ー3日目ー
ー3日目ー
退屈すぎて死にそうだ。
このコンビニ生活は、特にすることがなく暇になる。雑誌などは毎日入荷をしてくれるが、それだけでは暇をつぶせない。
「てことで、何かない?」
『それを私に聞くのですか?』
と、目の前の仮面の人、アルファが言う。
「だって、この時間は神木さんも小宮さんも寝ているんだよ、体力温存も兼ねて」
それに、ここに来たのは暇潰しだけが目的ではない。
「アルファ、このゲームってここだけじゃないんだよね?最初に俺らに見せた映像もゲームの1つと言っていたし」
『はい、そうです。このゲームを含めて3つのゲームが同時進行しています。他の二つのゲームは勝者が決まり終了していますが』
「え?終わってるの?」
『はい、どちらとも1人の勝者と2人の敗者が決まり“罰”も実行済みです』
平然に死を意味する言葉を発するアルファ。
分かっていた。初日に見た映像から1人以上の死者がいることを。
『私からも質問よろしいでしょうか?』
「ん?いいけど」
暇潰し程度で考えていた会話。まさか、アルファから質問が来るとは思っていなかった。
『久我様は、死が怖くないんですか?』
“死”
この世での生命の終わり。人生の終わり。
すなわち、何もかもの終わり。続くことのないもの。
今この瞬間にも何処かで誰かが死んでいる。それぐらい身近なもの。
「怖いよ。もちろん、死にたくないし」
それが俺の答え。
しかし質問をした人物、アルファは納得のしない顔(仮面で隠れているから分からないが)をする。
『今の久我様は異常だということを理解していますか?』
そして、俺のことを異常者扱いする。
誘拐監禁、そしてデスゲームをさせている奴に異常者扱いされるのはいいものではない。
「俺のどこが異常なのかな?無理矢理こんなゲームに参加させておいて」
『、、、、、神木様はここ最近うなされています。小宮様も冷静になるために何度も冷水を頭にかぶっています。しかし、久我様。貴方だけは普通に生活をして、今も暇をつぶすために私の元へ来ています。ルールを理解しているのですか?必ず1人は死なないといけないのです』
神木さんも小宮さんもそうだったんだ。
アルファに聞くまで知らなかった。気づかなかった。
「そうだったんだ。それは知らなかったよ」
『分かりましたか?普通が1番異常なのだということを』
「ん、それに対しては言わせてもらうよ」
「俺は死なない。このゲームの勝ち方は簡単だからな。小宮さんと“貿易”をして神木さんには“禁止事項”を破ってもらう。主に暴力行為」
『そんな簡単なことでしょうか?』
口では簡単に言える。だが、これは案外できることである。
「人から好かれることは難しいこと。逆に嫌われること鬱陶しいことは簡単にできる。更にこのゲームに参加していることによるストレス。少しでも隙をついたらいけるよ」
『いえ、それでも、、、』
「ん?あぁ、あれか?人を殺せる勇気があるのかか?それはないさ。でも、実際に殺すのはお前らなんだろ?それに勝たないと死んでしまう。これは正当防衛であり、お前らに脅迫されたかでもある」
さも、当然かのように言う。
実際にそうだ。あとの二人も自分が死なないために何かしてくるはずだ。
そう、正当防衛だ。
『やはり、貴方は異常です』
『死ぬかもしれない、殺すかもしれない。それなのにどうして普通でいられるんですか?』
「逆に聞くが、どうして人間は普通に生きれるんだ?」
『え?』
「今の世の中、テレビをつければたくさんのニュースがある。強盗、殺人、虐待、テロ。挙げだしたらきりがない。そしてそれを見た人は、怖い世の中だ、気をつけないと。と、思うだけで、普通に学校に行く、普通に買い物に行く、普通に働きに行く。自分が死ぬかもしれないのに、分かっていて出かける、普通に生活する。それと一緒。俺は確かに死ぬかもしれない、殺すかもしれない。でも、それは普段の生活と何が違うの?」
だから、俺は普通に過ごす。
“いつも通りに”