表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/215

第百一話 備中到着と急報

 1562年 六月上旬 備中 高松 織田軍本陣



「――”軍監衆”須藤元直殿御到着!」


 備中に到着した俺は、周辺を警戒する見回りの兵に織田本陣に案内された。

 本陣の中心に置かれた卓の前で、織田軍諸将等が待っていた。

 秀吉を筆頭に、”軍監衆”から官兵衛・半兵衛。

 蜂須賀正勝・山内一豊・津田将監・杉原家次・堀尾吉晴・花房職秀等秀吉配下の家臣達。

 三好義継等阿波の三好に、高山右近等摂津国人衆、そして明智光秀。

 その近くには幾人かの小姓が控えている。


「久しぶりだな秀吉」


 俺が声を掛けると、秀吉が立ち上がる。


「――おぉ、お久し振りに御座います須藤殿!」


 相変わらずのサル顔で、”人たらし”の言葉通り、人が好きそうな笑みを浮かべている。


「ようおいで下さいました! ささ、此方にどうぞ」


 秀吉に促され、俺は半兵衛・官兵衛の隣に用意されていた椅子に座る。


「――して、状況は如何なってるんだ?」


「うむ。……半兵衛殿、状況を今一度整理したい。頼めますかな?」


「――はっ。現在攻めている高松城は、毛利の忠臣清水宗治が城主を務め、現在五千の兵が詰めております。東から北を峻厳な山が、西には川が、そして南側には沼が広がっている沼城あり、騎馬にも、鉄砲にも強い堅城となっております。何度か兵を出しましたが、その都度敗走を余儀なくされております。安易に攻めれば、負けるのは此方でしょう」


 ……ふむ。

 ”高松城の戦い”が史実では信長の死後行われている事もあるが、大筋では状況が変化している訳では無い。

 ”本能寺の変”の首謀者である明智殿もここにいることから、”本能寺の変”は起きないだろうとは考えられるが、やはり大きく歴史は変わっている様だ。

 ――それは置いといて。


「周囲の小城は既に此方の手の中にあるますが、何時毛利からの援軍がやって来るともわかりませぬ」


 半兵衛の言葉を、秀吉が引き継ぐ。


「なるべくならばこれ以上の兵の消耗は抑えたい。どうにか策はないかと考えていた次第」


 ふむふむ。

 いや、なら史実で官兵衛がやった水攻めが一番良いんじゃないか?

 官兵衛だったら、既に思いついているだろう。


「……官兵衛。お前は既に思いついてる、だろ?」


 そう言った俺に、一瞬驚いた顔をした官兵衛だが、直ぐに笑みに変える。


「おや、須藤殿も同じ結論に達しましたか。兵の消耗を抑え、城の機能を失わせる策。それは――」


「「――水攻め」」


 うん。官兵衛なその考えに至るだろうな。

 官兵衛は立ち上がると、中心に置いた周辺地図を指さす。


「――ここ、高松城は西方に足守川がありまする。これを使わぬ手は無いでしょう。雨の良く降る時期を狙い、堤防を築き、川の水をせき止め、増水させれば宜しい。さすれば、高松城は水に沈みましょう」


 その案を聞いた秀吉達は、直ぐに実行に移そうとした。

 だが、数日後、伊賀の忍が急報を持ってきた。



 “甲斐の虎”。戦国屈指の戦上手。

 武田信玄が死んだというのである。




ブックマークや評価宜しくお願いします。

平に、平にお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ