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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第3章 大陸動乱

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第30話 権力というもの

『ワトスンレポート』が手に入ったという報告が来た。


 想像していたよりはるかに早く手に入ったな。


 セイ・ワトスンの能力を考えると、かなり難航するかと思われたが…。


 王城での会話すら把握はあくされているというのは、さすがに杞憂きゆうだったか?

 一応、以前に騎士団長からそういう報告が上がってはいた。

 私は信じていなかったのだが…。



「こちらが現物でございます」



 玉座の間で、宰相から手渡された『ワトスンレポート』に目を通す。



「なんだこれは…。具体的すぎる…。これでは、我々が参考にすることはできんな」



 宰相に視線を向け、手にした羊皮紙をひらひらと振る。

 期待していただけに落胆を隠しきれない。


 羊皮紙に書いてあったのは、ギザール商会の各店舗で今月撤去(てっきょ)すべき商品、新たに置くべき商品の羅列られつだ。


 驚くべきは、全ての店舗において内容が異なること。


 それはつまり、店舗ごとの最適な商品群を予測しているということであり、他では真似ができないことを示していた。



「はい。しかし彼の能力の一端いったん垣間かいま見ることはできました」



 宰相は頭を下げ、ひざまずいたまま、冷静な声で話した。


 確かに、ワトスングループのすさまじい伸びを考えると、この内容が根拠なしに書かれているものでないことや、この通りにすればギザール商会が上手くいくのであろうことが分かる。


 セイ・ワトスンの能力で、少なくとも()()ができるということが分かったのだ。


 しかし、こんなことができるのか。


 ここまで、できるのであれば…。



「どう思う…?」



 私は判断がつかず、宰相に意見を求めた。



「正直、分かりません…。こんなことができるのであれば、これまでできないと予想されていたことが、なぜできないのかという疑問が生まれてきます」


「やはりそうか…。も同意見だ。奴は全ての情報を得られると思っておくしかない。振り出しに戻りおったわ」



 羊皮紙をぞんざいに床に落とす。


 くっ。このワトスンレポートを手に入れれば、奴の能力の秘密に近づけると思っておったのに。



「いえ。振り出しではありません。現在の情報では正確には分からないというだけで、少しずつ正体に近づいていることは間違いありません」



 宰相はあくまでも冷静に意見を述べる。


 優秀な男だ。


 だが…。



「それでは、それでは遅すぎるのだ…」



 私は弱気が他の者に悟られないよう、限りなく小さい声でつぶやいた。


 目端めはしく者は、すでに少しずつ奴に接触し始めている…。


 権力というものは、まわりをませる者に宿やどるのだ。

 逆に、周りを富ませられない者からは去っていく。

 それは歴史が証明している。


 このままでは…。


 このままでは…。


 ノバク……。








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― 新着の感想 ―
[良い点] ほぼ、ここまで一気に読ませていただきました。 練り込まれている世界観等に感服と キャラクター達への愛情がたっぷり詰まった素晴らしい作品です。 今後も更新を楽しみにしております。 [気…
[一言] 毎回更新楽しみにしてます!
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