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ー4日目ー

ー4日目ー

ガンガンと何かを叩く音で目を覚ます。

バックヤードの床に寝ていた体をあげて音の鳴る方に向かう。

どうやら、このコンビニの入り口の方かららしい。

そこに居たのは神木だった。

神木は箒やモップ、それにたくさんの清掃道具を持ち入り口の壁を叩いていた。

それはどこから見ても“脱出”しようとしているように見える。

「ちょっ⁉︎神木さん⁉︎何してるんだよ!」

俺がいることに気づいたらしく手を止めてこちらを向く。

「あぁ、久我か?見ての通りだよ。壁を叩いている」

「いやいやいや⁉︎ルール忘れたの?“脱出行為”は“禁止事項”なんだよ!」

ルール表の事は譲渡した時も気にしていたはずなのに、どうして?

「俺は壁を叩いているだけだ。脱出はしていない。」

確かに脱出ではない。しかし、脱出をしようとしているのは目に見えている。

譲渡の時と違いアルファにもバレる可能性が、、、

そう思っていると、後ろから足音が聞こえてきた。

『神木様。それ以上“脱出行為”をする場合、“罰”を執行することになります。従って、速やかに終了してください』

今までレジの方にいたであろうアルファが立っていた。

その手には初日に見た銃を神木に向けていた。

「俺はまだ脱出してないだろ?」

『いえ、その危険性があります』

そうして、言葉を続ける

『今すぐ止めなければ撃ちます』

冷静に冷徹に、その言葉は神木に届く。

「撃てるわけねぇだろ?なぁ?だって俺は何も“禁止事項”を侵していないのだから」

アルファに食い付く神木に俺は見ていることしかできなかった。

そう、止める事も、危険を知らせる事も。

アルファの指に力が入っている事も。


大きな音がなる。初めて聞いた生の音は想像していた以上に響いた。

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっーーー⁉︎」

悲鳴にも似たうめき声が聞こえた。

神木が赤い血を流しながら床に倒れふせる、

『今回は警告ですが、次に違反者がいれば即座に“罰”を執行します』

そう言って、この場に意味をなさなくなったアルファは持ち場であるレジに戻っていった。

それを見送った後、この状況に対して頭がついてきた。

「神木さん!大丈夫⁉︎」

右足の腿のあたりを撃たれたらしく、その辺りから血がドクドクと流れ出している。

とにかく血を止めなければまいけない。周りには血を止めるための道具がない。いや、あるが使うことができない。

もし、使った場合“万引き行為”になるのだろう。

仕方なしに手で押さえる。少しでも血を止めるために。


「やはり、撃たれましたか」

小宮が音を聞きつけて来たらしい。

「小宮さん!あの、何か出血を止める物とかを、、、」

「いりますか?」

「え?」

近づいてきて見下ろす形になる小宮は2人を見て言った。

「神木さんはまだ息をしていますが、このまま何もしなければ出血多量で死にますね。そうなれば久我さん貴方は無事に僕と貿易が出来て生き残れます。なぜ、助けるのですか?」

「そ、、それは、、」

そうこうしていると、神木は近くの小宮に気づいたらしい。

「お、、、おまえ、、俺を騙したな!」

「何のことでしょうか?」

「壁を叩いたぐらいでは“罰”を受けない。そう言ったよな?、、、、、まぁ、いい。とにかく約束だ、俺と“貿易”しろ」

な、何を言ってるんだ、この2人は。

とにかく分からないが、このままでは2人の貿易が決まってしまうらしい。

しかし、小宮の答えは予想外だった。

「僕は、[壁を壊してくれたら“貿易”をします。壊しただけでは脱出はしていないので“罰”は受けないと思います。]とです。なので壁を壊していない神木さんとはまだ“貿易”をしませんし、“罰”を受けないと断言はしていないので、騙してはいません」

そう言ってその場を立ち去っていった。

「“貿易”をしたければ僕の役に立ってください。2人とも僕としか“貿易”できないのだから、、、」

と、言って。



「面白くないな〜」



「え?なんか言ったか?」

「ううん。何も。とにかく血を止めるためにロープのようなものを買ってくるね」

ポケットから財布を取り出し小銭を取る。

全財産400円。

それを持ち雑貨などのコーナーに走る。その時に財布を落としてしまってカードなどがばらまかれてしまった。

だが、今持っていても役に立たないカードなので、後で片付けることにする。


雑貨コーナーには多数の種類のものがある。その中からロープを探すことは簡単だった。なぜなら、ないからである。

その代わりに古新聞紙などを縛る時によく見るビニールの紐を見つけた。値段は200円。手持ちの半分の値段。

「よし、後で金は返してもらおう」

それを持ちレジに行き購入をする。

そしてすぐさま神木の元に戻り右足に括り付けて血を止める。

素人ながら上手くできた、、、、、と、思う。

「ありがとな」

神木が起き上がり礼を言う。

「あと、これ、、」

俺の財布を差し出してきた。

「一応、カードとか拾った、、、、、あと、すまん色々見てしまった」

「見たって?」

「学生証とか」

「あぁ、、、そうだよね。学生証とかの写真って見られたら恥ずかしいもんね」

「いや、そうじゃなくてだな、、お前って」

「あっ!そうだ、、、この紐の金。せめて半額は頂戴よね。いや、全額でもいいけどそうなったら金なくなるよね」


そのあと、100円だけ返してもらいその場を解散した。

いろいろ聞きたかったが、どうせ自分が生き残ろうとしたからだろう。

聞いたところで意味はないと思ったから聞かなかった。


小宮、、、水・食パン・300円

神木、、、タバコ・ライター・お茶・紐・200円

久我、、、チョコ・お茶・300円



「さて、作戦変更だね」

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