ERROR『????』
短いです。
2人の『謎の人物』視点。
うっすら性的描写があります。苦手な方はご注意ください。
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気持ち悪い。
「ねえ? どうしたの?」
身体の下で甘ったるい声を出すソレに、なんでも? と笑みを取り繕う。
気持ち悪い。
「あっ、んっ……やぁ、意地悪しないでぇ」
「意地悪なんてしてないよ?」
気持ち悪い。
女なんて愚かな生きモノだ。ほんの少し優しくして、快楽を与えてやればすぐに思考を捨ててしまう。俺の外面にしか興味のない頭の軽い生きモノ。
これらを組み敷いているときだけ、俺の自尊心は満たされる。……忌まわしい生きモノが俺に支配されている。それほどに甘美な蜜が他にあるだろうか。俺はもう、あのされるがままの何もできない子どもじゃないのだ。
耳障りな声を塞ぐために唇を塞ぎながら、後輩の少女へと意識を飛ばす。
あの女は俺と同類だ。愛されたがりの人間不信。心の内は真黒で、自分の孤独を和らげるためなら何でもできる利己的な人間。とてもとてもキタナイ生き物。
「……ああ、むかつく」
「え? あんっ」
けれど、あの女は根本的な部分で違う。それがひどく腹立たしい。
――俺と同類のくせに、あの女だけが、なぜ愛されているのか。
全てを奪ったら、あの女は俺より暗いところに落ちてくれるだろうか。そうして醜く顔を歪めて泣くだろうか。
ああ、それはいい考えだ。そうすればこの苛立ちも少しは収まるかもしれない。
手始めに何をしてやろうか。
歪む口元を隠すため、再び煩い声を上げる唇に噛みつく。
目の前のソレを見ないためだけに閉じた瞼の裏で、あの強気そうな表情が顔を歪める、そんな未来を思い描いた。
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……千条瑛莉、さん。
少し前を歩く金髪の美人をじっと見つめる。
後姿からでもわかるけれど、彼女ははっとするほどの美人だ。クラスの男の子たちがAクラスにものすごい美人がいるって騒いでいたけれど、たしかに彼女は「ものすごい美人」だ。
すらりとした身体は高校生になったばかりだというのに艶めかしくて。お兄さんだという優孝先輩とはあまり似ていないけれど、この世のものだとは思えないほどの美貌の持ち主。まるで大輪の薔薇みたいな、皆から憧れの視線を向けられる人。
けれど、きっと彼女は知らないのだろう。
彼らのこと、これからのこと、それから彼女自身のこと。
知っていたら、あんな行動とらないはずだもの。きっと何も知らずにいるにちがいない。
にこりと笑みを浮かべた彼女の顔を思い出す。あんな綺麗な人が泣くところなんて見たくない。やっぱり、わたしがどうにかしてあげないと。いい方法なんてこれっぽっちも浮かんでいないけれど、早く教えてあげなくちゃ。
ここは一歩間違えれば死んでしまう、乙女ゲームの世界だってことを。
どれが誰視点かおわかりになるでしょうか。タイトルも含め、いくつか伏線があります。




