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第1話 お酒は身を滅ぼす (キュン5)

内容はほぼ同じですが短編版に細かい設定伏線を書き加えています。

 ふかふかのベッドの中、自分の息が呆れるくらい酒臭い。

 昨日そんなに飲んだっけ?

 無意識にこめかみを抑えて目を開けると見知らぬ男が横に寝ていた。


 え?

「誰この銀髪?」

 思った以上に低い声が出てしまうのは驚いたときの悪い癖だ。

 もうちょい可愛く「キャ!」とか言いたいんだけど、咄嗟の仕草はなかなか修正できない。


 今はそんなことより私が全裸で目の前にはイケメンがいる……。

 頬に影を落とすまつ毛はめちゃくちゃ長いし、薄くて整った唇はぷるんとピンク色でツヤツヤ。

 何より目を引くのが絹糸の様な輝く銀髪。

 ウィッグ?

 でも寝てるときまでつけてる?

 もしこれが地毛を染めたのなら今の染粉は凄すぎ。


 これで、瞳は夜の星を散りばめたような宝石眼なら完璧な王子様だ。


 それにしても朝チュンの相手が外人って……やるじゃん私。

 イヤイヤ、そういう問題じゃないか。


「思い出せぇ、思い出せ。昨日何をやらかした?」

 私は両手で瞼をぐりぐりして、事の経緯を思い出そうとした。


「駄目だ、こんなイケメンに会った事すら思い出せない」

「それは傷付くな」

「うわぁ」

 スカイブルーの宝石眼と目が合って、文字通り私は後ろに飛び跳ねた。

 またもや低い声で叫んじゃったし。

 か弱くて儚いイメージ設定をつい忘れてしまう。


 ガクンとベットから落ちそうになり、上半身裸なイケメンが私の腕を慌てて引き寄せる。

 イケメンって、あわてた顔もイケメンなんだな。

 すっぽりと腕の中におさまり、私はぎゅうと目をつぶったままその場に固まった。

 ふわりと寝汗の香りがして、思わず深く息を吸い込んでしまう。


 この匂い嫌いじゃない。いやっむしろ好きかも。って、私は変態か!

 そうじゃなくて、いま問題なのは私がくっついているのはどう考えてもムキムキの素肌だってこと。

 幸いにして私はシーツをくるっと巻いているけど、その分相手の取り分は減っているはず、目を開けて変なモノが視界に映ったら今度こそ可愛く悲鳴を上げて目を覆ったほうがいいのか?



「大丈夫?」

 イケメンが怪しい手つきで、私の背中を撫でてくる。


 ヒィィィィ。

 やめてぇぇぇ!。

 ブンブンと頭を振ると、グルングルンと目が回りムカムカがこみ上げてきた。

 ああ、ダメだ。肩甲骨を撫で回されたくらいでよがっている場合ではない。


「だろうね。水でも飲む?」

 イケメンの言葉にこくんと頷く。

 意地を張って万が一、吐いたりしたらこの黒歴史がさらに大惨事になってしまう。

 ここはひとつ事情を聴いてさっと解散するのがベストだ。


 スッと、私を離すとサイドテーブルにある水差しに手を伸ばす。

 後ろを向いている隙に、うっすらと目を開けて真っ裸じゃないことを確認する。


 はぁ。良かった。なんか履いてるみたいだ。

 後ろ向きだけど綺麗に付いた筋肉は一目で身体を鍛えているのがわかった。

 キュッとしまったお尻の形がキュートすぎ。この大臀筋なら、王子様の白タイツも難なくいけそう。


 ぼーっと見つめているとイケメンが振り返り私に水を手渡した。

「ありがと……」

 最後まで言い終わらないうちに、驚きでコップを取り落としそうになる。


「おっと、危ない。冷たすぎた?」

「それ……」

 私はイケメンの心臓付近に入れられた月と太陽を模した刺青を指して絶句した。

 ビアトリア王国の紋章じゃない。

 この人こんなイケメンなのに、コスプレイヤーなの?

 オタバナで盛り上がっちゃった?


「ああ、これ? 昨日も頬ずりしてたね」

「大胸筋に頬ずり……」

 駄目だ、昨日は完全にオタ活の域を越えていたようだ。

 もしかして筋肉話しで盛り上がったの?

 早く家帰って今日のことは反省したほうがいい。


読んでいただきありがとうございます。

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