表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/215

第三十話 六角攻め

次回主人公が再登場。


誤字脱字があればソフトに指摘してください。

宜しくお願いします。

ブックマークもお願いします!


※9/28 お市の方の婚姻をさせないことにしました。申し訳ございません。



 織田軍上洛の妨げとなっている六角氏は、元は浅井家の主家であった。

 菅領である細川晴元に従い、三好長慶等と戦い、三好等に追われた十三代将軍足利義輝を助けるなど幕府に随身した宇多天皇の流れを汲む近江源氏として知られた名門の家柄である。

 更には信長よりも先に楽市を始めた戦国大名の先駆者とも呼べる家なのだが、”野良田の戦い”で家臣であった浅井長政に敗北し、独立を許すと、当時の当主であった六角義賢は子である六角義治に家督を譲り隠居する事となる。

 その後、当主となった義治――実際には隠居していた義賢が権力を持っていた――が家臣の中でも信望のあった後藤賢豊親子を誅したことで、家臣から不信を買い、離反が相次いだ俗に言う”観音寺騒動”で弱体化し、そのせいで足利義昭に頼られるが、三好三人衆が管領職を与える事を条件に誘われ、それを受け入れた為に義昭を追放したという経緯がある。





 対して、信長は時の天皇である正親町天皇から皇室領の回復を命じられた事、そして足利義昭を手中にしたことで天下布武へと動き出した。

 信長は、敵になるであろう浅井朝倉の情報を得る為に草を放ち、逐一報告させる事とした。

 その後、足利義昭を美濃立政寺(りゅうしょうじ)に迎えると、馬廻二百五十騎を連れ、使者を立て降伏するように説得したが、六角義治がこれを拒絶すると、信長は織田軍一万五千、それに加えて三河の徳川勢千の軍勢で――史実ではこれに加えて近江浅井家三千が加わった――攻め入った。


 六角勢は戦力を和田山城に主力である六千騎、箕作城には三千、観音寺城に千の三つに分けた。

 これは織田軍がまず和田山城を攻めると考えた故の配置であったが、織田軍はこれを三つに分け、稲葉一鉄率いる軍を和田山城に、柴田勝家、森可成率いる第二陣を観音寺城へ向かわせると、信長自身は丹羽長秀、木下秀吉、滝川一益等と共に箕作城へと向かった。


 先ず戦が始まったのは信長等本陣が攻め入った箕作城だ。

 この箕作城、急坂や大木が周囲を覆う堅城であり、六角家家臣吉田出雲守等の守りも固く、夜になっても落とす事が出来なかった。


「……半兵衛、何か手はあるか?」


 日も暮れ、蝋燭の明かりが照らす織田軍本陣。

 軍監として信長の側に控えていた半兵衛に、信長は問う。

 その場には木下秀吉、丹羽長秀、滝川一益が顔を揃えており、その中央の卓には観音寺等三城周辺の地図が広げられていた。


「――はい。現在の六角義治等は長期戦を想定した布陣を布いております。ならば、此方は短期戦を行えば裏をかけまする。……采配しても宜しいですか?」


「あぁ。手前に全て一任する」


 信長の言葉を受け、


「はっ! この戦の差配、竹中半兵衛重治が承った。……では、この戦の大勢、今宵で決着を付けましょう。――秀吉殿」


「――応さ!」


 溌剌とした声で応答した秀吉を見、


「野営用に用意させておいた松明を、箕作城下中腹辺りまでに配置し、一斉に火をつけ、これを合図として木下隊は箕作城まで一気に攻め入って下さい。丹羽衆、滝川衆はこれの後詰を」


「――承知仕りました」


「委細承知」


「敵は今宵の襲撃は無いと考えておりましょう。迅速に、箕作城を攻略すれば、他の二城にも動揺を与えられましょう」


 半兵衛が話し終えたのを期に、信長はパンと膝を叩いて立ち上がる。

 そして家臣達を見回すと、秀吉の顔を見て、


「――良し。サル! 軍監として半兵衛を付ける。半兵衛の言葉を俺の言葉と思って指示に従えよ?」


「――ははっ!」


 信長に頭を下げると、秀吉は慌ただしそうに出て行った。





 その後、秀吉隊は半兵衛の指示で隊を二つに分け、先遣隊は明かりを付けさせずに箕作城付近まで接近し、合図を待って箕作城下の中腹までに差した松明に一斉に火をつけた。

 そしてそれを目印にして、秀吉本隊は箕作城まで一気に駆け上り、奇襲を行った。

 一度は撤退していった織田軍が、まさかその日のうちに仕掛けてくるとは思っていなかった箕作城に詰める兵達は散々に打ち負かされ、夜の内に陥落してしまった。

 それを聞いた和田山城の兵達は次々と逃げ出し、直ぐに織田の手に落ちた。

 この二つの城が開戦から一日もせずに陥落した事を知った六角義賢義治親子は、夜闇に紛れて観音寺城を脱出、当主のいなくなった観音寺城もまた、呆気なく落城したのであった。

 その後、六角氏の家臣である蒲生賢秀は主家が敗北した事を聞いても尚、一千の兵で日野城へ立てこもったが、北伊勢攻めの際織田の傘下となった、賢秀の妹を嫁としていた神戸具盛が単身説得すると、説得に応じて開城し、その忠誠の証に三男であった鶴千代――後の蒲生氏郷――を人質として信長に差し出した。

 信長は氏郷を大層気に入り、まだ幼い二女を娶らせる事を約束した。

 これで、信長は南近江も支配下に置いたのだった。




五・六作品が一・二話書き溜めてる状態なんだけど放出したい……グギギギギ。

取り合えずラブコメ (?)×1、ローファンタジー×3、スチームパンク×1をこの作品と同時に書き溜め中。

どれを投稿するにも自分じゃ選べない、けど投稿したい、でもこの作品もあるし……というジレンマと戦闘中。

書きたいものが多すぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ