表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/37

16.宇宙戦闘しました

「敵艦に、破壊エネルギー指数二十ポイントの反応キャッチ。ブラスターの様です。攻撃が始みゃりましゅ」

 レーダー手のミケが噛みつつ報告。

 ネコ耳オペレーター達のニャーニャー言葉とカミカミ話法が頼りなく思え、ブレットを不安にさせる。


「バリアー展開!」

 ロゼが指示する。


 ネコ耳のかみかみ幼児語ばかり聞き慣れていた耳に、まともな発音が入ってくるだけで心強くなる。


 まもなく、不明艦三隻から発砲が開始された。


「三秒後に、二発着弾します」

 ブレットはハラハラしてオイスター艦長を振り向いたが、艦長は回避命令を発しない。


 正確に三秒後。二発のブラスター弾が着弾した。ただし、ファム・ブレィドゥー号に張り巡らせたバリアーにである。


 バリアー表面に着弾した二条のブラスターは、超高速度で球体運動を行い、正確に元来た軌跡を辿って持ち主の元へ帰っていった。ファムの攻撃的防御バリア。


 海賊船は、己の砲でエンジンノズルを打ち抜かれた。これにより、海賊船は自力航行不可能となった。


 海賊船、一隻被弾・脱落。


 それを合図にするかのように、僚艦と見られる残り二隻が速度を上げ、複雑な回避行動をとった。


 オイスター艦長が席を蹴って立ち上がる。

「先制攻撃を受けたと判断。これより本艦は自衛行動に出る」


「了解! 全砲門安全ロック解除! 索敵情報転送。攻撃命令を待て」

 オイスター艦長の宣言を受け、ロゼが細かい命令を出していく。


 戦闘中はロゼが副艦長的立場となる。戦闘経験も教育も受けていないブレットには、勤まらない仕事だ。


「右に流れた敵から殺る! 死角に回り込むぞ! 取り舵!」

「とりかーじ!」


 アバウトで殺伐としたな艦長命令を的確にこなしていくネコ耳操舵手ニケ。

意外と言語能力が高いのか? 狩人としての本能で反応しているだけ、……かもしれないが。


 一番左に突出した海賊船の下部に回り込んだ。急激な運動はファムの髪を急角度で流し、胸を揺らす。


 この光景を見ている者からすれば、一瞬の出来事だったにちがいない。フットサルの新鋭フォワードが、動きの鈍いディフェンスを一人抜いたような軽快な動きだった。

 それ程、段違いにファム号の動力性能が優れているのだ。


「光波ミサイル砲発射準備完了。目標ロック済み」

 砲雷長ミアが敵艦破壊への備えを整えた。

「ミサイル撃ち方始め」

 オイスター艦長の号令がミアに伝わる。


 ミアは、ゲーム機のコントローラーのような発射スイッチを押した。

 ファム号左右の上腕部外側に三門ずつ計六門配備された発射管から、光のミサイルが発射された。


 ミサイルとは名ばかりで、その存在は熱エネルギーを保持した粒子である。追尾式のビーム砲みたいな物か。

 光の速さで飛び出した破壊エネルギー体は、ほぼ中間位置で急激に目標へ向かい方向転換し、正確に標的を貫いた。


 これら全ての動作が、光の速度で行われたのだ。


 人間の肉眼では、六条の眩しい光による残像現象しかとらえられない。六本の光で、二つの船が繋がった様にも見える。

 そう、肉食の美しい蝶が、六本の足で獲物を捕らえた瞬間であった。


 爆発はしない。光波ミサイル弾は貫通しただけで、信管に相当する機能は作動させなかった。それでも海賊船の動力に致命傷を与えたようだ。


 一撃で海賊船は機能を停止。惰性で動くのみとなった。

 このままにしておけば、いずれ宇宙軍に拿捕されるだろう。


 立て続けに僚艦を二隻も航行不能にされて、残る一隻は戦意を消失、逃走に入った。

 元々、この三隻は仲間でもなんでもない。ただ単純に、三隻くらいで一度にかかれば、未知の船と言えどなんとかなる。そう思って手を組んだに過ぎないのだ。


「三隻目、コースターンしました。進行方向には地球があります」

 おそらく恐慌に襲われたのだろう。なりふり構わず逃げ出した。向かう先には、地球軍の艦船が沢山遊弋する宙域である。


「どうやってあんな大型艦を手に入れたか、調べると面白い結果が待っていそうだが……、致し方有るまい。逃げた船は放っておけ。それよりも監視者はどうか?」

 オイスター艦長は三隻の海賊船よりも、軍のステルス艦を重要視している。


「先程の宙域に滞在したままで、ピクリとも動いていみゃちぇん」

 特殊索敵担当のネコは、戦闘の間も、ずっとステルス艦を監視していたようだ。


「どうやら、自分たちが監視されている事を察知できていないようですね」

 ロゼが特殊探査のブースを覗き込んでいる。

「こういった場合、そそくさと現場を立ち去るのが白々しくなくていいです」

 ブレットの提案は生々しい。まるで、女子更衣室を覗いていたのがバレそうな時に使うテクニック……いや、決して覗いたことがある、とは言っていないがっ!


「よろしい。これより本艦はDSS・ドライブに入る。準備急げ!」

 オイスター艦長の号令で、ブレットは慌ただしく軌道計算に入る。


 ロゼ以下、ネコ耳クルー達もそれぞれのコンソールで、計器類の再チェックに入った。もう、あんな事故(他空間漂流)は懲り懲りだと言わんばかりの精度で。


『アーシュラ様、ブリッジ・イン』

 ファム号コンピューターによる識別報告音声と共に、事が終わった今頃になってからアーシュラ様がブリッジに入ってきた。相変わらずネコ耳を数匹侍らしている。

「何かございまして?」

「特に何も。全くもって順調です!」

 男前の顔をするブレット。

 ロゼは、盛大なため息をつくのであった。




 ファム・ブレィドゥー号の背中、肩胛骨に有る低い瘤状のドームから光の帯が噴出した。光の帯は、忽ちのうちに渡りをする水鳥に似た、優雅で長い翼を形成する。


 次の瞬間、ファム号が猛ダッシュをかけた。

 光の翼から、光の羽が数枚抜け落ちて消える。この光の翼は、ファム号が高機動形態を取る際に生じる、一種エネルギーの噴流なのだろうか。


 やがて、ファム・ブレィドゥー号は光の尾を曳いて他空間に姿を消した。


 ハンマーヘッドシャークに似た漆黒のステルス艦『デスペラード』が、光学迷彩を解いて姿を現した。ファム号の探査機能が捕らえていたとおり、八百フィート級の船だ。

 偵察用ステルス艦船は、己が主の元へ貯蔵機関に蓄えていたデーターを転送する。


 そして、獲物を追うかのようにファム号が消えた地点まで進んで行った。


 追いつくとは思えないが、ファム号が消えた方向に向かいDSS・ドライブを開始する。

 行き先は判っているのだから、何処か中間地点で帰りを観測するつもりなのだろう。

ゼクトールの回で標準装備とされていた、対エーテル消滅砲並びに、空間凍結砲はゲームバランス(違)を考え、装備から外しました。

よって、上記2砲の性能は謎のままです。

いや、考えてないのではなくて!


次回17話「宇宙的な家族問題を聞かされました」

早くもネーミングのネタが尽きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ