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第十一話 今川本隊先遣隊を叩け

ブックマーク有難うございます。

励みになっております。


この作品と同時期を上杉勢視点から描いたナカヤマジョウ様の作品、『謙信と挑む現代オタクの戦国乱世』が投稿されております。

其方もぜひ読んで下さいませ。

……別に同人物が別アカウントでってわけではないですよ?

ちゃんと別人です。

というか別作品書いてる余裕があるならこれとかの続きを書きます。

 尾張国 桶狭間山 《視点:須藤直也》



「報告致します! 桶狭間山とその麓の二ヵ所に足利二(あしかがに)引両紋(ひきりょうもん)、片方には今川赤鳥(あかとり)紋の旗が掲げられているとの由!」


 その報告を今川本陣に向かう最中の馬上で聞いた信長は、少し後ろで馬を走らせる俺に振り返り、


「……須藤、手前(テメェ)の言った通りになったな!」


 そう言ってきた。

 俺も頷き、


「足利二引両紋は今川家の、赤鳥紋は義元個人の掲げる紋。先ずは先遣隊を叩きましょう」


 足利二引両紋は文字通り、室町幕府将軍足利家の家紋だ。

 足利二つ引(ふたつびき)の方が知られているかもしれない。

 足利将軍家以外にも、その一門である細川家、斯波家、畠山家等管領家も使用している紋である。

 今川家は足利家の分家である吉良家――忠臣蔵で有名な吉良上野介を輩出したあの吉良だ――の分家である為、今川家もこの足利二引両紋を使っているのだ。


 一方の今川赤鳥紋だが、今川義元個人が使った馬印で、彼以外には使わない代物なので、これが掲げられていると言う事は、つまりそこに義元がいる、と言う事だ。

 この紋は、義元の先祖である人物が「赤い鳥と共に戦うべし」というお告げを聞いたことから使い始めたとも、「戦いの際に持つ女性の道具は幸運の象徴」であり、女性が髪を梳かす櫛の汚れを取る”垢取り”が由来であるとも言われている。


 俺の言葉に頷き、信長は声を張り上げる。


「良し! ――これより今川の先遣隊を叩く! 皆、疾く駆けよ! ――ハァッ!!」


 そう言うと、信長は馬を叩いて更に速度を上げ、


「「「「オオオオオオォォォォッ!!」」」」


 臣下達も歩兵だろうと騎兵だろうと遅れるものかと更に速度を増して駆け出した。


 ……だから主君が先頭を行くなと! ――ったく!





 尾張国 桶狭間山麓 今川軍本隊先遣隊



「しっかし、強い雨だなぁ」


「こんな中じゃ、先を見て来いと言われても見えねぇよなぁ」


 今川軍本隊より先に進んでいた先遣隊は、猛烈に降り注ぐ雨の中を進んでいた。

 雨により、視界も奪われ、雨の音で邪魔されて己の周囲の音位しか聞き取れない。

 そんな状況であり、その様な言葉が囁かれるのも仕方の無い事であった。

 だが、やがて先頭を進んでいた兵士達の視界に、雨に邪魔されてしっかりとは見えないが、影の様なモノが見えてきた。


「……なんだぁ? ありゃ」


「この雨で大樹でも倒れたんじゃねぇのか?」


 口々にそんな事を言いながら()に近寄っていく。

 だが――


「――――――!!」


「「「「オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!」」」」


 聞こえてきたのは何者かの叫ぶ声と、近くに来た事で聞こえるようになった人間の、それも数百といった単位の声だ。

 そしてそれが人だと理解した今川軍の兵士達の眼に映った旗は――


「……あぁ、”五瓜に唐花”! ……ありゃ、ありゃあ――」


織田木瓜(おだもっこう)だあああぁぁぁぁっ!!」


 次の瞬間、先頭で馬に乗っていた男が何かを叫びながら上げていた手を振り下ろすと同時、後ろに控えていた騎兵達が今川軍先遣隊に突撃を始めた。






「……来たか!」


 桶狭間山の中腹にある道を塞いでいる軍勢の先頭に立ち、前を睨んでいた信長がそう呟いた。

 そして暫くしてから漸く、俺の眼にも”信長が見たモノ”が見えてきた。

 足利二引両紋の軍旗だ。

 今川本隊の先遣隊か!


「須藤! 手前は奇妙を守ってやってくれ!」


「承知した! ――奇妙様、某の後ろにお乗り下され」


 信長の要請に、俺は頷き、俺の隣で馬に乗っている奇妙丸様に声を掛ける。


「あ、あぁ!」


「――失礼!」


 奇妙丸様は初めての戦場で、しかも敵が見えてきたことで緊張がぶり返して上手い事動けないらしく、俺は仕方なしに、少々手荒だが首根っこを掴んで俺の後ろに乗せた。

 そして信長に頷くと、信長はそれに頷き返し、再び正面を睨み、手を挙げる。

 その手が振り下ろされれば、それが突撃の合図となる。

 臣下達は既に臨戦態勢であり、中には嬉しそうな、獰猛な笑みを浮かべている者もいる。

 ……誰と言えば”攻めの三左”とその家臣団”森衆”の連中なのだが。

 俺も奇妙丸様の事を気にしながら、腰に差した剣を抜き、構える。


「――!!」


「――!?」


 どうやら向こうも気付いたらしく、雨の音に混じってザワザワと動揺の声が聞こえる。

 それを合図に、信長が手を振り下ろす。


「死んでいった者達の仇だ! ――皆、蹂躙せよ!!」


「「「「オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!」」」」


 織田軍の兵士達が雄叫びを上げる。

 主君の命に従い、織田軍は今川軍本隊先遣部隊へ突撃を開始した。




感想を頂いた方からチートと言われる主人公ですが、現在のステータスとしてはこんな感じ。

それぞれ十段階。一般兵士がオール1かな?

個人武力:7 部隊運用:7 軍略:8 内政:5


で、例えば柴田勝家なら

個人武力:10 部隊運用:9 軍略:6 内政:5

丹羽長秀なら

個人武力:8 部隊運用:8 軍略:7 内政:10

森可成なら

個人武力:10 部隊運用:8 軍略:7 内政:7


自分としてはこんなイメージ。


……あれ? 強くなくね?


あ、ちなみに”先遣隊”自体が『本隊より先んじて出る部隊』という意味を持っていますが、わかりやすさ重視で『今川本隊先遣隊』と書いています。



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