表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/215

幕間 情報収集の結果

幕間というよりかは六十六話的な扱いです。

時系列は前話から数日後ってところですかね。


皆様から感想を頂いた通り、クロスオーバーだよーと言う事を説明する会ですね。


 大和 信貴山城 



 松永久秀が統治する大和とその主君であった三好長慶の養子三好義継と、信長の妹婿である畠山昭高が安堵された河内の国境にある信貴山にある山城、信貴山城は大和を任されている松永久秀の居城である。


 その一室――とはいっても、それなりに広い部屋である――で、俺は甲賀忍者達からの報告を聞く為に、各国へと諜報しにいっていた者達を集めていた。


「さて、良く集まってくれた。では、皆からの報告を聞こうか。では先ず……朝倉・浅井から」


「――はっ! 朝倉が統治する越前には拙者が行商人に紛れて潜入致しました。……その朝倉ですが、現在動きはありません。ですが、先の戦で逃れた浅井家当主浅井長政を匿って以降、城の出入りも多く、和睦をするつもりはないかと思われます。公方とも書状のやり取りを交わしており、恐らくは挙兵の時期を見ておる様です。ですが、先の戦の影響は残っており、今暫くは挙兵しないのではないかと城下の噂となっておりました」


 城下の噂は馬鹿に出来ない、というか寧ろ主な情報源だ。

 忍者が全身黒や紺の衣装を着て、城に潜入して天井裏から話を盗み聞きするなんてそんな事ある訳がない。ただの幻想だ。


「報告苦労。朝倉は暫く放っておいても構わないだろう。――次は阿波の情報を報告してくれ」


 俺がそう言うと、別の忍者が報告を始める。


「阿波の三好勢ですが、上洛の玄関口である摂津を抑えられ、更には足がかりである河内でも徐々にその勢力は衰えております。毛利への救援を要請しましたが、毛利も敵が多く、断られました。現在は公方側と書状を交わしながら、朝倉と同じく時期を見ているとみて間違いないかと」


 ふむふむ。

 前回の戦の時に史実では河内まで追いやったのを、河内の一部分、阿波まで退けたのは効果ありだったみたいだな。

 毛利も色々と敵が多い。

 有名なのは出雲の尼子、周防の大内、その家臣の陶、豊後の大友とかか。

 一番有名な当主である毛利元就は生涯で二百二十もの戦をしたとも言われている。

 時期的にはそろそろ尼子、大友との戦がある時期か?

 調べさせておこう。


「その公方はどうだ?」


「はっ! 公方側ですが、須藤殿の策の通り、細川藤孝殿の手引きにより、槙島城を守衛する細川の兵士として潜入しました」


 そう。

 前に細川与一郎藤孝と会った際に、頼んでいた内の一つがこれだ。

 細川は織田に付くことを決めているらしく、快く引き受けてくれた。

 まぁこれ以外にも頼んだことはあるけど、それは今は良い。


「朝倉、浅井、三好、六角は織田に敗れその勢力を衰えさせ、本願寺、延暦寺、雑賀は織田へと降った。公方が頼る事が出来る勢力で残るは武田。……そして上杉です」


 ……上杉?

 なんでここで上杉が出てくるんだ?

 上杉には書状を送っていなかったはずだが。


「どうやら織田が京周辺の諸国に集中している最中に紛れて義昭公と会っていたとの事です。上杉は代々関東管領を頂く忠義厚き家柄。頼るのは間違いないかと。……それは後程越後へと行った者からの報告をお聞き下さい。……公方ですが、己側となった勢力の悉くが敗走しているのを聞き、いたく憤慨している様です。『己が身一つでも挙兵してやる』と言わんばかりで、細川殿も諫めるのに苦労しておりました」


 ……うん、どうか其の儘頑張ってくれ細川殿。

 この時代に胃痛薬があるのかは知らないが、あるのならば後で届けさせよう。


「では次は武田の内情を報告してくれ」


 武田は武田晴信以下武勇優れた将達が騎馬軍団を率いる戦国最強ともされる国だ。

 桶狭間で今川が敗れた後、それを狙って遠江を占拠、海を得る算段であったのが、氏真公の動きでそれが出来なくなって以降全方位を敵に囲まれており、越後への領土侵攻が多い。

 一番近い戦は川中島だったか?


「――はっ! 武田ですが、”不死身の馬場美濃”こと馬場(ばば)信春(のぶはる)、”逃げ弾正”こと高坂昌信(こうさかまさのぶ)、”赤備え”を率いる山県昌景(やまがたまさかげ)を筆頭に、武勇優れる将はおりますが、先の川中島の戦で、御一門筆頭で武田の柱石、副大将ともいえる武田(たけだ)典厩(てんきゅう)信繁(のぶしげ)、並びに信厚き軍監であった山本(やまもと)道鬼斎(どうきさい)勘助(かんすけ)が討死した事で、晴信も冷静さを欠いている様で、上洛を再び行うのでは、と城下で噂されておりました」


 ふむ。

 年号は違うが、川中島で武田信繁や山本勘助が死ぬ辺は史実通りだ。


「織田との盟約を受けた今川との小競り合いを繰り返しておりましたが、それが小規模になってきている為、少数の将兵を今川や上杉への守りとし、上洛に動くかと。現に、物資や兵の出入りも多くなっております」


「己の考えで良い。後どれ位で攻めてくると思う?」


 俺が訊ねると、忍は暫く迷った後、


「恐らくは一年以内には」


 ……一年、かぁ。

 他の勢力との戦が被らなければ良いけど。

 史実からしてみればどの戦に当てはまるのだろうか?

 三方ヶ原という訳ではないし、長篠という訳でもない。

 そもそも戦をするというのなら、織田・徳川・今川連合と武田という、史実にはない構図となる。

 ……今は考えていても仕方がない事か。


「――じゃ、最後に上杉の事を教えてくれ」


 上杉の情報は思った以上に入ってこない。

 恐らくは上杉配下の軒猿や、鳶加藤こと加藤段蔵のせいだろう。

 その上で指示している人間が優秀だって事だ。


「――はっ! 関東管領となった上杉ですが、先程報告がありました通り、将軍義昭と面会しております。その際何を言い合ったのかまでは掴めませんでした。……その当主上杉政虎ですが、近衛前久殿の妹君絶姫を娶った様です」


 ……うん。それは前に聞いたけど。


「……()です、とはどういうことだ?」


「はい。正確な情報は掴めておりませんが、城下では二つの話が話題となっておりました。……一つは『上杉政虎が絶姫を娶った』というモノ、もう一つが『松尾(まつお)景亮(けいすけ)なる者が絶姫と共に仲睦まじく暮らしている』というモノで……」


 まぁもし謙信と絶姫さんが夫婦になったのならそんな噂が出るのは可笑しい、か。

 絶姫の不貞を疑われても仕方が無い事だけども……松尾景亮なんて上杉にいたっけか?


「……松尾景亮とはどんな奴だ?」


「――はっ。情報によれば、政虎の御側付き、だそうです。越後の内乱より名前が出始め、椎名攻め、川中島と参戦しております。なんでも、越後の龍からの信頼厚い若人だとか」


 御側付きぃ?

 ……戦国時代の御側付きと言えば、衆道――所謂ホモォな関係をイメージするのだが。

 そんな関係なのだろうか?

 いや、変な事を考えるのはやめよう。

 今はそれは置いといて。

 古出殿も史実には存在しない武将だから、ありえるっちゃありえるのか。


「先の小田原攻めでは、小田原城より北条軍の放った空を覆い尽くさんばかりの矢や鉛玉が降り注ぐ中、城の前に座り込み、政虎と共に酒を飲んだところ、怪我一つすら負わなかったと、実しやかに囁かれております」


 おぉう、謙信にその逸話があるのは知ってたけど、それに付き合う奴がいたのか。

 流石上杉、狂った連中の巣窟だな。


 ……うん、わかった。化け物(バカ)なんだな。

 どうせ筋骨隆々の鬼か熊みたいな奴なんだろう。


 俺には真似出来ないね。

 怖いったらありゃしない。




ブックマーク、評価宜しくお願いします!


ナカヤマジョウ様の『謙信と挑む現代オタクの戦国乱世』も毎日投稿中です。

読んで下されば嬉しいです。


https://ncode.syosetu.com/n6524ee/


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ