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異世界のヤツらに情報を制するものが世界を制するって教えてやんよ!  作者: 新開コウ
第2章 学園の支配者

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第49話 丸ごと全ていただく

「お前ら、絶対に外であんな魔法の使い方するなよ? 1層の草原ステージが焼け野原ステージになっちまったじゃねぇか」



 外であんなことになったら最悪おたずね者になっちまうぞと、オレはみんなに口を酸っぱくして言い含めた。


 オレ達は1層を攻略というよりは蹂躪じゅうりんし、2層の森林ステージに降りてきていた。


 森の中を歩きながら、ゆっくりと息を吸う。

 土と葉っぱの匂いのする空気が美味うまい。


 1層では後半、焦げた土の匂いしかしなくなったからな。



「なによ、アンタだって楽しそうに笑ってたじゃない」



 ネリーがほおふくらませて文句を言ってくる。


 焼け野原になったのは、大半が炎魔法が得意なネリーとミニドラの仕業しわざだった。


 焼け野原がネリー達のせいなだけで、アレクとベイラが破壊行為をしていないわけでは決してない。

 むしろやりまくっていた。



「仲間とバカやるのは楽しいもんなんだよ。でも、それと外でも羽目はめをはずしていいかは別の話だ。他人には迷惑をかけない。これは絶対条件な」



 確かに大笑いするくらい楽しかった。

 でもこれを後腐あとくされなくできるのはダンジョン内くらいだ。

 そこをき違えると本当にただのバカになってしまう。



「それくらい、私も皆も分かってるわよ。ねぇ、皆」



 ネリーが話を振ると、皆がうなずいた。


 良かった。さすがに、あれを外でやっちまうヤツはいないよな。



駄妖精だようせいだけ、心拍数や発汗はっかんに異常値が認められます。この話はしておいて正解だったでしょう」



 アカシャが冷静な声でベイラの動揺どうようをバラした。


 マジかよ。危なかったぜ…。



「あっ。この冷血妖精! セイ、違うの! これはアレなの! もし試し撃ちを外でやってたら同じことになったかもって思っただけなの!」



 ベイラが言い訳にもなってない言い訳をした。


 それ完全にアウトなヤツじゃん。

 良かったよ、武器渡すのダンジョン行き直前にして。



「はぁ。まぁ、これから気をつけてくれればいいさ。皆、魔法の威力がスゲー上がってるのは体感できたろ?」



 オレはベイラの態度にため息をつきながら話した。



「そうだね。やっぱり、いい触媒を使うとかなり違う。威力の調節に苦労しそうなくらいだよ」



 アレクが杖を使ってみた感想を話す。

 やっぱり、そう感じたか。



「だろうね。だから、2層以降は出たモンスターをできるだけ少ない魔力で倒す訓練をしながら進もう。武器ありでも、狙った威力の魔法を息を吸うように撃てるようにな」



 オレは皆に方針を話した。

 1層みたいに最大威力をぶっ放すだけじゃ身に付かない能力だ。


 せっかく実力的に余裕のある状況なのだ。

 利用しない手はない。



「使った魔力量が適切であるかはわたくしが判定いたします。この際です、今まであなた方がいかに無駄に魔力を使ってきたかを教えてさしあげましょう」



 アカシャの判定は絶対だ。

 スパルタにはなるだろうけど、間違いなく皆これまで以上に魔力の扱いが上手くなるはずである。



「うわ、それは厳しい訓練になりそうだね」



 アレクはそう言いながらも笑っている。

 確実に今より強くなれることが分かってるからだろう。


 ベイラやネリーも、どんと来いとばかりに頼もしい表情をしている。



「それじゃあ、本格的な攻略だ。アカシャ、先導は頼んだ」


「お任せください」



 銀色の鱗粉を飛ばしながら飛行するアカシャを先頭に、オレ達は2層の森を進んだ。






「アカシャは本当に凄いね。罠の位置、宝箱の位置、敵の位置、下層への階段の位置、何もかも分かるとは…。全ての情報が分かるっていうのは、こんなにも凄いことなのか」



 2層の攻略が終わって、3層への階段へとアカシャに案内されると、アレクが戦慄せんりつしたように言葉をみ締めながら言った。


 話に聞いただけではなく、実際に体験したことでアカシャの凄さに気付いたようだ。



「そう。アカシャは凄いんだ。情報を制するものが世界を制するって言うだろう?」



 オレはニヤッと笑ってアレクに返す。



「初耳だけど、なるほど。確かにアカシャの力はそう言われるほど凄いって思い知ったよ。君が信じられないほど多くの魔法を使えるのも、そういう訳か。まさか、全ての魔法陣を知ってるなんて…」



 アレクは理解が早いな。全ての情報を知っているということはどういうことか、おそらく正確に理解している。



わたくしが凄いのではありません。私という能力スキルを持つご主人様が凄いのです」



 アカシャが抑揚のない、力のこもった声でアレクに言った。


 アカシャはブレないなぁ。

 そういうとこも可愛いけどさ。



「そういえば、1層でも2層でも凄くたくさんの宝箱を取ってたわね。もしかしてアカシャの力でこのダンジョンの宝箱、全部取り尽くすつもり?」



 ネリーが、まさか…といった調子で聞いてきた。


 オレはそれを否定する。



「いや。宝箱、鉱石、素材など、このダンジョンの()()()もの全てを取り尽くす。ミミックとかからの宝箱は取らないぞ」



 どうせ踏破とうはすれば、ある程度資源が復活するんだ。


 今回は十分に時間がある。


 当然、丸ごと全ていただく。



「アンタが味方で良かったの…」



 ベイラがドン引きしながらそんなことを言って、アレクとネリーとミニドラが全力で賛同した。


 ミニドラまでにドン引きされるとは思わなんだ…。




お読みいただきありがとうございます。



前回のダンジョン攻略はボズのせいで満足にできなかったので、セイは浮かれております。

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