ブリューナクの閃光
(アルパスター将軍!!ならっ!!)
航太は地面に向けて風の刃を放ち、土煙を上げてスリヴァルディの視界を遮る。
さらに、自分の前方に風を発生させ、その力を利用して後ろへ飛んだ!!
(将軍!!頼むぜ!!)
その瞬間、航太の考えを汲み取ったアルパスターの【ブリューナク】から放たれた3本の閃光が、土煙の中のスリヴァルディに直撃した!!
「ぐへぇ!!!」
緊張感の無い呻き声を上げ、その場に倒れるスリヴァルディ……
「おっしゃあー」
とりあえず、ガッツポーズをしてみる航太。
当然のように、再びムクっと起き上がるスリヴァルディ……。
(だろーな……もー驚かねーぞ!!どーせ9回殺さねーと死なないんだろ!!)
アルパスターが参戦してくれた事で、心に余裕が出来た航太は【エアの剣】を構え直す。
「上級神器【ブリューナク】を持つアルパスター相手では、苦戦必至ですね!ここは無理に戦う場でもない。引かせて頂きますよっ!!」
周りにいたヨトゥン兵をアルパスターと航太に向かわせ、スリヴァルディは後退した。
「なんて卑怯な奴だ!!自分の兵を盾にして逃げンのかよ!!怪我してなきゃ、こんな奴ら倒して追えるのにっ!!」
航太は纏わり付くヨトゥン兵に、苦戦を強いられた。
しかし、自分の周りのヨトゥン兵をあっさり倒したアルパスターが、ブリューナクから閃光を放ち、あっと言う間に航太の周りのヨトゥン兵も倒した。
(すげっ!!)
航太はアルパスターの戦いを目にするのは始めてだが、【将軍】の名は伊達じゃないと感じていた。
「航太、ゼークと一緒じゃなかったのか?」
アルパスターが周りを見渡しながら、今まで戦ってたとは思えない程、穏やかに航太に聞いた。
「一緒だったんだけど、スリヴァルディとか言うさっきの野郎に智美が足をやられて……ゼークが抱えて逃げてる筈なんだ……」
航太は答えながら、アルパスターやフェルグスと、自分とのレベルの差を感じずにはいられなかった。
「ゼークは、負傷してないのか??」
アルパスターは航太の傷つき方に不安を覚え、ゼークの責任感の強さ故に無理し過ぎると思い不安に感じた。
「いや、両腕を負傷してる。右腕は智美に治してもらってたケド、なんとか動く程度だと思う」
ゼークと智美を護りきれなかった悔しさが、無事に帰れる安堵を感じた瞬間に強く襲ってきて、航太は拳を地面に擦りつける。
「やはり……お前がここまで負傷し、ゼークもただ事ではないとすると……フェルグスと闘ったのだな?」
「ああ………フェルグスは強かった………今のオレじゃ、とても倒せない。負傷してんのに、ゼークに無理させちまった………」
航太は唇を噛み締めた。
そんな航太を見ているアルパスターは深刻な表情になり、戦場を見る。
数で圧倒していたゼーク軍だったが、指揮官不在な上に個々の力で勝るヨトゥン兵に次第に押され始めていた。
更にスリヴァルディの軍が加わってる為、ゼーク軍は追い込まれていく。
「航太、お前は幕舎まで一人で戻ってくれ!!キツイと思うが、頑張ってくれ!オレはゼーク達を助けに行く!!」
「将軍1人で、戦場を駆け回るのは無謀だ!!総大将が、狙われない訳ないだろ!!」
叫ぶ航太に、アルパスターは「大丈夫だ」と一声かけ、戦場に馬を走らせる。
(アイツと約束しているからな………オレが出来る、最善の努力をしてみるさっ!!)
そう思い戦場を駆け抜けていくアルパスターの背中を、とても大きく感じながら、航太の不安は何故か解消されていった。
(智美……ゼーク……アルパスター将軍が必ず助けてくれる………だから、無事でいてくれよ……)
2人の安否を気遣いながら、航太は後ろ髪を引かれる思いで振り返り、力一杯【エアの剣】を振った!!




