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第百二十七話 明智光秀

本能寺と本願寺を間違えて書いてしまいますね。

 備中高松城が水攻めされる数日前 京 



 織田軍が三方向に攻め入っているこの状態は、信長の守り――京にいる兵士の数が一番手薄になる時でもあった。

 柴田は越前に出向き、滝川もその支援に向かい、丹羽は近江安土城の普請で忙しく、”軍監衆”達は中国へ出向いており、信長が頼りとする将達の悉くが京を離れていたのだ。

 加えて、細川藤孝・忠興父子は丹後に、松永久秀は大和、摂津有岡に池田恒興、高槻城の高山右近と、高名な将達も揃って京にはいなかった。


 だが、関東に眼を向ければ今川や北条とは友好関係を築き、佐竹・最上・伊達は織田に恭順する姿勢を見せており、甲州征伐において武田の側に着いた蘆名も、武田が敗北すると見るや織田への恭順を示した。

 関東のみでいえば、織田に従っていなかったのは上杉だけだった。


 一方、西を見ると、中国地方では毛利が、四国では長宗我部が織田と敵対していたが、九州においては豊後・筑後を支配する大友氏とは友好関係にあり、薩摩の島津家とも外交が持たれ、近衛前久を仲介者として、両もの関係は良好であった。


 更に、朝廷からは三職推任の話が上がっており、織田の天下は見えるところにまで来ていた。

 その為、この状態であっても信長は大してそれを危機に感じていなかった。




 だが、火種は直ぐ側で燻っていたのだ。


 京の守護であった明智光秀は、己の屋敷でただ静かに時を待っていた。

 広い部屋の一室で、瞑目し、精神を澄ませていた。


 その頭に浮かんでいたのは己の事。


 足利将軍家に忠誠を誓い、最後の将軍となった義昭公と共に足利幕府の再興を夢見て諸国を流離った日々。

 だが、将軍家に忠誠を誓っていた筈の自分は、事もあろうに将軍家の幕引きの一手を担ってしまった。

 そして、あの時誓った”幕府の再興”は最早叶わず、主君を討った仇敵とも言える織田信長が天下を掴もうとしている。


 あぁ、どれ程この身は不忠であるのか。

 光秀は心の中で涙の雨を流す。


 だが、一方で現在の自分の立場を、光秀は良く理解していた。

 柴田・丹羽・滝川・木下・佐久間といった織田家中でも柱を担う将達はおらず、”軍監衆”という織田の頭脳もいない。

 この状況では、この身は山城や丹波・近江を含めた畿内の織田軍を束ねる身でもあるのだ。

 この様な立場にあるのは全て、己が働きを主君(信長公)が認めてくれているからだ。



 自分はどちらを取るべきか。



 だが、ふと思い出す。

 義昭の身が果てる数日前、光秀は義昭からの書状を受け取っていた。

 その文は、義昭直筆で書かれていたのだ。


『――もし、余が信長に討たれる事があるならば、それ程に口惜しい事は無い。もし、将軍家の再興を果たせぬその時はお主が信長を討て。世に、足利将軍家に忠誠を誓ってくれたお主ならば、必ずやそれを成してくれると信じている』


 と。

 そして一番最後に血判が押されており、どれ程の意志でそれを押したのかが、光秀には痛い程良く伝わった。

 裏切った自分を、信じて下さっていた。

 その事実に、心が締め付けられる。

 そして光秀は、須藤の言葉を思い出した。


『”この国の形”――それは人によって千差万別。ただ、公方の考える”この国の正しき形”が、我等(他者)と相容れなかっただけ』


 なら、私にとっての”この国の正しき形”は。

 私の思い描く”正しさ”は――



 そして報せが入る。


 ――織田信長、四国長宗我部を攻める為に京、本能寺に入る。


 歴史は、動き出す。






現在年明けでの新作投稿に向け、新作を執筆中。

なんとか十話程度は書き溜めたい……のですが、ここで一つ問題が。


異能バトルモノ? なのにヒロインの能力が決まらない(汗)

他のキャラ達はほぼほぼ決まってるのに……。

思わぬ壁ですね。


でも史実やら年齢やら事件やらを気にしながら書かないといけないこの作品よりも全然書きやすいです(笑)

もう書く速度が違いますわ(笑)



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