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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第2章 学園の支配者

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第63話 ラウル・バウティスタ

「ご主人様、お目覚めの時間です」



 アカシャの声を聞いて目覚める。


 アカシャはいつもオレが最高の体調になるように起こしてくれるので、今日もスッキリ起きられたが、何か少しだけ違和感がある。



「うーん…。今何時だ?」


「10時です」



 少し考えてから時間を聞くと、いつもよりかなり遅い時間だった。

 それを聞いて納得する。



「ああ、昨日は色々あったからな…」



 昨日は本当に色々あった。


 ダンジョンを踏破して浮遊大陸を手に入れたところから始まった1日だったけれど、何よりオレもアカシャも想像もしていなかった夜の出来事にこそ価値があった気がする。


 1泊してくると言っていたネリーが突然トンプソン家を出たとアカシャから聞いて、直前の状況を見せてもらったオレは寮を飛び出した。


 結局ネリーには特別何かしてやれたわけでもなく、オレの話をして、ネリーの話を聞いただけだったけどな。

 でも何となく、ネリーの心を軽くしてあげられたような気はする。


 オレ達が寮にかえると、ネリーを迎えに行ってくるとだけベイラに伝えて自室の窓から飛び出したせいか、アレクどころかスルティアまでがオレの部屋にいた。


 オレとネリーはそれぞれ、みんなに自分のことを全部話した。


 オレの話は、特にアレクには嫌われても仕方がない内容だと思っていたけれど、全員が受け入れてくれて、少し泣けた。

 いい仲間を持って、オレは幸せだ。

 これからもずっと仲良くしていきたいと思う。


 その後はアレクとベイラとスルティアも自分達の話をし始めて、夜遅くまで暴露大会みたいな感じになった。


 オレはアカシャを通じてみんなのことを知っているつもりになっていたけれど、どんな人生を歩んできたかは知っていても、その時どんな感情だったかは知らない部分がたくさんあって新鮮だった。


 ネリーがアカシャも話してみればって言ってくれたので、アカシャも暴露大会に加わったが、徹頭徹尾てっとうてつびオレの自慢話でメチャクチャ恥ずかしかった。



「まだ付き合いは短いけれど、僕はみんなのことを仲間以上に、家族のように思っているよ」



 みんなの話が一通り終わったあとのアレクの言葉に、全員がすぐにうなずいた。


 オレも生涯、みんなのことを大切にしようと思う。




 さて、昨日は素晴らしい1日だったけど、今日は今日でやりたいことがあるからな。

 そろそろ動きますか。



「ベイラ、起きろ。昨日言っただろ、今日はバウティスタ君を見送りに行く」



 まずはベイラを起こして朝メシ食って、ネリーとアレクと合流だ。






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「ただいま戻りました。父上」



 スタン・バウティスタ君が自分の屋敷でひざまずく。



「うむ。先触れで簡単な報告は受けている。スルト国はどうであった?」



 まるで玉座のような椅子に座って息子を見下ろすのは、ヘニル国の公爵ラウル・バウティスタだ。

 ひげが本体みたいな、デカいドワーフと言われても納得できる、いかつい赤毛の髭のおっさんである。



「全体としては弱体化しているかと。しかし、戦争は取り止めるべきと感じました」



 話したかいがあったのか、スタンは父親に戦争の中止を進言してくれた。



「なんだと? 大会で負けて臆病風に吹かれたか。ミカエル・ナドルはそんなに恐ろしい相手だったのか?」



 明らかに気分を害したような顔をしたラウル・バウティスタは、スタンをバカにしたような言い方をした。



「ミカエル・ナドルは確かに強かったですが、四天将してんしょうほどではありません。他にも、連れて行った『鑑定』持ちで『常勝将軍』なども見て参りましたが、出てこないと思われる『大賢者』と『賢者』以外はどうにかなるでしょう。1人だけ、鑑定できない者がいたのは気がかりですが」



 鑑定できなかったのはオレのことだろうけど、スルト国の大人を全部見たわけでもないのにスタンは思い切ったことを言うなぁ。



「ではなんだというのだ!!」



 ラウル・バウティスタは怒りを抑えきれない様子で、語気を強めた。



「浮遊大陸での貿易。これが叶えば戦争以上の利益を見込めます。逆に、戦争に勝ってスルト国の一部を手に入れても、この貿易から外されれば我が国はいずれ立ち行かなくなる」



 スタンは父親と反対に冷静に話す。

 ここまで言ったわけではないけれど、帰りの道中できっとしっかり考えていてくれたんだろう。



「それはお前の思い込みだ! むしろその貿易が始まればスルトとの国力は開く一方になる!」



 ラウル・バウティスタがスタンの言葉を切って捨てる。


 思い込みってなんやねん。

 あんたのそれは思い込みではない根拠はなんなんだよ…。



「父上!」


「バカものが。何年かけて準備をしてきたと思っておる。今更引けるか!」



 ダメだったか。


 頭が固いおっさんには、取り付く島もなかったな。



「アカシャ、ここまででいいよ。ありがとう。もし進展があれば教えてくれ」


「かしこまりました」



 オレは授業中にアカシャから見せてもらっていたライブ映像を切った。


 どうしようかな。


 このままだと戦争は不可避だ。


 ラウル・バウティスタを暗殺するのは簡単だけど、それはそれで戦争起こりそうだし。


 戦争が起きるのは仕方なしとして叩き潰すか、あくまで戦争を止めるか。


 みんなに相談しようかね。





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― 新着の感想 ―
主人公が仲間に対して、救わない選択をした自分を軽蔑するだろって考えるところがモヤモヤする。 もしそれで軽蔑してたら完全に逆恨みだし、要はお前は逆恨みするやつだろ?って思ってる風にしか見えない
[一言] 「戦争が起きるのは仕方なしとして叩き潰すか、あくまで戦争を止めるか。みんなに相談しようかね」 みんなを国対国の問題に巻き込まないでほしいね。そんな相談だったら学園長か大賢者にする問題でしょ…
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