表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雫物語~Myth of The Wind~  作者: クロプリ
血に染まる白冠
114/221

明かされる真実2

「そう………だが、現在のミステルテインの使い手の妹のフレイヤ………ヴァナディース姫はヨトゥンに捕われている。神剣がフレイヤを選んでしまった以上、オレにはミステルテインを持つ事が出来ない。ロキを倒すには、ミステルテインとフレイヤが絶対に必要なんだ」


 ユングヴィ王子の話を立ったまま聞いていた航太が、姫救出の重要性を理解した。


「つまり…………この戦争の首謀者であり、危険人物のロキを倒すのに、姫の力は絶対に必要って事だ!!だから、ここまで力を入れてんだな。けど、他の兵はこの話を知らないのに、士気が高いのは何故だ??」


「航太はフレイヤ様を見た事が無かったな………男なら姫を助ける為なら命を投げ出すし、女性からも憧れの的だったんだ。神の世界でも1番の美女で、更に優しいときてる。ヨトゥンに捕われた時、様々な国が勝手に救出作戦を行って散々な目にあってるんだが、どの国もフレイヤ様に感謝されたいんだ」


 アルパスターの言葉に、航太の目は輝く。


「ベルヘイム以外の国が、勝手に救出作戦って…………すげぇな…………」


「だろ??どの国も、フレイヤ様に自分の国にいて欲しいと願っている。それ程の美しさと優しさがあるんだ。今回の部隊も、ベルヘイムとアルスターの連合軍だが、フレイヤ様救出作戦だからこそ手を取り合っているようなモノだ」


 アルパスターこ言葉を聞きながら、まだ見ぬフレイヤを想像して、航太の顔がニヤける。


「航太は、フレイヤの好みでは無いだろうな…………残念だが……………」


 フレイの言葉に、航太が頭を抱える。


「けどよ…………ヨトゥンがフレイヤを生かしておく理由って、あんのか??だいたい、なんでヨトゥンはフレイヤを奪っていったんだ??」


 開き直った航太が、フレイに問う。


「ロキはヨトゥンと神族のハーフ。ヨトゥン側も、ロキを完全に信用していないんだろうな…………そして、敵将のバロールは【魔眼】を使ってフレイヤとミステルテインの関係を知っている。ヨトゥン側としても、ロキを倒す手段を持っておきたいんだろう…………不死身な上に裏切るリスクのある味方への対抗手段は、持っときたいだろうからな…………」


 フレイが、航太に答える。


「なる………つまり、ロキは味方にも信用されてねーって事か!!」


 アルパスターは、腕組みしながら頷いた。


「航太、この話を知ってるのは我々だけだ。多くの人に知り渡る事になれば、情報漏洩や勝手な事をする者も増えるだろう。絶対に他言無用だぞ!!」


「わかった」


 事の重大さを理解し、自分の責任の重さに、航太は身が締まる思いである。


「そーいや、そのバルドルは不死身の人間になってるんだろ??探さないのか??」


「ん…………まぁな…………一説では、バルドルを救った神と一緒に行動しているらしい……………って話もあるが…………分からんな」


 歯切れの悪いアルパスターの言葉に航太は疑問に思ったが、今は知られてはいけない事でもあるのだろうと察し、深くは追求しなかった。


(に…………してもだ。ロキって奴は、なかなかのクズ野郎に聞こえたが…………そんな奴を、なんで智美は信頼してんだ??捕虜になっている間に、何かされたんじゃねーだろうな??)


 考え込む航太にアルパスターは、その肩を叩く。


「そんな事より航太、我々はヨトゥン領内に深く入り込んでいる。そろそろ、ヨトゥン側の神級の敵と戦う事になるかもしれん。鍛練を怠るなよ!!」


 ヨトゥン側の神級の敵…………そういえば、ランカスト将軍を倒したのも、ロキの側近であってロキではない。


 ランカスト将軍を倒した敵より、更に強い敵が相手になる…………


 そう思うと、航太は居ても立っても居れなくなり、足早にアルパスターのテントから外に出た。


 そのまま、直ぐに剣の鍛練に精を出す航太の姿があったのは、言うまでもない…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ