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イナイチ  作者: タイヨウノトウ
8/12

6月5日 日曜日

 朝から松下邸では合コンの反省会が開かれていた。当人たちは女子連中と飲んだ後、男だけでカラオケに行き、夜通し歌っていたらしい。目を覚ますと招集がかかっていたので一応顔を出したが、すぐに帰りたくなった。

 なんにもならない時間というのが、大学に入ってとても多くなったと思う。二年前の自分は、陸上に没頭して、走ることだけを考えていた。成績が上がらなくても、彼女がいなくても、小遣いが少なくても、何ともなかった。シンプルだった。走ることが大好きだった。




僕にとって走ることは、命を燃やして生きることだ。走るために食べ、走るために休み、走るために勉強して、走るために走ることこそが自分のあるべき姿だとさえ思う。体が痛んでも、競争に負けても、走らなくちゃいけないと、心の底で思っている。


また走れるかなあ、って。


魚って、どうしたら走れるんだろうか。

走るための生活は、成立するんだろうか。

前原や南たちは、嫌いじゃない。

彼らは彼らなりに命を燃やしているのだろうか。

例えば、宮崎は、合コンが僕にとっての走ることなのかもしれない。

そうだとしたら愉快なことだ。それは生き方を見つけたということだから。

でもきっと、本人はそんなこと考えていない。

そんなことを考えなくても、毎日を過ごせるならそれに越したことはない。

今の僕は、そうはいかない。


彼女は、どうだろうか。

彼女の生きている場所はどこにいるのだろうか。

楽器を弾いているときか、ゲームをしているときだろうか。

そもそもなぜ、僕と一緒にいるのだろうか。


僕はなぜ、彼女と一緒にいるのだろうか。

彼女がいなくなったら、どうするだろうか。

さらに深いところに潜ってしまうだろうか。


確か彼女は、僕に、何もしないの?と聞いた。

彼女には、僕のやるべきことがきっとわかっているのだと思う。

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