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第八十話 公方勢力との決戦 近江・越前攻略 1

今更ですが、おかげさまでブックマーク1800突破致しました。

投稿当初はまさかここまでブックマークして頂けるとは思ってませんでした。

本当に有難うございます!

これからもよろしくお願いします!

 1561年 八月 越前 【視点:須藤惣兵衛元直】



 史実における”刀根坂の戦い”は、撤退する朝倉方が織田勢に追いつかれ、壊滅的な被害を被った戦であり、この時点で、朝倉の趨勢は決まっていたとも言える。

 当主である朝倉義景は、将軍足利義昭が上洛を命じたのにそれを無視し、自らが天下を取れるチャンスを見逃した武将として、後世には伝えられているが、この世界でもそこら辺は同じの様だ。


 織田勢総勢三万五千に対し、朝倉もそれと同等の数の兵を用意しようとするが、先の戦での敗戦や、織田の勢いもあり、思った以上に兵を集められず、朝倉軍は二万程度の兵での出陣となった。


 この状態をどうするかと言えば、基本的には史実に沿って動く。

 三万五千の部隊を三つに分け、三万余の兵を朝倉に向け、少数の兵を相手にバレない様に刀根坂の周辺に散らして待機させた。

 それと同時に、朝倉方の将に対して調略を始める。

 狙うのは、史実でも裏切った魚住景固や、阿閉貞征等だ。


 さて、朝倉との戦であるが、先ず刀根坂で戦い、ワザと負けたふりをして近江まで撤退して油断を誘う。

 近江小谷城は焼き払われているので、その代わりをするのは秀吉等が詰めていた横山城だ。

 更にはその近くにある山本山城と月ヶ瀬城までを朝倉方に明け渡す。


 朝倉方がそれぞれの城に入ったのを確認して、早朝、織田軍は二手に分かれ、山本山城と月ヶ瀬城を急襲する。

 月ヶ瀬城は攻め落としたが、山本山城は調略をした阿閉が詰めているので、容易く取り戻す事が出来た。

 一方の朝倉は、横山城とは少し離れた田上山に戦陣を構築、大嶽砦等からなる防衛線を築いた。




 その数日後、天気は雨。

 しかも、先が見えない程の豪雨と暴風である。

 そう言えば、史実でもこの日は近江一帯が暴風雨に襲われたというが、天気が物事に引っ張られているのか、それともただの偶然なのか……。

 まぁ考えていても仕方が無い。

 使える物は使うだけである。

 軍議に数人の将達を集めた信長は、


「この雨風こそ好機だ。これより朝倉を叩く! ついてこれねぇ奴はついてくるな。この雨風の中でも、付いてこれる奴だけ俺についてこい!」


 そう言うと、将達の返事すらも聞かず、飛び出していった。

 ――ちょ!!

 いつもながらに自由だなおい。

 半兵衛も慌てた様子で俺に話しかけてくる。


「――馬廻り衆の方々はすぐさま追いかけられよ! 須藤殿、私はここで軍を再編致します。殿の事は――」


「――あぁ、任せてくれ」


 俺は頷き、すぐさま信長の後を追った。




 結局、信長に付いてきたのは千五百程の兵だ。

 史実では確か五百程度だったか?

 幾ら暴風雨で朝倉方が油断しているとはいえ、まさか本当に急襲するとは思わなかった。

 いやホントに。

 雨が当たって痛いし、衣服が濡れてて気持ち悪いし、鎧も重い。

 雨の日の戦は本当に嫌になるが、そんな事を言ってられない。


「――信長っ!!」


 俺が追いつき、信長の横に馬を揃えると、信長は俺を見てニヤリと笑う。


「お、手前も来たか須藤。――なら、軍の差配は任せるぜ」


 その顔を見て、俺は溜息を吐く。

 全く以て自分勝手な奴である。

 まぁそれについていく俺達も俺達だけど。


「承知した。――これより、朝倉方の主要な砦である大嶽砦を落とす! 皆、遅れるな!!」


「「「「――おおぉぉぉぉぉっ!!」」」」




 大嶽砦は、雨の日故にか、織田軍も来ないと判断したのだろう。

 兵達もやる気がないらしく、随分と粗末な守衛だった。


「――全軍、突撃! 殺しても良いが、幾人かは捕らえよ!!」


「――無茶言うなぁ。……部隊を二つに分ける! 一方は砦内の敵を制圧、一方は家屋を見て回れ! 人一人逃すな!!」


「「「「――応!!」」」」


 信長と俺の指示で、大嶽砦へと急襲する。


「――な! 織田が何故!?」


「――敵襲! 敵襲!!」


 朝倉方も慌てて対応しようとするが、いくら何でも遅い。

 あっという間に朝倉方の兵士は討ち取られ、捕まり、大嶽砦は陥落した。

 更に、大嶽砦に少数の兵を残し、勢いの儘に朝倉方の越前平泉寺の僧兵が守備している丁野砦も急襲、ここでも一部の兵士を捕縛した。


「――で? 捕まえた奴はどうすんだ?」


 俺が信長に聞くと、信長は自信満々に、


「応よ。此奴等を逃して、義景の奴に大嶽と丁野が陥落した事を伝えさせる。そうすりゃ、義景の腑抜けは必ず撤退するだろ。そこを――」


「追撃する――か。うん、良い策だと思うぜ。 ――おい!!」


 俺が声を荒げると、兵達の間に混ざっていた甲賀の草が現れる。

 というか、俺声を荒げてるだけなのに、いつもどうやって呼ばれてるって判断してるんだろうか?


「半兵衛に、朝倉追撃の軍を編成してくれと伝えよ。それと、捕縛した兵士を逃した事も伝えておいてくれ」


「――承知」


 俺の指示を受け取った草は、即座に馬に乗って半兵衛の元に駆け出す。

 半兵衛なら、これだけ伝えれば理解出来るだろう。

 ……さて、多分両軍が動くのは明日になるだろう。

 なら、今の内に俺も動くとしようかな。




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