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学園で精霊の力のテストが行われた。


とはいっても、セリフを選択するだけの、

恋愛主軸のゆるゲー、


特に大きな攻略が必要な訳ではなく、

ただ、悪役令嬢(水の精霊・強い)と

ヒロイン(土の精霊・弱い)とで、

ヒロインの攻略対象によって、

セリフが少し変わる程度だ。


精霊はそうそう守護しないので、

精霊の守護を持っているだけで凄いとされる、

なので、ヒロインの精霊が弱くてもあまり問題はない。


ヒロインの攻略対象が、研究者と分かっているので、

私としては一応あるだけのイベント。


的に攻撃をするのは、

もちろん5つとも命中させて、的を破壊したし、


力の強さを示すテストでは、

水を大量に出して、満点を取った。


こうなると、ヒロインというより、

悪役令嬢の為のイベントでは?と思うぐらいである。


当然満点、完璧な成績でテストを終えた。


そして、成績上位者による、決闘が行われる。


決闘と言っても、結界の中で、

精霊どうしが力比べするだけのもの。


私への影響となると、精霊に魔力を送りすぎると、

体の力が抜けるぐらいか。


「クリスティーナ様は決闘に出られますか?」


商人より、更に低姿勢の教師が確認を取ってくる、

教師なんだから、もっとしゃんとして欲しいと思うが、

身分が大きな力を持つこの国では仕方ないのかもしれない。


「でますわ」


「分かりました!」


教師は元気よく去っていく。


決闘が行われるのは上位6名、3試合行われる、

私は最終試合、私と同等の成績を収めた、

騎士を目指している男子生徒と当たる事になった。


精霊はドラゴン、火の精霊で、私の精霊とは、

お互いに相性が悪い。


いくら私が強いと言っても、

大した訓練をしていない令嬢、

騎士候補の男子生徒が勝つと、内心皆思っているようだ。


前の2組の戦が終わる。


それぞれ白熱し、上位者に相応しい戦だった。





結界の中に、ドラゴンと私のディが現れる、

見学できる生徒は、全員見学しているのかと

思われる程、すごい人だかりができていた。


「では、はじめ!」


教師が声を上げる。


いきなりドラゴンが火を噴く。


それをディはさっと避ける。


いきなり倒したのでは、私に恥をかかせると思ったのだろう、

手加減された攻撃だと分かった。


それでも、周りからは歓声があがる。


2度、3度、攻撃を避けた時、

今までの3倍はありそうな攻撃が来た。


とうとう本気を出したわね・・・・


ディは避けきれず、尻尾がなくなる。


私はすぐさま魔力を送り修復する。


ディは何か言いたそうに私を見つめる。


私には「本気だしちゃ駄目?」


と伝えたいのだと正確にディの思考を読んだが、

相手の騎士候補生は別の意味に取られたようで、

ディがもう無理だと訴えているように感じたらしく、


「リタイアされますか?」


とあくまで紳士らしく訊ねてきた。


私は少し考える、

正直、このゲームでは、勝とうと、負けようと、

あまり影響はない、


恋愛が主軸で、精霊は選ばれていればいい、

ぐらいの意味しかないからだ。


ただし、騎士候補の男性の事を考える、

自分が負けるとは考えていない、

本来は短期決戦で、一気に攻撃するタイプ・・・


なら・・・


私はディのスピードのミリっトを外す、

これでスピードだけは2倍出るはずだ。


「いいえ、続きをお願いします」


そうして、決闘が続く。


騎士候補生は、いきなりディの動きが、

早くなった事に驚いていた。


攻撃するものの、まったく当たらない。


10分がすぎ、20分がすぎ、

周りのギャラリーも、レベル違いの戦に、

固唾を飲んでいる。


「どうして、あんな動きができるんだ」


「あの男子生徒、ほとんど攻撃が当たってないじゃないか」


時間が経つにつれ、騎士候補の男子生徒は、

明らかに疲れ果ててきて、

顔には脂汗がにじみ、とうとう膝をついた。


その時、一瞬隙が生まれる。


「ディ!」


私は指示を出す、


それまで、ドラゴンの攻撃を避けるだけだったディが、

口から水を吐き、ドラゴンを攻撃する。


攻撃はドラゴンを直撃し、姿を消した。


「あ・・・クリスティーナ様の勝ち!」


一拍おいて、教師が叫ぶように言い、

周りから歓声が上がる。


「凄い!」


「騎士候補生に勝たれたわ!」


騎士候補の男子生徒は、その場に蹲った。


「いい戦でした、力では貴方の方が上だったわ」


本当は全力を出したら、ディの方が上だが、

あえて、フォローする。


「負けは負けです」


男子生徒の目は、きらりと輝いていた。


あら、良い目をしているわね。


負けたのに、不貞腐れるでもなく、

落ち込むでもなく、前だけ見る目、

彼はこらから、どんどん伸びていくだろう。


「クリスティーナ様、

 いつか貴女様をお守りできるぐらい、

 強くなってみせます!」


「ええ、貴方なら可能だわ」


「いつの日か、王宮騎士になり、

 その時忠誠を誓います、

 受けて頂けますでしょうか?」


「貴方の力が相応しければ、

 もちろん喜んで忠誠を受けましょう」


騎士候補の男子生徒は、騎士の礼を取り、

深く頭を下げる。


まあまあ、良い感じにイベントが終わったのじゃ

ないかしら?と満足していた。

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