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8話

 


「うわ………。本当になぞなぞだよ」


「行きは荷物がいっぱい、帰りは空っぽ……。結構、難しいぞこれ」


「真剣に考えるんだぞ、お前ら!」


「玉座さんも考えてくださいよ」


「弁当、じゃね?」


 二階の声に、皆の動きが止まった。


「朝、持って行くときにはご飯が詰まってるけど、帰りは空だもんな。これ、絶対そうだろ」


「よし、よくやった。褒めてつかわすぞ」


「殿様かよ!」


 文句を言いつつも、二階の表情は満足そうだった。


「おいハムスター! 答えは『弁当』だ!」


「私の名はシンケンマンだ。とは言っても、人間だった時にこのような名であったわけではない。では、なぜ私がこの名を名乗るようになったのかというと……」


「早く正解って言えよ!」


「まったく、心にゆとりの無い者たちだ……。しかし、その解答は『正解』だと認めよう。本当は『弁当箱』と答えてもらいたかったのだがな。まあ、ギリギリ正解と判断してよいだろう」


「よっしゃ! それじゃ豪華商品をくれよ」


「よろしい! では、神の命令に従い、物資の転送手続きを開始する。……マイン・ナーメ・イスト・アイヒマン……! 承認、執行せよ!」


 ボワン!


 という、気の抜けたような音と共に、湖畔に分厚い白い煙の塊が現れた。


「おお!」


 期待の声と共に、煙の中から現れたのは、どこかで見た覚えのあるデザインの段ボール箱だった。


「日本語が書いてある……」


「和歌山県産、だって……」


「まさか、これって……」


 力任せに段ボール箱を開けると、その中には『蜜柑』がびっしりと詰まっていた。


「ふぁふぁふぁふぁふぁふぁ! そんなに嬉しそうな顔をされると、私としても悪い気はしないな」


「嬉しいっていうか、驚いたな。魔法とか伝説の武器かと思ってたもんで、かなり期待しちまったっていうか……」


「蜜柑は好きだけど、ちょっと量が多すぎるかも。五キロって、四人家族がひと冬に食べる量だよ」


「なるほどなるほど……。君たちの言い分は理解した」


「もしかして、他の物と交換してくれるの?」


 ハムスターは、とても大事なことを言いそうな顔をした。


「これだけは言わせてくれ。我は戦後、『リカルド・クレメント』という名で、アルゼンチンの鶏肉加工場で働いていた。誰にも気づかれぬよう、影のようにひっそりとな」


「また独り言だよ、このハムスター……」


 二階が、うんざりした顔で呟いた。


「第二問! 『暗いところではいなくなるのに、明るいところへ行くと必ず足元にくっついてくるもの』なーんだ?」




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