バロールとの戦い4
「うおおおおぉぉぉぉ!!」
ユングヴィ王子……………フレイは、神槍ゲイボルグを巧に操りバロールに攻撃を仕掛ける。
ゲイボルグ…………かつて7国の騎士の1人、そして太陽神ルーの子孫であるクー・フーリンが操った伝説の槍だ。
ゲイボルグが、どのような経緯でクー・フーリンからフレイに渡ったかは不明である。
史上最強の剣、ソード・オブ・ヴィクトリーが失われた後、フレイはゲイボルグの所有者となった。
その伝説の槍、ゲイボルグが稲妻の如くバロールに襲いかかる。
「航太!!今のうちに、ゼークの救出に向かえ!!バロールの魔眼はオレが引き受ける!!」
フレイは神である為、魔眼で見られても死ぬ事はない…………力は半減させられてしまうが……………
氷の球の中にも入り込んでくる、太く力強いフレイの声は航太や智美達に勇気を与える。
「しゃあ!!王子が来てくれたなら、もう大丈夫だ!!ゼークを助けに行くぜ!!」
航太は渾身の力で鎌鼬を放ち、氷の球を破壊する。
「んで、ゼークのトコまで飛ぶぜ!!」
航太は自分を中心に、円を描くようにエアの剣を回した。
すると、地面から強烈な風が吹き出し、航太達を空へと…………ゼークの元へと飛ばす。
「仲間を守るか……………力を発揮出来ない武器で、我と一騎討ちを挑むとは愚かよのう…………」
「やってみなければ分からん!!」
余裕のバロールに向けて、フレイはゲイボルグを投げつけた。
ゲイボルグは投擲武器としても優秀であり、フレイの投げた槍はバロールの目の前で、なんと30本の槍に増殖する。
その30本の槍の雨が、バロールに降り注ぐ!!
しかしバロールの瞳が青白く輝いた瞬間に強風が吹き、槍の大半が軌道を逸らされた。
残った槍も、簡単にバロールに弾かれていく。
弾かれた槍に他の槍が次々に吸収されながら、主の元に戻っていき、フレイの手元に戻った時には、1本の槍の姿になっている。
戻ってきたゲイボルグを構え、フレイはバロールの目の前に立ち塞がった。
「なるほど…………流石は戦神フレイじゃ!!魔眼の影響下にありながら、なかなかの攻撃じゃの!!」
「ふん、よく言うな…………貴様の魔眼のおかげで、ゲイボルグの力も半減だ…………本来なら、風ごときで軌道を逸らすなど不可能だ!!」
バロールは3つの魔眼を見開いて、フレイと対峙する。
2人とも話ながら相手の隙を伺うが、お互いに隙がない。
だが、フレイのいる場所はバロール軍本隊の真っ只中であり、周りにはヨトゥン兵が溢れ返っている。
バロールに集中するフレイに、そのヨトゥン兵が斬りかかってきた。
ヨトゥン兵の数体など、フレイの敵ではない。
それでもフレイがヨトゥン兵と戦えば、バロールの魔眼は確実にゼーク隊や航太隊に向けられてしまう。
なんとしても自分に魔眼を向けさせておく必要があり、フレイは攻撃まで手が回らない。
「どうしても、仲間を守りたいんじゃの。人間は、魔眼で見られただけで死んでしまう弱い生き物だからのぅ…………しかし、ここに戦力をかけていては、ガヌロンに出し抜かれるぞ…………あやつは、アルパスター隊の布陣を熟知しておるからの…………」
バロールの言葉を聞いて、フレイは一瞬戸惑う。
ガヌロンがヨトゥン側にいるのは、何となく予測はついていた。
問題は何故ガヌロンが裏切って今回の戦闘に参加している事を、バロールが教えてきたのか……………
(恐らく、今回の戦闘は我々の戦力の把握のはず…………コナハト城で籠城し、遠征軍を全滅させる為に必要な戦力を把握する事…………となると、1番弱い所を叩いて、その対応力も見ようとするか??)
フレイは直ぐに考えを纏めると、口を開く。
「航太は500の兵を持って、前衛のアルパスター隊と合流!!ゼークは残りの航太の部隊を指揮して、私のフォローをしろ!!智美と絵美はゼークの援護を!!」
フレイの言葉は、離れた場所にいるゼークや航太にしっかり届く。
「航太、聞いた??私達は、ユンクヴィ王子のフォローに向かう。智美と絵美は借りるわよ!!それと航太隊の500は、私に付いて来い!!」
フレイの指示を聞いたゼークは、直ぐに行動を開始する。
「なっ………オレも行くぜ!!ここでバロールを討っちまえば、それが1番だろ??なら、遠距離攻撃出来るオレが王子のフォローをした方がいい!!」
「航太、ここは戦場よ!!そして、あなたは兵を指揮する立場になった。自分の判断が、多くの兵の命を左右する…………そして戦争の勝敗は、多くの人の人生に影響する。それを自覚して考えて!!多分だけど、バロール軍の本隊以外に別働隊がいる。だから…………」
そこまでゼークの言葉を聞いていた航太は、頷いてその言葉を止めた。
「分かった!!やっぱ、皆すげーや。一瞬で考えて判断する………それが、指揮官として求められる能力か…………とりあえず、アルパスター将軍のトコ行って情報仕入れて来る。それまで、智美と絵美を頼む!!」
そう言うと、航太は500の兵を引き連れて戦場を離れて行く。
「さてと…………煩いのは居なくなったし事だし、ゼーク宜しくね!!」
「水の力を使えば、魔眼の力を無効化出来るみたい。だから、私が防御を受け持つわ!!」
絵美と智美の言葉に、ゼークは一時笑いながら頷く。
それも一瞬で、直ぐに表情を険しいものに戻すと、航太の隊の兵と自分の隊の兵を見る。
「王子は、魔眼に対抗出来る術を持っているようだ!!王子がバロールとの戦いに集中出来れば、我々が魔眼の脅威に晒される事はない!!ここで先ほどまでの借りを返すぞ!!数では劣るが、ここが正念場だ!!ベルヘイム魂を見せてやれ!!」
ゼークが、自らのバスタード・ソードを天に掲げた。
「うおおぉぉぉ!!!!」
ベルヘイム兵達が、鬨の声を上げていく!!
(地面が揺れてる!!凄い!!力が漲ってくる!!)
ゼークの横にいた絵美は、心を震わせる。
智美は、振り上げたゼークの剣の柄が気になっていた。
傷の多い刀身とは違い、柄は白く輝いている。
そして、神秘的な炎の紋章がついていた。
(あの剣…………刃の部分は普通に見えるケド…………あの神秘的な柄…………ひょっとして、ゼークもMyth Knightなの??)
智美は疑問に思ったが、戦いに集中しようと首を振る。
「いくよ!!絵美、智美、私に付いて来て!!テューネは、あまり無理しないでよ!!」
そう言うと、ゼークがバロールの死角となってる林から飛び出した!!




