下車駅まるわかり眼鏡
俺の眼鏡には不思議な能力があんのね。
めっちゃ限定的なんだけど、山の手線に乗る乗客の下車駅が分かるなんて物なんだよね。ウケる。
どんな風にわかるかって言うと、頭の上に下車駅の文字が浮ぶっつー形で、人によって「丸文字」だったり「ゴシック体」だったり「達筆な何か」だったりするの。マジうける。
んでーやっぱこの能力使うしかないっしょって思うじゃん?
どう使うって? 早く座るためじゃね? 俺チョー賢い。
このおっさんは東京で降りる、ならこいつの前じゃだめだなー。
お、隣りのギャル鶯谷で降りるのか。ならこいつの前で立ってよう。
マジちょー便利じゃね?
んで、快適な通勤ライフおくってたらさー。たまーにほんとたまにね、なんかわかんないんだけど、行く先が浮かばない系がいんの。マジキモい。つかウケる。
で、ガチ暇だった日があったからさー。まー俺さ、行き先浮かばない系がどこ行くのか追ってみたって訳。冒険の旅に出発的なーアレ? ヤバイ、テンション爆アゲ。
で今回の行き先浮かばない系てさ、よく浮かばない奴で俺の中で有名な奴なんだよね。
どんな奴かって? 普通のオッサン、ハゲてて眼鏡かけてるオッサン。
まーガチめに観察してたらさー、なんか急に池袋の文字が頭の上に浮かび上がったんだよね。しかも電車が止まる直前で浮かんだし。マジワカメ。
追うよね、追っちゃうよね。
で降り立ったぜ池袋。
そしたら池袋で探偵ごっこする気まんまんだったのにさ、そのオッサン、くるりと回ってまた山の手線に乗んの。マジワカメ。
しょーがねーなって俺も山の手線に乗ろうとしたら、マジガタイ良さ気なオッサン二人に肩がっちり捕まっちゃって。
「ちょっと来てもらえるかな」
とか言われて、俺ガクブルでマジビビリ。ヤベー俺ヤベーって思ってたら。
「君なんであの人の事付けてたの?」
て聞かれたんだけど、浮かばない系なんて言えないじゃん? でチョー適当に話してたら。
「君が追ってた男は私達が追っているテロリストでね」
ヤバイ、パナイ。ガチか? ガチか?
なんか話によると。革命のなんたらとかいうおかしな連中の人だったみたいで、爆弾とか仕掛けちゃう系のマジヤバイ系だったつーの。マジチョビるかと思ったわ。
で、何で今この話してるかっていうとー。
今山の手線乗ってるじゃん俺ら。
今さ俺ら以外全員
浮かばない系なんだよね。マジヤバイ