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それからというと、主に女子生徒にきゃあきゃあ

言われるようになった。


そんな信奉者が増えるより、友人を増やしたいが、

残念ながら身分、そして次期王妃という立場が邪魔をして、

友人はそう作れそうにない。


そんなある日、家に手紙が届いた。


送り先は研究所・・・

ヒロインの攻略対象からだわ!


そう言えば、アドバイスはしたものの、

ヒロインと攻略対象者がどうなっているか、

まったく知らないままだった。


貴族の情報は、かなり細かく入るが、

平民の情報は、逆にかなり入りにくいのよね・・・


さっそく手紙を開け、読むと、

レオナに贈り物をしたいが、何を贈ったらいいか分からない、

恋愛を成就させていて、流行に詳しい私に、

アドバイスが欲しいという物だった。


私はすぐさま返事をする、

内容はもちろんOK。


何度か手紙のやり取りをして、

日時、場所などを決める。


リアンは貴族街での買い物を希望しており、

レオナにはそこそこいい物を贈る予定みたいだ。


当日、私は馬車に乗り、待ち合わせの場所に向かう。

すると、もうリアンが来ていて、

ゆっくりと新聞を読んでいた。


「お待たせしてしまったかしら?」


御者に手を持ち、誘導されながら声をかける。


「いいえ、私が早く来てしまっただけですので」


笑顔がさわやかだ。


研究者というと、薄暗いイメージもあるが、

清潔で、さっぱりしていて、

ゲームの攻略対象だけあって、顔も良い。


ちなみに、ワクとしては、

「眼鏡」ワクと言われていて。

眼鏡フェチにはたまらないと言われていた。


今日も眼鏡をかけ、貴族街に行くに相応しい、

スーツ姿と相まって、決まっている。


「お目当ての店はあって?」


「デパートに行くと、

 ある程度の物が揃っていると思うのですが」


「そうね、ではデパートに行きましょう」


5階建てのレンガ造りのデパートに向かう。

その広さと、扱うのが高級品とあって、

人はそう多くない。


まずはアクセサリー売り場に向かう。


「どんな物を贈られたいの?

 ピアス?ネックレス?それとも指輪かしら?」


少してんぱった様子でリアンが答える。


「レオナに似合えば何でも・・・」


「レオナは何か好きなの?」


「詳しくは分からないのですが、

 私の精霊である大トカゲは好きで、

 研究室でよく精霊と遊んでいます。

 しかし、アクセサリーで大トカゲというのは・・・」


言葉を濁すのは分かる、

女性がするアクセサリーではない。


「なら、無難なのは花のモチーフなんかかしら」


ヒロインが手にするアイテムで、

一気に恋愛パロメータ―が上がるアイテムが、

ピンクの花のネックレスであった事を思い出しながら答える。


もっとも、その上をいくのは指輪だが、

これは2人で選ぶイベントもあるので、

リアンが指輪を望まない限り、外そうと思う。


「イメージが湧かないですね・・・」


真剣にアクセサリーを見て、

いくつも手に取って見ている。


私もレオナに似合いそうな物・・・と探すが、

レオナより年上の人が似あいそうな物が多く、

コレというのはなかなかない。


2時間ぐらい、アクセサリーをメインに、

小物類を見て回ったが、結局決まらなかった。


「申し訳ございません、せっかくお付き合い

 下さっているのに・・・」


リアンが申し訳なさそうに言う。


「こちらこそ、お役に立てなくて申し訳ないわ」


デパート1階にあるカフェスペースで、

ドリンクを飲む事にする。


この国では飲物と言えば、紅茶かフルーツジュース、

私はブレンドされたフルーツジュースを頼んだが、

リアンは紅茶を頼んでいた。


「紅茶がお好きなんですね」


「ええ、一応全種類は飲んだのですが、

 同じ種類でも、生産地域が違うと味が違うので、

 興味が尽きません」


「研究では、土の研究をされているのですわね」


「ええ、私の精霊は土属性ですし、

 いろんな地方の土を取り寄せ、その違いを分析し、

 作物にどんな影響を与えるか調べています」


「面白そうね」


「そうですね、この土にはこの作物が合うと気づいたら、

 その作物がその産地の特産品だったりして、

 先人の知恵には驚かされます」


「それは不思議で、面白いわね、

 それで、レオナとはどうなの?」


少し赤くなりながら、リアンが答える。


「貴族と言っても男爵ですし、

 研究ばかりで、こんな男面白みがないと

 思っていたのですが。


 レオナのストレートな愛情が嬉しくて、

 いつしか私も同じだけ、

 いや、それ以上に愛情を返したいと思っていたのです」


プレゼントを用意する所からして、

上手くいっていると感じていたが、

きちんと言葉で、両想いである事を聞いて安心する。


「お二人はお似合いですわ、

 もし邪魔をする者がいたら、私に言ってください、

 力になりましょう」


「これ以上ない、頼もしいお言葉です」


そうして、デパートを出て、貴族街をぶらぶら歩く。


そして、ゲームで見た店を見て、思わず叫ぶ。


「あの店に行きましょう!」


貴族街の中にありながら、

全体的に木組みで温もりがある店に向かう。


いきなり私が店に向かったので、

リアンはかなり驚きながらついて来た。


店には小物が所狭しと並ぶ。


しかし、ごちゃごちゃした感じはなく、

丁寧にディスプレイされた様子は、

さすが貴族を相手にしていると思わせる店だった。


甘い香水が店の中を充満し、

控えめな音楽がかけられている。


しばらく店の中をぐるぐると見て回り、

あ!と思わず声に出す。


「リアン!これよ!!!」


ゲームで見た、ピンクの花のネックレス!


リアンもそのネックレスを手に取って、

じっくり見ている。


「レオナにぴったりだわ!これにすべきよ!」


「クリスティーナ様にそこまで言って頂ければ、

 間違いないですね」


値段を確認して、どうやら予算内だったらしく、

何度か頷いて、会計をしに向かった。


「ラッピングは豪華にお願いしてね!」


「分かりました」


リアンの後ろ姿に声をかえると、

はずんだ声が返ってきた。


ヒロインの恋も順調。


本当『恋愛学園』に転生できて、本当に良かったわ。

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