第六十四話 荒木降伏 ……え? 俺達は悪くないよ
診断メーカーで貴方が戦国武将なら、なんてのがあったので、主人公の名前でやってみました。
曰く。
”須藤惣兵衛”が戦国武将だったら鬼神とおそれられ、姫だと天下一の美女と評判です。そんな須藤惣兵衛が住んでる国は武蔵です……だそう。
……違います(断定)
次回は”須藤直也”でもやってみますかね。
是非とも皆さんも自身の名前でやってみてはいかがでしょうか?
1560年 六月 下旬 摂津 伊丹城
「……して、どうすればこの窮地を脱する事が出来る?」
ニヤリと笑う須藤と松永を見て、荒木村重は驚いた。
「……何か策があるの……か?」
荒木が恐る恐る尋ねた質問に、
「えぇ。……ただ一人の兵をも失わず」
「そして最も早い手段が。それを――お望みですかな?」
須藤と松永の言葉に、荒木は険しかった表情に、微かな喜びの表情を湛える。
「そ、そうか! なら、それを早うやれ!」
「「――はっ」」
須藤と松永は二人揃って平伏し、頭を上げた松永がパン、パンと二度柏手を打つ。
ただ、それだけで――策は動いた。
ヒュウウウゥゥゥゥゥン!!
甲高く鳴る鏑矢の音が、城内より放たれ、城内どころかそれを包囲していた織田軍にさえ届く。
これには、織田軍の兵達でさえ驚いた。
「な、なんだ!? 敵が攻めてくるのか?」
「いや、開門する様子はないぞ?」
ただその光景を冷静に見ていた第一手を任された森可成と滝川一益が、
「落ち着けや! 全員武器を構えとけ!」
「……合図があるまで、決して打って出るな」
そう落ち着かせる為に声を張り上げる。
だが、驚いたのは寧ろ荒木勢の兵達であった。
この様なことが事前に伝わっていた訳でもなく、半数の兵士がポカンとしている中、音を聞いて動く兵士達がいた。
須藤と松永の兵達である。
須藤・松永の兵士達は、近くにいた兵士を槍等で取り押さえる。
それは城の内部も同様であり、槍兵二、剣兵一、そして”雑賀衆”が一という四人程で一つの組を組んだ須藤・松永の兵士達は、慣れた様子で即座に城の内部を制圧していく。
荒木の将兵達もそれに対応しようとするが、直ぐに反応できる訳も無く、槍で捕らえられ、縄で捕縛されていく。
そして、兵士達はとうとう茶室にまでやって来る。
茶室へと侵入した兵士達は、荒木へと近寄り、呆けていた荒木を縄で縛りあげる。
「――は? は? は? ――なんだ! 何なのだこれは!」
ぐるぐると縛り上げられている荒木が声を荒げ、須藤達に顔を向けると、
「――ズズズズズ。……いやぁ、流石弾正殿。見事な御点前に御座いますなぁ」
「それはそれは、須藤殿にそう言われるのは僥倖に御座いますよ」
優雅に茶を飲んでいた。
呑気に、直ぐ横で乱雑に縛り上げられている荒木などには眼もくれず、ほのぼのとした穏やかな雰囲気を作っている。
実にマイペースな二人である。
「――おい! 須藤! 松永! 何をして――」
「――煩わしいですなァ」
と、ほのぼのとした表情だった松永が一変、眉を顰めて荒木を見る。
先程までの笑みとは打って変って、感情の読めない視線が荒木を射抜く。
「……荒木殿。我々はこうして呑気に茶を飲み、貴殿は捕縛されている。それが事実に御座いますよ」
「――何を言っておる!」
声を荒げる荒木を無視して、松永は須藤の方を向く。
「――では、堂々と帰ると致しましょうか」
須藤も、「そうですな」と返し、二人して意地の悪い笑みを浮かべた。
中から聞こえてくる怒声等に、中に何が起こっているのかわからない織田の兵達は、ただただ伊丹城の門をジッと見ていた。
だが、やがて音は止み、静謐が辺りを包み込む。
そして暫くして、重厚な音を立てながら、城門が開く。
可成と一益も、武器を構え、いつでも指揮出来る様にと身構える。
誰もが身を緊張で硬くし、武器を構えるが、そこから現れたのは――
「……おや、織田の忠臣のお二人がお出迎えとは、これまた大層な扱いですなァ」
「お、三左殿と滝川殿か。久しぶりだな」
いつも通りの飄々とした、胡散臭い笑みを浮かべた松永と須藤。
そしてその隣で縄で縛られ、猿轡を噛まされて座らされている謀反の首謀者である荒木村重の姿であった。
その髷に結われた髪の先端に、白旗が刺さっており、風で揺られている。
白旗には、墨で「降参します」と書かれている。
その光景は、実にシュールであった。
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この作品とクロスしております、ナカヤマジョウ様の『謙信と挑む現代オタクの戦国乱世』も投稿されております。
そちらも宜しくお願いします。
近付いてくる邂逅の時!
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