ガイエンの真実2
ネイアが刺された直後、絶叫したティアは頭を抱えて蹲った。
ネイアがガイエンに刺された映像が、自分の旦那と姉が刺された瞬間を思い起こさせ、ティアの頭の中でフラッシュバックする。
その為、ティアの頭の中は…………心は、言いようのない悲しみが渦巻いていた。
その様子を見たエリサが、ティアの元に駆け寄る。
エリサは自分の心を立て直す事で必死だったが、ネイアの意思を止めてはいけないという使命感もあり、ティアをほっとく事は出来なかった。
「ティア、落ち着いて!!悲しむのは、この状況を打開してからよ!!もう少しだけ、頑張って!!」
エリサがティアの肩を強く抱いて言うが、ティアは頭を抱えたまま動かない。
「ティア…………心の優しい君は、戦場に出てはいけない…………悲しみが増すだけだ…………」
ガイエンがティアの方に歩み寄ろうとした時、一真がガイエンの前に立ち塞がった。
「お前が…………ティアさんを悲しませてるんだろ!!これ以上悲しませたくなかったら、ティアさんの前から姿を消せ!!」
一真がネイアから渡された細身の剣を構え、ガイエンに向かって叫ぶ!!
「煩い奴だな…………人間なんかと一緒にいるから、ティアがおかしくなるんだ!!貴様等が消えろ!!」
ガイエンもヘルギを構えて、一真を睨みつける。
そんな一真の前に、エリサが踊り出た。
「一真、逃げて!!私には、隊長があなたを庇った意味は分からない。でも、隊長の…………ネイアさんの意思は、残った私達が繋げてみせる!!」
気丈に叫ぶエリサの瞳からは、涸れる事のない涙が流れていく。
しかしその瞳からは、ガイエンと刺し違えても構わない…………そんな覚悟が感じられる。
「一真、戦っちゃ駄目!!ネイアさんの死を無駄にしないで!!ティアとルナを連れて逃げて!!」
一真の構える細身の剣の前に立ち、エリサは気丈に言葉を発した。
「だけど…………オレは…………もう、我慢できない!!」
一真はエリサの前に出ようと足を前に出そうとするが、その動きをエリサが制する。
「お前が我慢出来なかろうが、なんだろうが、その女は無駄死にだ。貴様等は、結局オレに殺されるんだからな」
ガイエンは女性に動きを封じられている一真を見て、「フン」と鼻で笑う。
そんなガイエンを見て、エリサが怒りの表情を浮かべる。
そして…………自分の命を捧げる覚悟を決めて、ガイエンを睨む。
「ネイアさんが無駄死に??なら、貴方のご両親は無駄死にならぬ犬死にね!!村人を護る為に戦った英雄の子供が、今や女性を殺して得意満面なんて……………そんな危険な子供を産んで、教育もしっかりしないで死ぬなんて…………考えたら犬死に以下…………ホント、迷惑一家だわ!!自分の子供1人育てられないなんて、英雄とか言われて勘違いしちゃってたのかしらねー??あなたのご両親は??」
エリサは憎しみの篭った声を…………そして、馬鹿にしたような言葉をガイエンに浴びせる。
「ちょっとエリサさん!!何を言ってるんだ!!」
敵であっても、エリサは死んでしまった人を侮辱するような事は絶対にしない性格だ。
それを畳みかけるように…………まるで、自分を狙って下さいと言っているかのように…………
一真は慌ててエリサの言葉を止めようとするが、エリサはお構いなしに少しずつガイエンに迫っていく。
「オレの両親を侮辱するとは……………いい度胸だ!!望み通り、まず貴様から殺してやる!!」
怒りの声を発するガイエンは、顔まで赤く上気している。
「はいはい、また弱い女性から狙うのね。貴方、両親にどうゆう教育受けたの??まぁ…………ご両親も大した事ないから仕方ないか…………村人に殺されちゃうくらいだし」
エリサはわざとらしく腕を広げ、呆れた顔をして溜息をつきながら言う。
「ちょっと、エリサさん!!止めるんだ!!本当に殺されてしまう!!」
一真はエリサを止める為に、力を込めて肩を掴む。
「いいの一真…………これで、ガイエンの目は私にくる筈…………私が狙われいる間に、一真はティアとルナを連れて逃げて」
「そんな事………出来る訳ないだろ!!オレの目の前で、もう誰も死んで欲しくないんだ!!」
一真は涙ながらに訴えるが、それをエリサは手を広げて制した。
「なんでネイアさんが一真を守ったのか…………戦わせないようにしたのか…………それを考えなさい!!ネイアさんは、意味の無い事はしない人だったでしょ??」
そう言ってからガイエンを睨んだエリサに待ってたのは、ヘルギから発する赤い光だった。
ヘルギの光をまともに見てしまったエリサは、今までの強気の表情から恐怖の表情に変わり、その瞳も意思の力を失ったかのようにか弱いものになってしまう。
「随分と勝手な事を喚いてくれたな…………死んで、オレの両親に詫びて来い!!」
ガイエンがヘルギを振り上げてエリサとの距離を詰めようとした時、ガイエン目掛けて鎌鼬が飛んできた………




