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プロローグ
文面学園高等部に通う僕・二階堂乱馬は、中学時代に友人からよくこんな事を言われていた。
「君がよく自分の夢に出てくる」
男子にしろ女子にしろ、多くの友人が口を揃えて言う。
自分で言うのもなんだが、僕は皆の夢に出てくるほどクラスで印象的。もしくは中心的な人物ではない。むしろ、平凡という言葉が似合うくらいだ。部活で剣道をやっていたが、特別に成績が良いわけでもない。
皆の夢に出てくる理由を知りたいとは思ったものの、知る術はない。しかし「その事実」は自分が普通の男子高校生ではない事を示していた。
20XX年の9月―――――――――高1の二学期を迎えようとした僕は、この先に起きる衝撃的な事故と多くの出会いを経て、自分が普通の男子でない事。そして、”夢”を通じて己の事。いろんな人々の中に潜む”心”の表裏を知ることとなる。