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第七十四話 織田VS武田 出陣

好きなんですよねぇ……飄々としたキャラクター。



※最新話を削除しました。……はい、調べたくせに理解できていないというバカさが露呈した結果です。

活動報告内にも書きましたが、自分に”歴史物”は無理です(断言)。

それでも、書き続けたいとは思いますので、見捨てないでいただければ幸いです。




 1561年 三月下旬 美濃 岐阜城



「――殿の御出座である!」


 柴田殿の声に、家臣一同が平伏する。

 岐阜城の評定には、織田家の家臣達の多くが揃っていた。

 いないのは朝倉・浅井を見張っている秀吉等横山城勢、阿波・摂津の一部で蠢く三好を見張る高山右近等摂津国人衆、京で足利公方の動きを見ている松永や伊勢国人衆等だ。

 柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益、明智光秀等四天王を筆頭に、嫡男奇妙丸、母衣衆の佐々成政、前田利家とその甥利益、森可成・勝三父子、佐久間信盛等織田家家臣団、西美濃三人衆を筆頭に美濃勢、更には”雑賀衆”より鈴木重秀、”根来衆”より津田監物、石山本願寺や比叡山延暦寺から僧兵達の代表、そして徳川勢と勢揃いである。

 勿論、そこには”軍監衆”も控えていた。


「――面を上げぃ」


 信長の一言で、家臣達が一斉に顔を上げる。


「皆、良く集まってくれた。……さて、武田との戦だが、どれ程整っている?」


「――はっ! 即に戦支度は万全。馬防柵、堀も完成し、後は戦が始まるのを待つのみです」


 家臣団を代表し、丹羽が説明する。

 それに信長は満足そうに頷き、


「――ならば良し。で、だ。……武田家当主信玄より、書状が届いた」


「「「「――っ!!」」」」


 信長の発言に、家臣団が驚き、息を呑む。


「――殿、武田はなんと?」


「あぁ」


 そう言って書状に書かれていた事を諳んじる。

 曰く、


「日ノ本が武家を統べし足利公方様を軽視し、それを利用した事。御仏に仕え、信仰厚き本願寺・延暦寺の僧や民を唆し、公方と敵対する様に動いた事は不届き也。更には小谷における所業は、人道に外れし悪鬼が如き所業である。この所業に対し、我等は疾く織田の弱兵共を討ち果たし、真の信仰と、公方による正しき世を再び成さん。……”天台座主沙門信玄”」


 それを聞いた家臣団達は、何を言ってんだ此奴は? という顔をする。

 当たり前だ。

 公方を利用した事、知られていないとはいえ本願寺や延暦寺を利用した事、小谷での焼き討ち等は事実であるが、それに対して武田が首を突っ込む様な話ではない。

 更に、最後に名乗った”天台座主”とは、天台宗の総本山である比叡山延暦寺の貫主 (住職)で、天台宗の全ての寺を総監する役職である。

 それに怒ったのは延暦寺の者達である。


「随分と無礼ですな。武田は」


「まさか我等が貫主を名乗るとは……」


 勿論、史実においても天台宗の歴代貫主の中に武田信玄の名前は無い。

 史実と同じく、比叡山の焼き討ちがあったのならばまだしも、それが無いこの世界では、信玄のこじ付けでしかなかった。

 信玄の無理矢理とも言える言いがかりに、家臣団達も思わず黙ってしまう――が、


「ハッハッハ! 信玄公が”天台座主沙門”なら、殿はさしずめそれを邪魔する”天魔”ですな」


 笑い声が響いた。

 家臣団達が、その言葉に驚き、声の主の方を向く。

 笑ったのは”軍監衆”の一人にして嫡男奇妙丸の目付けでもある須藤元直だった。

 少し前までは家臣団でも侮られていたが、主君である信長からは”織田の元直”とも呼ばれ、呼び捨てや無礼な言葉遣いを許され、半兵衛・官兵衛にも劣らない謀将として外様の家臣達からも評価され始めた人物である。


「――おっと、失礼」


 家臣団に見つめられた須藤は自分に向く視線をものともせず、そう言って黙る。

 だが、当の信長は、


「――ククククク!! そうだな。須藤の言う通りだ。なら、俺は”六天魔王”とでも書いて送り返してやるか」


 と笑うので、家臣達も呆れ返るやら、感心するやらである。

 一頻り笑った信長は、機嫌良さそうに顔を歪ませる。


「さて、こうも侮られたなら、やり返さねぇとな。……もう一騎当千の騎馬部隊による突撃戦法なんざ古いと、奴等に教えてやれ!!」


「「「「――はっ!!」」」」





 同年 四月上旬 甲斐 躑躅ヶ崎館



 武田晴信――武田大膳大夫信玄は、笑っていた。

 理由は勿論、先程家臣によって届けられた書状の内容である。


「――あの尾張のうつけめ。こう返して来よるか。クックック、面白き事よ」


 さも愉快だと笑う信玄に、家臣団を代表して馬場信春が言う。


「御館様、我等武田家家臣一同、美濃を織田が兵の血肉で染める用意は出来ております」


 信玄が笑っていて細めていた眼を開けると、そこには屈強な身体を持った、忠誠厚き自らの家臣団。

 将兵達一人一人の実力を、団結力を、意志を、信玄は誇りに思っている。

 自分達が全力を以て敵に向かえば、勝てぬ者など無い事を確信していた。

 故に、自信を持って差配を下す。


「良し。――なれば疾く駆け、安藤が入っている北方城を攻め落とし、そこを拠点とする!」


「――なれど御館様、織田の”荒木攻め”の様に、織田の策やもしれませぬぞ」


 そんな家臣からの忠言にも、信玄は笑みを以て答える。


「例えその様な事があったとて、それすらも打ち破れば良いだけの事。日ノ本一を誇る我が武田の軍勢なれば、安藤程度大した脅威でもあるまい」


 自分達の主君が浮かべる自信満々の笑みに、家臣達は己等の勝利を確信する。


「――では、御旗楯無御照覧あれ! 武田が戦、この日ノ本に轟かせよ!!」

 

 それは、武田にとっての絶対的な言葉。

 御旗と楯無に誓った事は、必ず達成しなければならない。


「「「「――はっ!!」」」」


 戦が――始まる。





ブックマーク、評価等していただければ嬉しいです。

宜しくお願いします。


この作品とクロスしております、ナカヤマジョウ様の『謙信と挑む現代オタクの戦国乱世』も投稿されております。

其方もご覧下さいませ。


http://ncode.syosetu.com/n6524ee/

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