第九十二話 黒井城の戦い
大谷とか藤堂とか石田とか加藤とか出したいなー。特に大谷とか主人公の副官にいいんじゃね?
なんて思ってたけど、この年だと生まれて間もないか生まれてないという……。
幾ら時代設定バラバラでザルだと言っても年代的に流石に出せない(泣)
1562年 一月 【視点:須藤惣兵衛元直】
越後との和睦が終わったとはいえ、織田には未だに敵が多い。
京に近い丹波の波多野も、その勢力の一つだ。
当主である波多野秀治、そして国人の一人であった赤井直正を筆頭とした国人衆。
特に名前の出た赤井直正は後世では”丹波の赤鬼”と呼ばれ、丹波の内三郡を支配しており、波多野の領地を上回っている。
上洛した際に織田に降った勢力でもあるのだが、その後但馬守護山名祐豊、夜久野城主磯部豊直等が氷上郡山垣城を攻めたのを機に一転、山名と磯部両軍を撃退した事から、反織田勢力となった。
これに対して信長は毛利元就の次男で、吉川氏の養子となった吉川元春を討つ前に、背後を抑えておこうと、明智殿を向かわせた。
越前より帰還した俺は、半兵衛や官兵衛が毛利調略を担当している事もあり、丹波の豪族達の調略を請け負う事となった。
まぁ俺自身が使者として向かう訳では無いから構わないけどさ。
この戦は、一度目は明智が負けている戦だ。
どうにかして、第二次の方に持ってかなければならない。
朧気にしか覚えていないが、一度は味方として取り込んだ波多野が、裏で赤井と結んでおり、それによって負けたとか。
”赤井の呼び込み軍法”……だったか?
”第一次黒井城の戦い”は、明智軍の油断が大きな理由だろう。
黒井城に籠る赤井直正を包囲したところを他の丹波の国人達の襲撃に会い、敗走したのだ。
今ならば吉川からの援軍は来ないだろう。
信長からは与一郎殿と、御子息である”戦国三大DQNの一人”である細川忠興の援軍が送られ、更に後には明智秀満等の増援が来る事になっている。
先ず、俺達は桑田郡の亀山城、多紀郡の籾井城を攻め落としてそこを拠点とした。
「では、これより差配を下します」
「――須藤殿、宜しく頼みます」
明智殿に頷き、俺は地図を広げる。
「……我等は一挙に黒井城を急襲する事無く、周囲の城から徐々に落としていきまする。先ずは、与一郎殿等が合流した後、氷上城及び八上城を包囲致しまする。それと同時に、現在伊賀忍を既に赤井勢に忍ばせて動かしておりまする」
「……伊賀忍を? どの様な理由で?」
明智殿が俺を疑わし気に見る。
俺は意識的にニヤリと笑い、
「……無論、暗殺に御座るよ」
第二次で明智軍が勝利したのは、それまで主導者であった赤井直正が病没した事により、赤井家中どころか丹波国人衆にまで影響を及ぼしたからだ。
だが、如何せんこの世界でそれが確実にあるのかどうかすらわからない上に、史実よりも十年以上も早い流れで進んでいる以上、病没を待つわけにはいかない。
そこで俺が目指したのが、暗殺である。
医療や薬に精通し、諜報活動をメインにしていた甲賀忍に比べ、伊賀忍は武術や呪術を得意とし、潜入等も行っている。
今回は、甲賀忍が作った強力な毒を伊賀忍が赤井直正に使う。
恐らくもう少し、与一郎殿等が救援に来る頃には結果が出る筈だ。
「……須藤殿はいつの間にその様な」
「何。某、これでも”軍監”が一人。『事前に有利な状況を作り上げる事』も仕事の内故」
絶句する明智殿に、俺は笑って言った。
数週間後、与一郎殿等が救援にやって来た。
「おぉ、惣兵衛殿。お久しゅう御座いますな」
「あぁ、久しぶりだな。……忠興殿も」
「はい。お久しゅう御座います須藤殿」
……こうしてみると将来ヤンデレになるなど思えない程の好青年ぶりだな。
どうやらかせばあんなヤンデレになるのか理解出来んぞ。
因みに、既に元服も済ませており、明智殿の娘である玉子様とは婚姻関係にある。
まぁ史実に比べて生まれる年齢や死亡する歳もズレているので、既にこの歳には両名とも十代中盤辺りだ。
……これはヤンデレを回避させないと余計な波乱を生みそうだ。
……まだ性格矯正には間に合うよな?
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