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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第2章 学園の支配者

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第99話 弟弟子

 師匠、か。

 ひと目見ただけで分かるとは、さすがだな。


 確かに、オレが使っている剣術の型は『弐天にてん』ヤニク・イスナーの師匠の物だ。


 この世界にある、魔法と併用した剣術の中から、オレがイメージしやすい物をアカシャにいくつか選んでもらって、決めたのがこれだ。


 イメージだけは真似出来ないから、オリジナルだけどね。



 ちらりとバビブ3兄弟達の動きを確認する。


 スタン達がすぐに攻めて来ないなら、少し時間稼ぎをするか。



「驚きましたか? 師匠そっくりでしょう。オレはあなたの弟弟子ということです」



 オレは『弐天』に笑いかける。


 いつ攻撃されても完璧に対応できるよう切り札を使っているが、敵2人の身体情報を視る限り、今すぐ攻撃してくることはなさそうだ。



『ヤニク・イスナーは驚愕と困惑、スタン・バウティスタは警戒と困惑といったところでしょうか?』


『ああ。オレもそう思う』



 アカシャが2人の身体情報から心理状態を推測した。

 感情については自信がないからか、答え合わせがしたそうな口調だった。


 たぶん、合ってると思う。表情的にもそんな感じだし。



「お前が、俺の弟弟子だと? ありえねぇだろ。師匠は、お前くらいの年齢のヤツが赤ん坊の頃に亡くなった」



『弐天』がいつもの飄々(ひようひょう)とした感じとは違った、険しい表情で言う。


 そうだね。直接教わったことはない。

 でも、動きをトレースさせてもらったから、師匠みたいなものだとは思っている。



「そうかもしれませんが、オレが師匠に剣を教わったことに変わりはないです」



 そこまで言った時、スタンの身体情報に動きがあった。

 心理状態はおそらく、覚悟。


 直後、スタンの風纏かぜまといにも変化が出る。


 オレはその場でジャンプをした後、魔法で出していた足場を消し、"浮遊"に切り替える。

 細かい動きをしたい時は浮遊の魔法の方が便利だ。


 先程までオレの首があった位置を風の刃が通り過ぎる。


 さらに追って放たれた3つの風の刃が襲って来たが、少しだけ位置を調整することで回避した。

 アカシャのおかげで安全地帯は見えているからな。



「誰であろうと切る! そうだろう、ヤニク!」



 一旦攻撃を止めたスタンが叫ぶ。


 その声を聞いてだろう、『弐天』の身体情報が急激に変わった。

 こちらもやはり、覚悟とか決意とかそういった心理状態に変わったに違いない。


『弐天』の持つ日本刀みたいな剣に水が結集していく。

 構えからみると"一閃いっせん"。いや、溜めや筋肉の強張りが違うから"連閃れんせん"か。



「"連閃"」



『弐天』は"宣誓"と共に抜刀。

 "一閃"ほど全力で振り切らないことで、その後返す刀で飛ぶ斬撃をいくつも生み出す。


 刀を振り始める直前に身体情報から斬撃の軌道と規模を予測。

 安全地帯に動き始める。


 振り始めた瞬間に確定。予測通り。

 回避完了。

 次の斬撃の回避準備。


 そうやって、全ての飛ぶ斬撃を最小限の動きで回避していく。


 スタンも追撃に加わって風の刃を飛ばしてくるが、同じだ。


 安全地帯がなくなるような場所に回避しないようにだけ、気をつけないとだな。



「くっ、これならどうだ!!」



 れたスタンが、魔力の温存を諦めて面攻撃を仕掛けてきた。

 横向きにした竜巻のような攻撃。


 もし無防備な状態で直撃すればズタズタだっただろう。


 でも、竜巻が発生した直後にはオレはすでに別の空域にいた。

 再び透明な足場を空中に作り出し、それを蹴って大きく横に移動したからだ。


 空中で急に高速移動したいときは、浮遊魔法よりこの方法の方が速い。


 仕切り直すのか、移動した先に2人からの追撃はなかった。



「スタン様、すまねぇ。アイツの剣があんまりにも()()()()()()()で面食らっちまった」



『弐天』がスタンに声をかけた。

 弟子どうこうより、師匠と全く剣筋が同じだったことの方に動揺していたらしい。



「気にするな。しかし、どうする? 今ので分かったであろう。あれは魔力を温存しながら勝てる相手ではないぞ」



 スタンは魔力の温存を止めるつもりのようだ。

 いよいよ全力でくるのかな。



「そうだなぁ。『刹那せつな』持ちと戦ってるみたいな感覚だ。後のことを気にするのは止めるしかねぇな」



『弐天』は溜め息を付きながら正眼に剣を構える。


 彼の水纏から無数の水球が分離して空中に漂い、形を変えて無数の水の剣になっていく。



「オレを倒しても、魔力を温存できないなら戦争はスルトの勝ちだ。分かってるんでしょう? これが最後の忠告です。今すぐ撤退してください」



 オレは、半ば答えが分かっている忠告をした。



「全力でお前を倒す。運良く魔力が残れば、ヘニルの勝ちも見えてくる」



『弐天』が答える。



「スタン…」


「くどい! 私の答えもヤニクと同じだ!」



 スタンの方を見ると、聞くまでもなく即答された。


 風纏の風がいっそう強く吹き荒れている。



『仕方ありませんね。情報が足りていないから、奇跡にすがろうとするのです』



 切り札で同化しているアカシャが、容赦のない感想を言う。


 でもまぁ、そういうことだよな。



「そうか。仕方ない。来いよ、分かりやすく叩き潰してやる」



 オレも炎纏の火力を上げ、2人に手招きする。

 炎纏の炎の色が、不完全燃焼のオレンジから、完全燃焼の青に変わっていく。


 情報を支配すれば、戦う前から勝っている。

 それを結果で証明しよう。







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