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第七十五話 開戦前

秘技、『すっ飛ばし』!

これにより、面倒臭い過程を飛ばし、いきなり戦から始める事が出来る!

……という訳で書き直しというか、ただ進軍の描写を飛ばしただけですね。


あ、後タイトルを前言った通り、変更しました……んだけど、”黒の章”とかの方が良かったですかね?

 1561年 六月 美濃 長良川 【視点:須藤惣兵衛元直】



 甲斐を出陣した武田は、俺達の目論見通り、安藤守就が城主である北方城に進軍、入城した。

 それまでに甲賀や伊賀の忍達に散々嫌がらせをしたから、十分な程に怒ってくれた。

 これで視野が狭まってくれれば良いんだが。

 城を明け渡した安藤からは『武田の攻勢激しく、仕方なしに降伏した』なんて書かれちゃいるが、残念ながらそうじゃない事を俺は既に知っているので、後で信長にチクっておくとしよう。





 さて、武田が北方城に到着した事を知った信長は、評定に皆を集めた。


「さて、ではこれから武田との戦が始まるな。――”軍監衆”! 差配せよ」


「「「――はっ!!」」」


 信長の命令に、俺達”軍監衆”は一斉に頭を下げた。


「――此度が戦が勝利は、鉄砲に掛かっております」


「鉄砲の数は織田軍二千挺、”根来衆”より千五百挺、”雑賀衆”から千挺……計四千五百挺の鉄砲がありまする。全部を一度に使うという訳ではありませぬが、先ず、鉄砲隊により、攻めてくる武田軍の前線部隊を叩きまする」


「そして、武田軍が崩れたところを、足軽、騎馬兵等によって討ち取る――という事になりまする。敵方ですが、前線は左翼に山県と内藤、右翼に馬場、真田、土屋、中央に穴山、武田信廉、信豊という配置になっております。恐らく、一番先に突撃してくるのは”赤備え”を率いる山県のいる左翼です。そこで――」


 大雑把な説明を終え、前もって通達してあるが、改めて半兵衛が命令を下す。


「先ずは鉄砲の運用を得意とする方を前線の指揮官とし、”根来衆”や”雑賀衆”の指揮もお任せします。前面右翼を佐々殿、前田殿」


「「「――応!」」」


「左翼を福富殿、野々村殿、塙殿」


「「「――はっ!!」」」


「中央を滝川殿、明智殿にお任せしたい」


「「――承知」」


 指名された将達が各々応じ、信長に頭を下げて去っていく。


「――次に、崩れた武田を叩く部隊ですが、武勇優れる森衆、徳川衆、柴田衆にお任せします」


「「「――応!!」」」


 そう言って三左殿――今回は勝三もだ――も、徳川勢、柴田殿が退出していく。


「後備えに、美濃衆と石山本願寺、比叡山延暦寺より来て下さった皆様にお願いしたい。本陣警護には丹羽衆、そして我々”軍監衆”、若様の部隊を当てまする」


「「「――はっ!!」」」


 そう言って丹羽衆も退出し、残ったのは俺達だけだ。


「――では、我々も陣へと急ぎましょうか」


 そう言った半兵衛に対し頷いた信長は、


「――さて、武田との戦、始めようじゃねぇか!」


 獰猛な笑みを浮かべて笑った。




 さて、そんな訳で戦である。

 俺――というか奇妙丸様の部隊は後方――しかも本陣よりも少し後ろだ――に配置された。


「――須藤よ。この戦、勝てるだろうか?」


 奇妙丸様は少し心配そうだ。

 日ノ本一と呼ばれている武田との戦だ。

 それなりに不安なのだろう。


「敵とて鉄砲の恐ろしさは知っております。五百挺は持っているのですからな。――しかし、我等の数は敵の想定以上。更に、平原とはいえ、事前に堀なども掘って対処は出来ております。……必ずや、勝ちましょう」


 俺の言葉に、奇妙丸様は安堵した様子で、


「そうか。……そうだな」


 やれやれ、心配性だなぁ……誰に似たのやら。





 美濃 長良川付近 武田軍陣営


 織田軍がそれぞれの配置に着いた頃、武田勢もまた、動き出していた。


「――全軍、配置終えました!!」


 北方城より出陣し、長良川の渡河も終えた武田軍は、川を背にして布陣した。

 その本陣で、報告を受け取った武田信玄は、軍配を手に厳めしい顔をする。


「……苦労だった」


 この戦、勝たなければならない。

 上洛するには、ここで織田を打ち破らなければならないのだ。

 だが、兵力数は武田一万二千程度に対して、織田はその倍以上。

 幾ら尾張の弱兵五人で甲斐の兵士一人分として数えられる程、兵の練度は差があるとしても、どの様な布陣なのか、どの様な策でくるのかが三つ者や歩き巫女を以てしても知る事が出来なかったのが、気になった。

 だが。

 だが、しかし。

 やらねばならない。

 天下に覇を唱える為、やり遂げなければならないのだ。

 織田に、”尾張の弱兵”に、負ける訳にはいかないのだ。

 故に、その不利を、己が智謀と皆の武勇にてひっくり返す!


「――御旗楯無御照覧あれ。武田が戦、勇猛果敢なる雄姿! この日ノ本中に轟かせるぞ!!」


「「「「――はっ!!」」」」


 かくて火蓋は切られた。



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