学校の屋上で~冬~
もこもこの白いダッフルコート。
ピンクのマフラー。
短いスカートの裾から出ている、肌色。
見慣れていても、やっぱり不思議な組み合わせ。
『お洒落は我慢。』
以前誰かが言っていた。
兎に角大変らしい、女って奴は。
振り返った彼女と、目が合った。
強張っていた表情が、微かに緩む。
「ごめんね、急に。」
寒空の下、いつから待っていたのだろう。
頬と鼻が紅く染まっている。
「あのね、言いたいことがあるの。」
彼女は俯く。
白い上履きが、濃い緑の地面に映える。
天気予報によると、今夜は雪らしい。
「あのね、」
彼女はもう1度言って、顔を上げる。
瞳が潤んでいるのは、鼻が冷たいからだろうか。
「好きです。付き合ってください。」