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第百六十九話 転移者同士の話し合い 2

さて、終盤になってまいりました。

「……話が脱線したな。織田軍は現在秘密裏に兵の移動を開始してる。……美濃にいた佐久間殿は尾張に、越前衆と一緒にいた滝川殿は信濃に到着してるぜ」


 徳川に情報を渡さない為、三河と隣国との国境沿いで忍狩りを展開し、完全に情報を得られない状態にしている。

 そして、それと同時に各地に展開していた織田の旧臣達を秘密裏に隣国に長い時間を掛け、部隊を少人数に分け、少しずつ移動させたのだ。


「俺達はどう動けばいいんです?」


「上杉には織田と一緒に徳川と戦ってもらうつもりだ。……信濃か、美濃か。何処で行われるかはまだ決まってないが、織田・上杉で合同で大評定が行われる予定だ。それまでは待機だな。……その歳なら子供の一人や二人いるんだろ? 面倒でも見てれば良いさ」


 織田と上杉合同で行われる大評定で、徳川との決戦の策や配置を決めるのだ。

 それは兎も角、”軍監衆”として色々と決めなければいけない俺に比べて、暇な時間はあるだろう。

 なら、奥さんや子供に時間を使えば良い。


「ま、まぁ……そりゃいますけど……」


「どうせこの戦が終われば太平の世が来るだろうぜ。……なら、太平の世が来た後の事も考えねぇとな」


 今の状況から考えてみると、大きな戦はこれで終わりだろう。

 なら、その後の事を考えるのが良い。


「そうですね。子供には平和な世界で生きて欲しいですし。うちの奥さんも、泰平になったら旅行がしたいって言ってましたし」


「奥さん、ねぇ。……そういや、近衛殿の妹君と一緒に住んでるだの、上杉当主と衆道関係にあるだのと噂になってたな。……輝政公が女だって知ってる今なら阿呆な噂だとわかるが」


 まさか輝政公が女だとは思わなかったなぁ……。

 確かに上杉輝政――いや、謙信女性説ってのもあったっけな。


「あ……あはははは……うちの大将もそこら辺はわざと周知させてませんでしたからね。綺麗でしょう? いやぁ、トップがあれなもんで、まるでゲームみたいで嬉しい限りっすよ」


「…………で? 衆道関係――いや、男女だから恋愛関係か。本当なのか?」


「ま、まぁ···一応は。というか輝政だけじゃなくて、近衛さんちの妹である絶とも夫婦なんですよ。同盟国以外には知らせてませんけど」


 ……ふぅん。成程ぉ。


「……華も恥じらう美女並べて娶ってハーレムか。ライトノベルの主人公みたいだな」


 俺が皮肉交じりにそう言うと、景亮は照れた様に笑って話題を変えた。


「いやぁ……はは。須藤さんには奥さんいるんですか?」


「あぁ、いるぜ。……信忠様と同い年でな。兵法やら学問やら武芸やら教えてた教え子みたいなモンさ」


 まぁ今でも色々と教えてたりするしな。

 柊殿は基本的に勉強家で、近頃は海外の医学書や歴史書等を読みたがっているし、相変わらず剣や弓等武芸の鍛錬も続けている。


「おぉ、教師と生徒の禁断の恋愛ですか! ってか、結婚っていつされたんですか?」


「あー……荒木攻めが終わった後だから…………五年前になるか」


 まだそんなにしか経ってないんだな。


「ふーん……もしかしてロリコンさんです?」


 ……グサッときたぜ。

 確かに元の次代じゃあロリコンにしか見えないだろうけどさぁ……。


「…………。――さ、じゃあ情報収集と監視の事は任せるぜ!」


 俺は咄嗟に話題を変える。


「分かりました。――ってことは僕らだけに分かる暗号みたいなのが欲しいですね。ローマ字でも使いますか?」


「そうだな。……いっその事、書状全部ローマ字で書くか」


 景亮の提案に、俺は頷く。

 読むのに時間は掛かるだろうが、他人にはわからないだろう。


「後はしっかり読んだとは焼却処分ってことで」


 そこら辺はちゃんとしないと、後世で見つかったら面倒臭いことにはなるだろうしな。


「そうだな。……じゃ、次会うのは大評定だな」


「そうなりますね。……それまでにはきっと上杉(こっち)も準備は整えていると思いますが、日にちが決まったら早めに通達が欲しいですね」


「わかった。……なら使者が伝えるだろうが、その前に忍を向かわせよう。それで良いか?」


 お互いに忍を統括している身だ。

 連絡を取り合う事は難しくない。


「はい。問題ないです!」


「じゃ、急に呼んで悪かったな。上杉の連中も待ってるだろうし、とっとと帰ってやれ」


「では、また」


 俺がそう言うと、景亮は頭を下げ、部屋から出て行った。


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