表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雫物語~Myth of The Wind~  作者: クロプリ
2人のフィアナ騎士
32/221

銀色の風

「うおおぉぉお!!」


再戦の口火を切ったのは、航太だった。


航太が風の刃を放ち、その瞬間にジャンプ!!


先程の奇襲のように、自分の後方に風を発生させフェルグスに突っ込む!


フェルグスは冷静に風の刃を弾き、航太の第二波攻撃を【カラドボルグ】で迎え撃つ!!


勢いのついた航太相手に【カラドボルグ】を伸ばしたのだ!!


「ぐわっ!!」


閃光の如く高速で伸びる剣を風圧でズラし直撃は避けたものの、右腕に【カラドボルグ】の斬撃を受け、勢いのついたまま転げ落ちた。


航太の右上腕からは、鮮血が吹き出していた。


辛うじて握っていた【エアの剣】を左手に持ち替えたが、右腕から流れた血液が柄に付着し、握りにくくなっていた。


(畜生!!やっぱり強ぇ!)


今までの生活で感じた事の無い痛みと血液の量に、航太は血の気が引いていくのを感じた。


そんな航太の事情はお構いなしに、フェルグスの攻撃は続く。


伸ばした【カラドボルグ】を、体勢の整わない航太目掛けて横に払う。


「うわっ」


遠心力のついた【カラドボルグ】は、握りの弱い……ましてや、戦う気力の萎えた者の持つ【エアの剣】で防ぎきれるものではなかった。


左手に持つ【エアの剣】で咄嗟にガードはしたが、弾いた衝撃で剣の腹が右腕を直撃し鈍い音がした。


その直後、右腕に激痛が走り【エアの剣】を握れなくなった……それどころか、動かない……。


(折れちまったのか??右腕が熱い!!)


航太は激痛で、剣を構える事すら出来なくなっていた。


更には、汗が額から流れ落ち、目の前の視界の邪魔をする。


「仲間や慕ってくれてた人を裏切ってまで、守りたかったモノって何だよ……」


航太は、絶望を感じながら……ただ、自分の感じている気持ちを呟いていた。


「貴公には分からんさ……国や友人を捨ててでも、守らなければいけない人もいる……」


航太に止めの一撃を放つ為、フェルグスは【カラドボルグ】を伸ばした!!


ガキィィ!!


銀色の風が【カラドボルグ】の剣先の方向を変える!!


まだ治療を終えていないが、航太の劣勢を見兼ねて、たまらずゼークが飛び出してきたのだ!!


「ゼーク!すまない!傷は大丈夫なのか??」


「左腕はまだ動かないケド、右腕は普通に動く!智美に感謝しなきゃ☆」


まだ左腕には力が入らない為、右手だけでバスタードソードを持つゼークが航太に心配をかけないよう明るくいう。


その言葉に、航太は自分の弱い心に鞭を打つ。


(ゼークだって辛いのに頑張ってんだ。オレだって……)


航太の目にも力が戻り【エアの剣】を、まだ動く左手で強く握る。


その時!!


「きゃああああ」


女性…………智美の叫び声が、突然聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ