。これまで与えた褒美が功績に見合わず困っているのだよ」



 ジョアンさんもミロシュ様も即答で協力すると答えてくれた。

 ありがたいことだ。


 でも、ミロシュ様の提案はどうしようかな?

 魅力的な提案だけど、問題もある気がする。

 皆で話し合って決めたいところだけど、今はその時ではないよな。

 ちょうど、リビングについたところだし。



「ありがとうございます。その辺りは、また後で皆で話し合いましょう。ひとまず、オレの家族を紹介しますよ」



 アン母ちゃんが先に入っていったリビングに、続いて入る。


 中には、ジード父ちゃん、セナ婆ちゃん、アル兄ちゃん、ジル兄ちゃんが勢ぞろいしていた。

 アル兄ちゃんの奥さんであるケイト姉ちゃんもいて、去年生まれた2人目の子供を抱いている。

 3つになる1人目の子供は、アル兄ちゃんと手を繋いでいた。


 ジル兄ちゃんの奥さんもいて、赤ちゃんを抱いている。今年生まれたばかりの、ジル兄ちゃんの子供だ。



「セイ! 元気そうで安心したぜ! おかえり!」


「セイ、おかえり!」


「セイ。よく帰ってきたな。おかえり」



 アル兄ちゃん、ジル兄ちゃん、父ちゃんが、相変わらずのいたずらっぽい笑みを浮かべて迎えてくれた。


 オレも笑って答える。



「皆、ただいま! ミロシュ様、ジョアンさん、これがオレの家族です」









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