表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イナイチ  作者: タイヨウノトウ
7/12

6月4日 土曜日(3)

 下宿に帰って洗濯機を回したはいいが、日が暮れると雨が降るという予報を聞いたような気がしたので、洗濯物は浴室に干した。今夜は例の合コンが開催されるし、彼女はサークルでライブがあるというから、魚には行くあてがない。福岡にいたならミルまで泳いでいけるのに。


 どうやって陸に出ようかと考えていると、ピンポーンと呼び鈴が鳴った。実家から荷物が来るとも聞いていないので、宗教の勧誘だろうと思って玄関ドアの魚眼レンズを覗き込むと、服を着た骸骨がギターを背負って立っていた。価値観の多様化した現代だから、骸骨も社会の輪に入れるのだろうか。

「今日は居たな。降ってきたから寄ってみた」

骸骨が喋った。

「ああ、、傘ならないわ。たぶん大学に置いてきた」

「マジ??、、、じゃあラーメンでも食わん?」

ラーメンを食べるにしても傘は必要だが、南はもともと傘を借りに来たわけではないらしい。ポケットのスマホの画面を見ると、18時を過ぎている。通りには霧のような雨が降っていた。

「食う」

骸骨改め南のギターを部屋において、ラーメン屋に向かう。近いのは「まほろば亭」か「ごん太」なのだが、高架下を歩いていける分「まほろば亭」の方が都合がいい。南にそう伝えると、じゃあそこで、と言った。


 座敷の卓が一つだけ空いていたので二人で座り、注文した。

「そろそろ合コンの時間やな」

「ん?ああ、あいつらか」

「南はよかったん?」

「合コンがどういうもんかわからんけど、なんか、今はいいかな」

「そうやな」

「彼女、どんな子なん?」

「ゲーマー」

「マジ?」

「マジよ」

「連れてきてみんなでゲームしよう」

「嫌だわ」

「俺も嫌」

「あとUFOよく食ってるよ」

「それ廃人やん」

「人なだけマシやろ」

「理想が低い」

「良い傾向やろ」

「、、、まあいいや食おう」

「頂きます」

運ばれてきたラーメンを、ありがたくいただいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ