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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第3章 大陸動乱

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第36話 情報戦

 あの後、カオスとなった空気の中で勇者が現れたことで何とか結果的には予定通りに落ち着いた。



「ごほん…。王族の前ということで見栄みえを張ってしまいましたが、スルティア殿と我々は仲間、友人なのです」



 そう言ってくれたジョアンさんの言葉をきっかけに、今度はいつも通りのスルティアとオレ達の関係のまま改めて自己紹介が行われた。


 スルティアが本物であることは、部屋の中で『支配者権限』を使うことで理解してもらえたと思う。


 部屋にいきなり花が咲き乱れたり、それが消えたり、魔法でも再現は無理だからな。


 何なら、後で『真偽判定』を使っても構わないって話もしたし。


 まぁ、スルティアが味方っていう正当性がなくても味方になってくれるつもりだったエレーナ先輩だから、確認の必要はないって言ってくれたけど。


 それより、エレーナ先輩の懸念点は別にあったようだ。



「お母様と弟は、守ってくれるのでしょうね?」



 軽く緊張した様子でそう聞いてきたことが印象的だった。


 当然、守るつもりだ。

 エレーナ先輩にも心配しなくていいと伝えてある。


 オレへの登城とじょう命令は、おそらく明日来るだろう。

 行けば騎士団長に切られるから、これは体調不良ってことで断る。

 王はこれに難癖をつけてオレを反逆者にするつもりのはず。


 ここで、エレーナ先輩にはオレを擁護ようごしてもらう。

 まだ話をしていないが、ミロシュ殿下にもだ。


 この瞬間、王家が真っ二つに割れる。


 このときにエレーナ殿下の母親である第2王妃と、弟のキャメロン君は、王城にいれば実質人質になってしまう。

 キャメロン君なんて、命すら危ないかもしれない。


 だから、まだオレへの登城命令すら出ていない明日の朝のうちに、第2王妃とキャメロン君には城下に買い物に出てもらう。


 以前、兄ちゃん達にやったように、アカシャを使いに出すのだ。


 魔法が使えない王城でも、神に愛された能力は使える。


 王もオレが王城内の情報を読み取れることは警戒していたが、連絡をとれるとは全く考えていないようだった。


 王城から出てしまいさえすれば、何とでもなる。

 明日、第2王妃とキャメロン君は買い物中に突如とつじょ姿を消すのだ。


 仮にこれが失敗しても、別の手段もある。

 全ての情報を手に入れられるオレにとって、抜け道なんていくらでもあるんだよな。

 優先順位の低い手段ほど、オレの手札の公開が増えるから、できれば一発で決めたいところだけど。


 ま、成功するだろ。

 第2王妃の警備にはまだ何も知らされてないことは分かってる。

 現状で買い物する許可が通らないことはない。


 というわけで、エレーナ先輩の方は問題ない。


 あとは、ミロシュ殿下だけど…。





「ジョ、ジョアン・チリッチ殿…。貴方あなたが、なぜここに?」


「お久しぶりです。ミロシュ殿下。大きくなられましたね。覚えていていただけて、光栄です」



 特に調べてなかったけど、ジョアンさんとミロシュ殿下は顔見知りだったらしい。


 魔導王国は『叡智えいち』が消えたことを今も必死になって隠してるから、そりゃここにいれば驚くよね。



 学園の寮からスルティアのダンジョン間転移でイザヴェリアの領主館に戻ったオレ達は、今度はアレク以外を透明化してミロシュ殿下の代官屋敷を訪ねた。


 そして応接間で透明化を解くなり、ミロシュ殿下がジョアンさんの存在に驚いた。


 オレもその反応に驚いた。


 ミロシュ殿下が後継者候補として厳しく教育されていた頃だろうから、10歳未満のはずだ。

 アカシャに聞くことを思いつきもしなかったね。

 よく覚えてたものだ。



「昔話に花を咲かせているところ申し訳ないですが、ミロシュ殿下。先にこの屋敷にいる、王と通じている者を始末してもよろしいですか?」



 オレは失礼を承知で、にこやかに話を遮って質問をした。


 ミロシュ殿下はエレーナ先輩と違って、自然な形で事前に邪魔者を排除する力はないからね。


 それにミロシュ殿下は頭がいいから、この質問が何を意味するか分かるだろう。

 つまり、ミロシュ殿下がどう答えるかで、協力してもらえるかどうかも9割方決まると思っていい。



「…ああ。君が望むのなら、私に否やはない。よろしく頼む」



 ミロシュ殿下は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真面目な顔でそう答えた。


 ふむふむ。この反応…。

 たぶん、屋敷に王の息がかかった者がいることは気付いてたな。

 それに、オレが協力を求めるなら応じる予定もあったのかも。



「ありがとうございます。…だってさ。残念だったね、そこの人。今まで泳がされてたから、大丈夫だと思った?」


「ひっ…」



 この部屋にいたミロシュ殿下の護衛の1人に話を振ると、彼は悲鳴を上げながら逃げ出そうとしたが、一瞬でアレクが後ろに回って気絶させた。



「別の部屋にあと2人。情報戦は、一方的にオレ達が勝つ。誰を敵に回したか、これから本当の意味で理解してもらおう」



 仲良くしてくれれば、こんなことにはならなかったのに。


 でも、なってしまったものは仕方がない。

 全力で叩き潰す。







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