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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第2章 学園の支配者

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第54話 ショータイム

「オレ達は武舞台の方に降りるけど、バウティスタ君は観客席の一番上に降りるといいよ。魔力、本当にギリッギリだろ?」



 闘技場のすぐ上まで降りて来ると、黒髪の小僧が言った。

 私は名乗った覚えはないが、名前も、残りの魔力量でさえも把握されているようだ。


 訳が分からぬ。



「私を生かしたこと、後悔することになるぞ」



 観客席の最上段に降りると、私は側まで付いてきていた奴らを見上げ、せめてもの強がりを言った。


 もちろん本気でそうしてやると考えているが、今は負け犬の遠吠えにしかならないことは自分でも分かっている。


 だが、何か言わずにはいられなかった。


 命を狙った相手に情けをかけられ、ただ言われるがままに助けられるのは悔しすぎる。



「そうはならないように頑張るさ。まずはこの後のこと、見ていってくれよ。戦争は嫌いなんだ。スルト国とは仲良くしたほうが得だって、お父さんに言ってくれると嬉しいな」


「なっ…」



 黒髪の小僧の言葉に、私は絶句した。

 どこまで知っているのだ、此奴こやつは。


 そんな私を残し、奴らは振り返って武舞台へと飛んで行った。


 私はそれを呆然ぼうぜんと立ち尽くしながら見送った。



「何なのだ、奴らは…?」



 思わず独り言がこぼれた。


 あの妖精、この私が手も足も出なかった。


 武器の有無を考慮したとしても、何枚も上手うわてだったことは疑いようもない。


 他3人は戦ってはいないが、全員が"浮遊"持ち。かなりの実力を持っているに違いない。

 私とそう変わらない年齢に見えたが…。


 特にあの、"打消"を使った、リーダー格の黒髪の小僧。

 声からすると、あれがセイ・ワトスンとやらなのだろうが。


 "打消"という技術は普通、戦闘では使わん。

 相手の魔法の()()()()数倍の魔力を使わなければならないからだ。

 "打消"を使うくらいなら、相手より強い魔法を使えばよい。


 それを、あえて使った。


 悟らされた。

 何をしても無駄だと。


 くそぉ…。



「どうやら、こっぴどくやられたようだな」



 私が悔しさにくちびるを噛んでいると、いつの間にか近づいてきていたらしいミカエル・ナドルが声をかけてきた。



「見えていたのか?」


「いや。だが君が1人、再び空に上がったのには気付いていた」



 私が確認を取ると、ミカエルは否定をした。


 そうか。本当に、下からは見えていなかったのだな。

 いかなる手段を使えば、あの規模の戦闘を隠せるものなのか。



「そうか。何なのだ、奴らは? 1人は、スルティア学園の生徒だと名乗っていたな」



 スルティア学園の生徒であれば、ミカエルが知らないはずはないだろう。


 なぜ、国際大会に出ていない。

 なぜ、妖精やドラゴンを連れている。

 なぜ、浮遊大陸を手に入れた。

 疑問はいくらでもある。


 戦争のことをかなり知られているようだから、ミカエルが答えるとは思えないが、それでも私の口は止まらなかった。






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『スルティア、ただいま! 準備できてるか?』



 バウティスタ君と別れ、"浮遊"で武舞台へと向かいながら、念話でスルティアに声をかける。



『おう。おかえり! もちろんじゃ。ダンジョンは楽しめたか?』



 スルティアの元気な声が聞こえる。



『すっごく楽しかったの!』


『スルティアにお土産もいっぱい持ってきたわ!』


『次はスルティアも一緒に行こう! 案内するよ!』



 みんながそれぞれスルティアに答えた。



『もちろん、オレもすげー楽しかったぞ。スルティア、お前のおかげだ』


我儘わがままを言ったのはわしじゃ。気にするな。さぁ、始めようではないか』



 スルティアは照れたのか、すぐに話題を戻した。


 時間もそんなにないからな。まぁいいか。



『ああ。やってくれ! ショータイムだ!』



 オレがそう言ったのと同時に、武舞台上空にオレ達の映像が流れる。


 公開生放送だ。


 王も各国の要人も、当たり前ではあるが、これからの発言には責任を持ってもらおう。






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