始まりはコンビニで、、、
どこにでもあるコンビニ。
それなのに、一般的なコンビニとは致命的に違っているところがある。
窓、ドアの奥にあるのは壁。出口がどこにもないのである。
その密閉されたコンビニの中にいる3人の男。
ガラの悪そうな男
眼鏡をかけた男
そして、俺
目を覚ましたらこのコンビニの中にいた。
誰もがそうだった。
そして、それぞれが現状を理解することに時間はかからなかった。
「おい!ここは何処だよ!」
見た目通りに騒ぎ出す男。
「どうやらコンビニみたいだね」
俺は思ったことをそのまま言った。
「すなわち、店員がいるはずです」
眼鏡の男が呟く。その言葉を聞いて騒いでいた男はレジに向かう。
「誰かいねぇのか⁉︎」
返事はない。レジには誰もいないようだ。
「バックヤードはどうかな?」
「は?おいガキ、バックヤードってなんだ?」
「ガ、ガキって?俺のこと?」
「当たり前だろ、お前以外に誰がいるんだよ」
確かに、今話している男は二十代前半に見える。そして、眼鏡の男も大学生ぐらいだ。
それに対して俺は身長が低く、2人から見たら子どもに見えるのだろう。
「え、えっと、バックヤードって言うのは即ち裏のことです。監視カメラの映像を見たり休憩したりできる場所です」
「では、行きましょうか」
眼鏡の男は立ち上がりバックヤードがあるであろう奥に向かう。その後を2人が追いかける。
結論から言うとバックヤードにも人はいなかった。あったのは監視カメラの映像を映しているテレビのみ。
「ちっ!誰もいねぇじゃねぇか」
呟いたその時、テレビに変化が起こった。
今までは無人のコンビニ内を映していた画面が、急に暗い部屋を映す。
そこには、3人の男が丸い机を囲み座っていて、仮面を被った長身の人が立っている。
そして、画面の右上には“LIVE”と書いてある。
「何でしょうか、これは?」
3人は静かに画面を見つめる。
すると、仮面の人が座っている男の1人に何かを向けた。
そして普通に暮らしていたら聞くことのない音が響く。
座っていた男はその場に倒れる。頭からは赤い血が流れる。撃たれたのだ。
「うっ⁉︎」
誰もが息を飲む。それはここにいる3人、そして画面の中の残った2人もだろう。
目の前で死んだのだろう。最も簡単に。
映像はそこで終わり、コンビニ内の映像に戻る。画面を4分割にして、コンビニ内の死角を少しでも無くすために映す。
初めて見たが、こんな感じに映っているのなら万引きは難しそうだな。
ガタッ!
画面を見ているとガラの悪い男が走ってバックヤードから出て行った。それは監視カメラにも映っている。それを見て眼鏡の男も出て行こうとする。
「君は行かないのかい?」
こちらに聞いてくる。
「何処に?」
外には出れないのは起きてすぐに確認している。
今は特に何もすることはないはず。
「テレビの左上を見てください」
そして、眼鏡の男は歩いて行った。
言われた通りに見る。そこに映っていたのは先に走って行った男と、仮面を被った長身の人がレジを挟み対立している映像だった。
レジを挟んで先ほどはいなかった仮面の人がいる。そいつは、3人が揃ったのを確認すると話し出す。
『初めまして。私はこのゲームのディーラーをさせてもらいます、名をアルファと言います。
先ほどの映像は見てもらえましたよね。あれは、現在進行形で行っているゲームの1つです。あなた達には今からゲームをしてもらいます』
意味が分からないまま、アルファは言い放つ。
「はぁ⁉︎俺たちがやる必要はないだろう!いい加減にしろよな!」
と、仮面に掴みかかろうとするとアルファはすかさず銃を出す。
『拒否権があると思いますか?神木竜司さん』
銃を向けられた神木は手を止める。
『他にはいませんか?そこで考えている、小宮和樹さん』
眼鏡の男、小宮に向けて聞く。
「ありません」
『そうですか、、、久我智史さんもいいですか?』
「1つ聞いていい?どうして俺らなの?」
話を振られたので聞いてみた。
『それは教えられません』
あっさりと答えられた。