幕間 ぐーたらする
タイトル通りの回。
※指摘頂きまして、この話を幕間に変更させていただきます。
自分の中ではですが、本編に余り関わりが無かったり、時系列的に過去の話の場合を幕間としておりますが、完全に作者が独善と偏見で決めております。
ご理解の程宜しくお願い致します。
1560年 八月 美濃 岐阜城 【視点:須藤惣兵衛元直】
翌日明朝、俺に安藤が恐らくは内通しているだろうと言う事を話すと、半兵衛は京へと帰っていった。
アイツは”軍監衆”の中でもトップだから、仕事がたくさんあるのだ。
頑張って~。
同時に、俺も色々と動き始め――るのは明日にして、とりあえず今日はゆっくりする事にした。
「ふぅ~…………ふっ!!」
古出の屋敷に移動してから、時間を移動とかに充てて最近出来なかった鍛錬――それも型からやり直す。
ゆっくり息を吐きながら、一つ一つの動きを確認しながら刀を振る。
とは言いつつ、戦場で型なんて気にしてたら死ぬけど。
基本的に足軽同士の斬り合いなどは泥仕合である。
相手を押し倒して、馬乗りになって脇差を抜いて刺し殺す、とかな。
三左殿や、柴田殿、丹羽殿ならばばっさばっさと斬れるんだろうが。
俺も最近は”雑賀衆”を率いての奇襲戦だったり、工作活動だったりと戦場での斬り合いなんてしてないので、技術が落ちていないかが心配だった。
鍛錬は一応熟していたが、最近は半兵衛の体力作りを手伝ったり、勝三や奇妙丸様、柊殿に武芸を教えたり仕合っているのを見ていたりと、『自分の鍛錬』は余り出来てなかったし。
こうして自分一人で剣を振るっていると、師匠と生活していた頃の事を思い出す。
もう十年位になるのか?
器用で、でも性格は不器用で、優しくて、それでいて教えている時は無茶苦茶厳しかった。
兵法に詳しくて、武芸にも、教養にも通じていた。
多分何処かの家の家臣だったんだろうけど、どの家に仕えていたかなんて最後まで教えてくれなかった。
ただ、やっぱり武士として生きたかったんだろう。
なんて若干テンションが落ちつつ、昼餉を外で食べてから、午後は茶を飲みながら……てってれってれー! ほーしーがーきー!
この世界に来る前だと絶対に食べなかった干し柿も、この時代ではご褒美である。
干し柿を頬張ると、独特な甘さが口に広がる。
「うむ……美味い」
軒下で横になりながら、手元に置いておいた兵法書を捲る。
ウェブ小説とかライトノベルが読みたいなぁ……。
この時代の娯楽の少なさと言ったら。
歌を詠んだり、相撲取ったり、鷹狩りしたりとそんなもんばっかで、堅苦しい事この上ない。
後は足軽の間で流行ってる賭博とか。
この娯楽が少ない点だけは、不満である。
仕方ないんだけどさ。
そして夜。
殆ど誰もいない古出屋敷である。
なら、何をするかと言えば――
「良し、準備完了だ」
そう、伊達政宗もやっていたと言われている料理である。
作るのは寺から貰って来た豆腐を入れた味噌汁と、美濃の商人から買っておいた小麦粉と、何とか入手した卵、川で獲って来た魚で作る天ぷらである。
豆腐はこの時代では僧の食べ物であり、滅多に食べる事が無いモノであったのだが、近くの顔見知りの寺に頼んで貰って来たのだ。
天ぷらも、銃などと一緒に日本にやってきたが、卵が無かったりした影響で、大衆に広まったのは江戸時代。
つまり、俺は時代の先を行くのだ!
大学に通っていた頃は一週間の半分は自炊していたし、師匠と暮らしていた頃は自炊していたのだ。
料理は得意である。
そんな訳でレッツクッキング。
今の俺はクッキング〇ァイター・好もビックリの凄腕料理人 (気分)である。
さぁ、俺の自炊力を見せてやろう!
「…………御馳走様でした」
うむ、食べた食べた。
そう言えば相手キャラクターを食べて「ごちそうまぁでしたぁ」とか言う格ゲーキャラがいたっけなぁ……懐かしい。
……というかホント何もせずに今日が終わってしまうぞ。
非情に非生産的だ。
仕事漬けだったから、俺も仕事中毒なのかもしれん。
……甲賀や伊賀の忍達からの情報を纏めるか、戦場に相応しいのがどこか調べるかな。
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ナカヤマジョウ様の『謙信と挑む現代オタクの戦国乱世』も投稿中。
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