四日目 転校生は突然に「美少女なら大歓迎さ!」
「あー、で、モンハトが俺を待ってるのでサクッと朝礼すんぞー。」
「何かヤマさん廃人になってね?」「いや、元々でしょ?」「悪化したねー」
等ぼそぼそと呟く声を無視して話を続けるヤマさん。
「えっとなー、この前調合ミスって折角手に入れた老山龍の爪をおじゃんにしちまったので持ってる奴は俺に寄越せー。あ、違げぇわ、砂蜥蜴の肝だわ。」
「いや、どっちでもいいわ!」
「あ、悪りぃ。で、俺はソロ狩りの時は「「「ヤマさんっ!!」」」」
完全に朝礼というか昨日の出来事を喋り出したヤマさんを全員で止めにかかる。
「あー。よし、今日は転校生が来るぞ。後は無し。じゃあ俺はさっさとPAPをしにいくわ。オススメのカセットとかハードとかあったら連絡を寄越せ。以上、解散!」
そう述べてさっさと出て行こうとすると生徒からの大ブーイング。
当たり前である。
「あ、いっけね、外に待たせてんだった。入ってこい。」
そんなヤマさんの軽い声につられ、全員がドアに注目する。
女の子か「女の子か」。美人かもしくは「可愛らしい」のか。
…壮也、黙れ。
「ういっす。」
ごほん、女の子か男の子か。美人かもしくは格好いいのか。アメリカ人というのは本当か。色んな思いを持った視線が集まるドアが吹き飛んだ。
「「「えっ?!」」」
もう一度言おう。吹き飛んだ。
しかし、吹き飛んだドアに一瞬気を取られたものの、そこはEランクでも暗殺者の端くれ。
すぐに視線を戻したものの、そこに人は
「あれ?」
居なかった。
「え?どこだ?」「忍者の末裔とか?!」「じゃあ格好いい男の子かな!」「んなわけないだろ!きっと凄腕の女の子だって!」
流石は暗殺者の端くれ?
既に平常心を取り戻し、様々な推測が飛び交っていた。
でも、これは多分暗殺者云々抜きにしてバカなんだろうな。
「「「誰がだっ!」」」
え、全員からのフルツッコミ?!
と、とりあえず、教室が一気に騒がしくなる。
すると、バンと教卓を叩く音がして、一斉に視線が集まる。
視線の先である教卓の上には長い髪をツインテールにした、小柄な女の子が立っていた。
教室中では「いつの間に?!」とか「可愛い!」などといった囁きが広がっている。
彼女の背後では「あーあ。また俺が怒られんだけど……。」とボヤいているヤマさん。
虚ろな目線の先には先程吹っ飛ばされたドア。ご愁傷さまである。
「あの、ヤマ……山本先生、彼女が転校生ですか?」
皆を代表して壮也が尋ねる。恐らくは女の子というだけで本能的に動いたのであろうが。
「あー、あぁ?あーそー。」
全くやる気の無い声とやたらに"あ"が多い返事が返ってくるも、壮也は気にも止めない。
「そっか、君が転校生さんだね?はじめまして、僕は壮也。よろしっと?」
間一髪壮也が避けるとゴッという鈍い音と共に壁にめり込んだのはシャーペン。
視線を戻すと苛立ちを全面に出している女の子。
「そんくらい知ってるわよ!アンタらアタシをナメてんのかぁっ!自分が行く先の事くらい事前に調べてるってんですっ!」
元々かなり苛ついていた様だが、壮也の一言で爆発したようだ。
奇妙な敬語を使いつつ女の子は叫んでいた。
「あー、とりあえずココは落ちこぼれの集まりだぞ?情報を拾ってんのなんかこのクラスじゃ余程の変人か上を目指す珍しい奴くらいだ。自己紹介ぐらいしてやれ。」
珍しく真っ当な事を述べたのはヤマさん。PAPを持ちながらというのはお約束というやつだ。
「はぁ、先生が言うんなら仕方ないなです!アタシの名前はエミリア。アンタ達と馴れ合うつもりは無いです!」
いきなりドアを吹っ飛ばした辺りからそんな空気は感じていたが、やはりそんな感じらしい。
「おい、おい壮也!」
こそこそと壮也に声を掛けている男はフィン。
まぁ、こいつの説明は要らないだろう。
「ちょっと待って?!」
「ん?今俺は金髪碧眼美少女を見た後だから非常に機嫌が良い。だからこそ、その浄化された後のこの眼に野郎のむさい顔を1秒たりとも見たくないんだ。」
「はは、相変わらず言い方ひでぇなおい。」
殺意と怨念の籠った目付きで言われた為、乾いた笑みをこぼすフィン。
「いや、あのさ?」
「あ"ぁ?」
イライラしながらとりあえず目をフィンに目を向ける壮也。
その顔は鬼神の様だ。
「いやー、あの子さ?ア○アちゃんに似てね?!」
ブチッ
何かが切れる音がした。
「表出ろやコノヤロー!!」
本日一番の切れかたをした壮也であった。