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第三話 ”浮野の戦い”と織田家のピンチ

え? 主人公? まだ出ないよ。



……というか前話とかの文章内で書いてあるけど、一部の文章が主人公目線で書いてあるのバレバレですよね? ね?

 1553年 尾張国 清洲城


 織田信行を殺した織田信長は尾張の半分を統治するに至っており、事実上は尾張を支配している状態であった。

 だが、だからといって問題が無いわけではない。


「……問題は駿河の今川だな」


 上座に座っていた信長が苦々しく呟く。


「はい。相模の北条と同盟を結んだ今川が次に狙うは恐らくこの尾張でしょう」


 駿河、三河、遠江の三国を支配した”東海一の弓取り”と称され、当時”最も天下に近い男”であった今川家当主、今川義元。

 息子に北条の娘を娶らせる事で北条と同盟を組み、北の脅威を取り去った義元が、いつ尾張に手を出すのかが分からなかった。


「……ったく、ならとっとと身内争いは終わりにしねぇとな」


 さも面倒だと言わんばかりに頭を掻く信長。

 そこに、小姓が慌てた様子で評定の場に入って来た。


「――の、信長様!」


「……騒がしいな。なんだ?」


 睨む様に小姓を見た信長の視線に、気圧された小姓であるが、それよりも大事だったのか、


「……上四郡が岩倉織田家当主、織田信安が子の信賢とその家臣達に追放されたとの由!」


 そう報告をした。


「……ほう?」


 尾張の上四郡を治める守護代である岩倉織田家の当主で岩倉城城主、織田信安は幼い頃は信長とは、父の代に姻戚関係を結んでいた事もあり仲が良かったが、犬山城の所領の件から疎遠になり、信長の養父である美濃の斎藤道三が息子義龍に討たれた際には息子義龍に肩入れし、”稲生の戦い”でも信行の方に味方するなど信長とは敵対関係であった。

 そんな彼が嫡男信賢ではなく、次男の信家に家督を譲ろうとして、逆に信賢に追放されたのだ。


「そうか。信安が……どう思う五郎左?」


 信長が近くに控えていた五郎左と呼ばれた男に向けて聞く。

 応えたのは人の良さそうな笑みを浮かべた美男であった。

 織田信長が筆頭家老”米五郎左”こと丹羽五郎左衛門長秀である。


「……尾張を統治する良い機会でしょうな。如何なさいますか?」


「無論。……犬山 (犬山城城主、織田信清)を味方に引き入れる! 姉上を嫁がせ、味方した際には信賢の領地をくれてやると伝えろ!」


「「「――はっ!」」」


 尾張統一を狙う信長がうった策。

 それにより、尾張統一を賭けた戦が始まろうとしていた。





 1554年7月 尾張国 浮野


 織田信長と織田信賢の戦は尾張浮野で行われた。

 信長軍二千、信賢軍三千の戦であった。

 激戦となったが、犬山城より信清が討って出、更には弓と当時の最新兵器である鉄砲を駆使した戦法で多勢の信賢軍を打ち破り、岩倉城付近まで追い立てて勝利した。

 その後、一度は兵を引いた両者であったが、信清が犬山城に戻る事を知った信賢が追撃を開始、これを知った信長も兵を返し信賢軍に完勝した。

 これにより岩倉織田家は崩壊し、更には協力してくれた信清さえも追放し、言葉通り、完全な尾張統一と相成ったのである。

 更には戦の最中であったにも関わらず、上洛までする余裕さえ、信長にはあったのである。





 1555年 尾張国 清洲城 上段の間


「殿、信行等の残党、全て滅ぼして御座います!」


 何十人といった男達が頭を伏せたのを、満足そうに信長は見る。


「……皆、大義であった! ……して、今川の動きはどうだ?」


 一度は満足そうな笑みを浮かべるが、直にその表情を真剣なモノへと戻した。

 信長が気にしていたのは今川の動きだ。


「はっ! 草 (忍者の事) に調べさせましたところ、どうやら尾張侵攻の動きがあるらしく……」


「「「何だと!?」」」


 報告に、柴田や佐々木、佐々を筆頭に家臣達が慌てた様子で立ち上がった。

 上洛すると言う事は、この尾張を通ると言う事。

 つまりは――


「今川が本格的に攻めてくると言うのか!?」


「……織田と今川は敵対関係。既に幾つかの小競り合いの結果、鳴海、大高、沓掛の三城が今川方に落とされておりますが」


「……恐らくは多勢を以って織田に攻め入り、その勢いの儘上洛を果たすつもりでしょう」


「上等! この三左が槍で、蹴散らしてくれる!」


 家臣達が思い思いに「戦争だ」だの「どうにか和睦を」だの、「勝てる訳が無い」だのと口にする。

 今までにない程の圧倒的な兵力差。

 それに皆戸惑っていた。

 だからといって信長達もただジッとしていた訳ではない。

 尾張統一が終わってすぐに、敵の手に落ちた三城の近くにそれぞれ砦を築き、準備をしていた。

 信長は家臣達が言い争う様子をジッと見ていると、立ち上がり、


「静まれえええぇェいッ!!」


 信長の声で場が一瞬の内に静まる。


「……評定を数刻後に行う。それまで皆、如何様にするかを考えておけぃ」


 信長はそう言って上段の間を出て行った。

 信長自身も、考えを纏める時間が欲しかった。




ブックマークや評価、有難う御座います。

皆様に面白いと言ってもらえるように引き続き頑張って書いていきますので、誤字脱字の指摘やら感想やら、ブックマークやらをして下さると、作者は頑張れます。



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