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雫物語~Myth of The Wind~  作者: クロプリ
紅の剣士と恐怖の剣
11/221

巨人族の為に振るわれる人の剣

 瞬間!!


 火の玉がガイエンを強襲した!!


「くぅぅ!!」


 ガイエンが【ヘルギ】で火の玉を切り裂く。


 航太が火の玉の飛んできた方を見ると、エリサが松明を持って立っていた。


「航太様!大丈夫ですか??」


「エリサさん!!ありがとう!でも来ちゃ駄目だっ!!」


 近寄ろうとするエリサを、航太が止めた。


 不意の遠距離攻撃を受けた時のガイエンの表情を見て、遠距離攻撃が有効だと考えたのだ。


 そして【ヘルギ】の相手を恐怖に陥れる特性は、剣を振ってる時や距離があると効果がないんじゃないか?と航太は仮説を立てていた。


 エリサは遠距離から火の玉を、航太は鎌鼬を放ち、ガイエンは二方向からの攻撃に防戦一方になった……ように見える。


「航兄、ネイアさんと民家に入ってみる!まだ中の人生きてるかもしれないし……」


 ガイエンの足止めに成功していると見るや、唐突に一真が航太に話かけた。


 ネイアも既に準備万端で、一真の後ろでスタンバイしている。


(こんな時に他人の心配かよ……)


 と思いつつ(一真らしいか……)と航太は感じた。


「わかった!!でも援護する余裕ねぇから、気をつけろよ!」


「うん!ネイアさん行きましょう!!」


 航太の声に一真が答え、民家に進む。


 民家に向かう一真の後ろ姿を見送りながら、航太は後方から聞こえてくる息遣いが荒くなっていくのを感じる。


「はぁっ……はぁっ………」


 航太が後ろを振り返りエリサを見ると、肩で息をし始めていた。


 魔法は、かなり体力を消耗するらしい。


(ガイエンが余裕持って防御してたのはこの為か……!)


 火の玉の威力が弱くなった瞬間、ガイエンが火の玉を切り裂き、エリサに向かって突進する。


「ナメた真似しやがって……!」


 ガイエンはエリサに切りかかる!!


「きゃあああ!!」


 エリサが目をつぶる!!


 ガキィィン!!


 激しい金属音がする。


 エリサが恐る恐る目を開けると、回復した智美が2本の剣を交差して【ヘルギ】の攻撃を受け止めていた。


「私の目の前で誰も殺させない!!絶対に!!」


 智美が叫ぶ。


 そして防御していた2本の剣で攻撃に転じる。


【天叢雲剣】はかわされたが【草薙剣】はガイエンの右上腕を切り裂く!


「ぐわっ!!」


 ガイエンは後方に飛ぶ。


(どうやら智美の剣は、剣だろうが鎧だろうが貫通する特性か……)


 航太は冷静に自分達の戦力を分析していた。


 そうしなければ、ガイエンに勝てないと思ったのだ。


 そんな事を考えてると絵美も震えから立ち直った。


「なんだったの今の!!もーイヤんなっちゃう!!」


 絵美もガイエンに向けて【天沼矛】を構えた。


「絵美・智美!大丈夫か?剣先を見ないで戦えばさっきの症状にならないハズだ!!」


 航太は自分の考えた仮説を絵美と智美に説明する。


「分かった。でも剣を見ないで戦えるの??」


 智美が航太に聞く。


「恐らく一定時間剣先を見なければ大丈夫だ!現に剣を振り回してる時に効果は出ない!」


「そか、じゃあジッと剣を見なきゃイイんだね♪…………って、それも難しいじゃん!!」


 航太の説明を聞いて、絵美が一人突っ込みをする。


 確かに、剣を構えたりすれば、剣に目がいってしまうのは人間の心理だ。


 さらにガイエンの剣技は、航太達のはるか上をいく。


 よそ見しながら戦える相手ではない。


(結局うつ手なしかよ……)


 航太達はジリジリと後退せざるをえない。


「来ないならこちらから行くぞ!!」


 先程傷つけられた智美に向かって・ガイエンが剣を振る!


 智美が【天叢雲剣】で防ぎながら、ガイエンに語りかけた。


「あなたは人なのに…なんで、ヨトゥンに協力してるの!!」


「人なら必ず人と共に戦わなきゃいけないのか?ふざけるな!!」


 ガイエンは智美の腹に蹴りをいれる。


「ぐはっ!!」


 智美はその場でうずくまる。


「智ちゃん!!危ない」


 絵美が【天沼矛】をしならせながら振る!


 すると矛先から鋭い水の刃が発生し、ガイエンを襲う!


「ぬをっ!!」


 ガイエンの深紅の鎧を簡単に切り裂き、脇腹から鮮血が吹き飛ぶ。


「おまえら……許さんぞ!!」


 ガイエンは怒りの表情をすると【ヘルギ】が赤く不気味に光る。


「きゃああああっ!」


 急に智美が叫び、再び体に震えが走る。


(これが真の特性か……有効範囲内で赤い光りを見るだけで、恐怖に支配されちまう!!)


 航太が鎌鼬を発生させ、ガイエンの目を智美から外させながら後退する。


 絵美も気付いたのか、航太同様ガイエンと距離をとる。


「航ちゃん、どうする?大分ヤバイよ!怒らせたのは私のせいだけど……」


 航太は少し考えた後、ガイエンに向けて語りかける。


「お前はなんで人間と共に戦おとしないんだ!人間側はヨトゥンに一方的に攻め込まれてんだろ!」


 ガイエンは、オレンジから赤に変わっていくオゼス村の上空を眺めた後、航太を睨んだ。


「いいだろう、教えてやる!!」


 ガイエンは語り始めた……


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