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天才医師
書くことは生きること。
それは手術のようなもの。
自分の中を見せて取り出し
相手に渡す。
簡単でしょ?
書くだけなんだから。
今これを書いている俺は
心を削ってない。
自然に身を任せて書いている。
まるで、切り取るところが見えてくる。
それが今の俺だ。
天才医師だろ?
……もちろんこれは皮肉だ。
でも、書くなら注意した方がいい。
麻酔はない。
血を止める手段はない。
それに一人だ。
まあ、それが心地いいんだけどね。
俺にとっては。
君はどうなんだ?
これを聞いて書きたいと思った?
思ったなら創作に向いているよ。
怖いと思ったら止めた方がいい。
大量出血で心臓が
いや
心が
止まるかもよ?
無理に書くのは止めろ。
そう忠告しておくよ。
君にね。
でも、俺は止めない。
俺にとっては書くことは呼吸なんだ。
手術をし続けないと俺の心は動かない。
これを聞いて
一度離れたあと。
戻ってこなくても
戻ってきても。
どっちでもいい。
でも、忘れないでほしい。
ここに俺の傷があったこと。
俺が生きていたこと。