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3

無事、商業ギルドに口座を作れた私は、

お金を得る方法を考える。


ま、一番早いのはいらない物を売る事ね。


なんと、私の部屋には、

衣裳部屋なる物があって、ずらりとドレスが並んでいる。


それらの衣装に合わせて宝石もあるので、

相当な量だ。


ふふふ、これだけ売れば、だいぶお金になりそうね。


そう思って、衣裳部屋を物色する。




しばらくして・・・




無理。


私は白旗を上げた。


まあ、サイズが小さいのはいい、まず着ない。


それは別とはして、公爵令嬢となれば、

様々なパーティに呼ばれたりする、

その際に同じ服ばかり着ていけない。


流行もクリスティーナの知識があるとは言え、

デザイナーに任せていた部分が多く、分からない。


衣裳部屋でドレスとにらめっこしていると、

専属メイドのメリーが話しかけてきた。


「お嬢様、どうなされたのですか?」


「新しくドレスを買いたいの、

 その為に入れるスペースを作りたいのだけど、

 どれを売ったらいいのか分からないのよ」


「そんな事、私めにお任せ下さい」


そうね、任せた方が早そう。


私は丸投げを決意する。


「できるだけ沢山売りたいの、

 もう着ないと思う物は全部出して頂戴、

 あと、宝石もね」


「かしこまりました」


そうして、メリーが衣裳部屋から、

私が指定したペースに衣装を持ってきてくれると、

かなりの量だった。


衣裳部屋のドレスの3分の2は出ているだろうか。

宝石もずらりと並び、満足する。


「これらを売ったらいくらになりそう?」


「そうですね4000万リラぐらいでしょうか」


おお!軍資金としてはかなりの金額。


では、さっそく。


「商人を呼んで頂戴」


「かしこまりました」






その2時間後、商人がやってきた。


商業ギルドのランスが引き締まった体だったのに対し、

肉食べてま~す、って感じのお腹が出っ張ったオジサンだ。


当然、メリーが控えている。


「今日は、商品を売って頂けると」


「ええ、お願い」


商人が売りたい商品を見ているのを、

紅茶を飲んで、じっくりと待つ。


「では、5000万リラでいかがでしょう」


あら、メリーの見立てより多いわ、

さすが公爵家御用達の商人、

見た目に反してあくどい事はしないのね。


しかし、私は更にたたみかける。


「あら、そんなに安いの?

 私安物を買わされていたのかしら?

 この次のドレスは他の商店を頼もうかしら」


あえて、悪女丸出しで、言ってみる。

いかにも高そうな宝石を弄ぶという、リアクション付きだ。


すると、あせって。


「い・・・いえ、6000万リラに致します!」


と手もみして答えるので、

まだ不満そうな演技を続けながら了承する。


「仕方ないわね、それで売るわ、お金はこの口座へ」


「へ?いつもの口座ではなくてですか?」


「ええ、この口座よ、よろしくね」


「かしこまりました」


そう言って、契約書に私の口座番号を書いていく。


ふふふ・・・これで私の口座に振り込まれるのは確実。


6000万リラか。


前世、働いた事もない私からすると途方もないお金だし、

平民の1年の年収が200万だと聞いているので、

ひとまずはなんとかなると思っていいのかな。


契約書を受け取り、

表情は硬いままで、内心感謝して、


「今度のパーティのドレスの生地お任せするわ、

 公爵家に相応しい、最高の物を持って来てちょうだい」


「もちろん、最上級の物をご用意します」


私のセリフに満足したようで、

商人は笑顔で足取り軽く帰っていった。





とりあえず、家を追い出されても、

数十年何とかなりそうなお金は手にしたけど、

できる事なら、もっとお金を得てみたい。


というか、働いてみたい。


前世、ろくに学校もいけず、

仕事なんて、夢のまた夢。


自分で働いてお金を手にして、

雑誌に載っている、ちょっといいお店でランチして、

キャリアウーマンを気取ってみたかった。


ここ数日考えていた事だ、

今私ができる事で、周りが違和感を抱かない事。


それは!つまり!!!




マナー教室!




王妃教育で、一流のマナーを身に付けいている、

それを活かして、講師をするのだ。


上手くいけば、取り巻き以外の令嬢とも交流できるしね。


さっそく、プランを書いていく。


学園があるので、授業は土曜だけ、

期間もあんまり長いと続かない生徒もいるかもしれないので、

半年間だけ。

あんまり人数が多いと、フォローしきれないので、

最初は10人ぐらいがいいかな。


費用は200万とお高く。


これが、逆に価値を高めてくれるはず。


ターゲットはマナーを高め、良縁を得たい令嬢。


恋のキューピットもしてみたかったのよ~


恋バナしてみたい!


「楽しそうだね」


ディが話しかけてくる。


だらんと寝そべって、だらしのない恰好だ。


「楽しいわ」


「断罪されるって聞いたのに、

 楽しいって変わっているね」


「そうかもしれないわね」


私はふふふと微笑む。


体のどこも痛くない、

点滴も注射もない、

それだけで、どれだけ恵まれているか、

多分経験した者でないと分からないのだろう。


「私、生きているの」


「そうだね」


「自由なの」


「そうなの?」


「ええ、心がね」


「ふううん、ま、クリスティーナが幸せなら、

 僕も幸せだよ。

 能力を解放して、めいっぱい暴れられれば、

 もっと幸せだけど」


「駄目です」


そういうと、わざとらしく耳と尻尾をだらんと下げて、

ふてくされた格好をする。


それを見て、優しくディをなでてあげて、

ご機嫌を取る。


精霊は食事をしない、

私の魔力で動いているからだ。


私はあえて、少し多い目に魔力を流す。


「ほら、ふさふさよ」


ちょっとご機嫌が直ったディは、

尻尾をめんどうくさそうに振るのだった。

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モフモフかいると可愛くて(・∀・)イイよね
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