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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第3章 大陸動乱

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第98話 国際大会の開催

 ウトガルド城の僕の部屋に将軍が訪ねて来た。


 入ってくるなり、将軍は開口一番でこう言うた。



「スルトが国際大会を開催することに決めた」



 ベッドでゴロゴロしとった僕は、飛び起きる。


 将軍からその情報を聞いて、僕はしめたと思った。

 けど、次の瞬間には、なんでやという気持ちが湧いてきた。


 僕の『解析』の能力スキルは、開催しない方がスルト有利と出しとった。


 スルトが判断を間違えたんやったら良い。でも、こちらの情報が足りなくて解析しきれとらん可能性の方が圧倒的に高いやろうな。



「……スルトは大会を開催しないと読んどったんやけどね。何か、僕らが知らん理由があるんやろな」



 僕は将軍に、単純に喜んで良い状況やないってことを伝えた。



「だろうな。だが、分かっていても当初の予定通りに動くしかないのが現実だろう?」



 その辺のテキトーな椅子に掛けながら、将軍が僕に問うてくる。



「まぁ…、せやな」



 元々、詰みを逃れるにはこれしかないって手やったからな。

 スルトに勝つには、結局この手にすがるしかない、か。



「国際大会の間にスルトに敵対する国々と連絡を取り、同盟を組む。そして国際大会後、連合軍の総力をもってスルトを力で叩き潰す。何とかここまで持っていくしかない」



 将軍は自らに言い聞かせるように話す。


 将軍もこの気持ち悪さは感じとるようやな。



「問題は、スルトだってウチらにそれしか選択肢がないことは分かってたはずだっちゅうことや。ウチらからすると、大会が開催されない方が同盟は組みにくい。やのに、開催することにした…」


「何か理由があるはずということか」



 僕の言葉の続きを受け取った将軍に対して、うなずく。



「まともな情報が得られんこの状況やと、たぶん理由を正確に掴むことはできん。やから、あらゆる予測を立てて、全部に対策を考える。そん中の1個でも当たっとったら、勝ち目があるかもしれん」



 正直、もう詰んどってもおかしないくらいには勝ち目は薄い。


 でもウチの王様は全く諦める気ないらしいし、僕もあの甘ちゃん達は嫌いや。

 このままやられるんはオモロない。


 せめてアイツらが最も嫌がる方法で足掻あがくだけ足掻いたるわ。



「うむ。商人達からの噂の買い取り額をさらに上げよう。どんな些細ささいな情報でも、新しい情報であれば高額で引き取る。貴様の『解析』の役に立つだろう」


「そらどうも。できればもっと早くやって欲しかったけどね」



 将軍の言葉に感謝しつつも、チクリと言い返す。


『真偽判定』があるんや。偽の情報を掴まされることはほぼない。

 商人自体が偽情報をホンマの情報と信じ込んどる場合はどうにもならんけど。


 僕の『解析』は情報が多ければ多いほど精度が高まる。

 ずっと前から言っとんのに、情報の価値を軽視しすぎなんや。


 こんだけ"情報使い"にやられとってなお、とるに足らない情報が多すぎるなんて言っとる奴らの気がしれん。


 僕が王やったら、クビやで、クビ。



「あ、そうそう。国際大会、僕も行くことにしたから。護衛は『拳聖』でよろしゅう」



 僕が思い出したようにそう言うたら、将軍は大きなため息をついた。



「ステファノス、貴様の参加は最初から決定していた。貴様に決定権などない。護衛に関してもだ」



 将軍は頭痛がしたのか、頭を抑えながら言うてくる。


 いやー、困ったなぁ。

 でも、ここは引き下がれんのや。



「たぶん、『拳聖』を中心とした最精鋭で囲んどかんと死ぬで。僕」


「は?」



 将軍はその可能性を全く考えとらんかったようやなぁ。

 マヌケな顔しとる。



「それくらいせんと暗殺されるっちゅうこと」


「いや、しかし、王に当てるべき護衛を貴様に当てるわけには…」



 しどろもどろしてる将軍に対して、僕はメッチャ馬鹿にした顔をして言ってやった。



「王が国際大会中に死んだら、スルトの信用がガタ落ちになるやろ。でも、僕ならそこまででもない。せいぜいめるくらいや。いいから僕を護衛しとき。どうしてもと言うなら、王様と僕をまとめて護衛すればいいやろ」


「いや、だが、ステファノス…」



 未だにゴチャゴチャ言うとる将軍に、トドメの言葉を投げかける。



「僕が死ねば、確実に詰みやで。分かっとるんやろ?」



 嫌らしい笑みを浮かべて、将軍を見る。


 こうしてバカを高みから見下ろすのが、僕の趣味の1つや。


 楽しすぎる。



 将軍は簡単に折れた。

 王様の許可も取れた。



 でも結局、いざ国際大会の開催地であるスルトへ向かった時。


 暗殺どころか、魔法の気配すら感じることなく、平穏な旅路で終わった。


 それは事前に立てた予測の中で、最悪と考えた事やった。


 なぜなら、スルトにはそれだけ余裕があるっちゅうことやから。


 少なくとも僕は、ウトガルド最強の護衛を突破してまで暗殺する価値はないと思われたっちゅうことや。


 異常に発展したスルトの姿に驚きながらも、僕は心に誓った。



 その余裕、絶対に焦りに変えたるわ。






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