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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第3章 大陸動乱

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第18話 ヘニル領地改革

 沈没船探索から戻った後、オレ達は残りの夏休みを使って、領地経営に手を付けることにした。


 オレとアレクとネリーはそれぞれ別行動することになったが、2人とも上手くいっているようで良かった。


 オレの方はというと、ここまでの日程では、スタンにどこをどう改善すれば領地が改善するかという情報を、まるで領地を見て回ってきたかのように伝えることがメインだった。


 スタンはその情報を元ヘニル王であるヘニル領主に伝え、相談し、計画を立て、指示を出すことに奔走ほんそうしていた。


 ちなみに、似たようなことは戦後にオレがコンサルタントとして領地経営にかかわり始めてからすでにやってきた。

 その結果のさいたるものがミスリル鉱床こうしょうの発見である。


 ゆえに、最初は戦勝国の人間の指示だからと渋々(しぶしぶ)したがっていた者達も、今では迷いなく従ってくれる者が多くなった。

 もちろん、感情的な問題などもあり、全員ではないけれど。



「なにぃ!? ミスリル鉱床の視察しさつに行くから付き合えだとっ!? セイ・ワトスン、貴様、私を殺す気かっ!」



 元は王城である領主の城の会議室で、オレの言葉を聞いたスタンは、つばを飛ばすようないきおいでツッコんできた。


 スタンは領地改革でメチャクチャ忙しく、目の下にクマができていた。

 まぁ、半分はオレのせいだ。

 とはいえ、急げとは言ってないし、ゆっくりやっても劇的に改善するので、半分はスタン自身の責任だと思う。



「いやいや。逆だよ。お前が過労かろうなのは知ってるから、視察でもして羽根を伸ばしたらどうかってこと」



 オレはスタンをなだめるような調子で話した。


 少なくとも、今の状況なら視察に行った方が睡眠時間は多く取れるだろう。


 領地経営なんて、商売でもそうだけど、ゴールが決まってないものは、突き詰めれば仕事は無限にある。

 できる限り全部やろうって考えると、いくら時間があっても足りないものだ。


 思い切って、今日はこれだけと決めてやることも重要なんだろう。たぶん。


 ようするに、スタンは真面目すぎるってことだ。


 どうせ休めって言っても、私には責任がとか言って休まないだろうから、強制的に他の仕事ができなくなるような仕事をるのが良いだろう。



「なるほど。それは良い提案ね」



 元『肆天してん』、今は『弐天にてん』のカロリナ・アザレンカがオレの提案に相槌あいづちを打つ。

 わりと切実せつじつ声色こわいろだ。


 四天将は現在は二天将と名称を変え、主に領主かスタンの護衛と仕事の補佐をしている。

 つまり、スタンが頑張りすぎているあおりを食っているのだった。

 彼女の目にも、化粧けしょうでは隠しきれないクマがある。

 美人が台無しであった。



「俺も俺も! 俺も行くぜ!」



 元『弐天』、現『壱天いちてん』のヤニク・イスナーも大喜びで手をげてアピールする。

 修行以外はいいかげんな男である彼からすれば、今までの状況はかなり過酷かこくだったのだろう。

 スタンとカロリナに怒られながら、仕方なく真面目に仕事をしていた。



「き、貴様らまで…。領主様、いかがいたしましょう…?」



 2人の様子に困ったらしいスタンが、領主様に判断をあおぐ。



「はぁ。行ってこい。ワシもお前は働きすぎだと思っておった。莫大ばくだいな利益が見込めるミスリル鉱床は最重要案件でもある。こちらは何とかしておこう」



 ヘニル領主はため息をつきながらも許可を出した。

 アカシャの試算でも、3人が抜けても問題がない計算だ。

 すでにオレが渡した情報は通達つうたつされ、忙しさのピークは過ぎた。


 最悪、結果待ちでもいい状況なのだ。

 あせり気味のスタンが次々(つぎつぎ)と新しい仕事を入れているだけで。

 領主はその辺りをちゃんと分かっているようだ。



「かしこまりました。セイ、そういうことだ。我らも同行しよう。だが貴様、まさかただ見に行くだけではあるまいな?」



 仕事中毒のスタンがオレをギロリとにらんでくる。



「もちろん。せっかく行くんだ。計画を大幅に前倒しにする。協力頼むよ。それから、領主様、今も鉱夫こうふの募集はやっていますよね?」


「うむ。当然だ」



 オレの質問にヘニル領主がうなずく。



「スルトですでに集まっている分の出資金をお渡しします。給与はもっと上げましょう。また、鉱夫や精錬せいれんの職人だけでなく、医者や商人などを始めとしたあらゆる職種で移住者の希望をつのって下さい」



 オレは領主に要望ようぼうを伝える。



「まだ集落とも呼べないほどの拠点きょてんしかないのだぞ。時期尚早じきしょうそうなのではないか?」



 領主がオレの意見に対して難色なんしょくしめす。



「……あ。やはり、()()は貴様の仕業しわざだったのか!」



 オレの意見を聞いた後に何かを考えていたスタンが、領主の言葉をきっかけにピンときたのか大きな声を上げた。


 あの時、ヘニル王としてスタンと一緒に来ていた領主も、スタンの言葉にピンと来たようで、目を見開いてオレを凝視ぎょうしする。


 オレはニヤリと笑った。



「イザヴェリアと似たようなことをする予定です」



 ミスリル鉱床も浮遊大陸と同じで、仕事の創出そうしゅつが優先ではない。

 時短していいところは時短してしまおう。


 オレは領主やスタンと詳細を話し合った。







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