表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

鈍感白魔道士は行動する



「さっサクラ…」

…プイッ

「あっあの時はすまなかった!だから!こっこれやる!」


食堂に行くとダイチがいつものように恐々と話しかけてきたのでそっぽをむく

いつもならそれで引き下がるが今日は違った。

ダイチはなにやら手に箱を持っている。


…チラッ

気になり目線だけダイチに向ける。

「こっこれ有名なケーキ屋さんの限定チョコレートケーキだっ!さっサクラ甘いの好きだろ?」

「…!?」

よくよく見てみると半日並ばないと手に入らない王宮パティシェと噂のある有名店のロゴが入っていた。

「ダイチのやつ昨日頑張って並んでたらしいぞ。」

「この間は事故だったし、もう許してあげようよ?」

他のギルドメンバーがそう言ってフォローに回る。

「…」

「…さっサクラ…」

確かにあれは事故だし仕方がない、あの後の発言は思い出しても怒りが湧いてくるけど、やり過ぎなほどの魔法をぶっ放してしまったし…

「…わかった。」

「本当かっ!」

「…私も魔法、ごめんね?」

私はダイチの方をちゃんと向きあやまった。

「いやいややられて同然だ、あっこれ…」

「…うん。ありがとう」

そしてケーキを受け取る。

今日のデザートとして味わって食べよう。


「…いただきます」

「いただきます!」

そのまま流れでなんとなくダイチたちと一緒のテーブルにつき朝ご飯を食べはじめる。


「ダイチ、今日の依頼がお昼からだからいいけどさ…全く食べ進めてないぞ?手が止まってる」

「見惚れてごはんが進まないのでしょ?本当わかりやすいなぁ…」

「なっ!ちっ違うぞ!食べる食べる!」

「…?」

目の前のダイチが顔を赤らめてそういい食事を再開する

だが少し経つとまた手を止めてぼーっとコチラを見ている気配がしたがご飯を食べるのに夢中で私は気にしなかった。


「昼からの依頼は中止だとよ!」

そんな風にのんびりご飯を食べていると

食堂に1人のギルドメンバーがやってきてそう告げた


「いきなりだなぁ…」

「なにかあったのかしら?」


今日昼から依頼に向かうメンバーたちがざわつきはじめる。


「そういうことだから!今日は休みにするようにとハルから伝言だ。伝えたからな!」


そういうと足早に食堂から去っていくギルドメンバーどうやら他の場所にいる人たちにも伝えにいくらしい。


「…休み」

詳しいことはなにもわからないがどうやらおやすみにしていいらしい。


「今日暴れる気でいたのになぁ…」

「だったらこれから訓練所行こうぜ」

「いいな!」

そういってこの後の計画を立てはじめる人や

「えー今日なにしよう?」

「もうひと眠りしてこようかなぁ〜」

なにをしようか今から考える人など様々な反応があった。


たまにはこういうこともあるのだろう。

その時はそこまで誰も深く考えていなかった。

だが……


「聞いたかよ?」

「あぁ、俺らが受けた依頼を中級ギルドが対応したってやつだろう?」

「どういうこと?」


「またキャンセル?」

「今回で何度目?」

「2日に1回はキャンセル出てるよ。」


「依頼が受けられなくなったって…」

「なにが起きてるの?」



ギルド内で不穏な空気が流れはじめた。


事前に受けていた依頼が相次いでキャンセルとなり、新しい依頼を受けようにもギルド名を告げるとすぐにそっぽをむかれるようになった。


ハルはどうしてんだよ!

2週間過ぎた頃には依頼がゼロとなりダイチが事務所でそういった。


ダイチ、落ち着きなさいよ。

ナツが呆れたようにそんなダイチをみた


流石の危機感に3強を中心に話し合いの場が設けられることになった。

メンバーは古くからギルドに所属しているダイチ、コウ、トウマ、私、そしてなぜか新人のナツがいる。


「…?」

「なに??かわいいなぁもう!」

なんでナツがいるのか不思議に思いいつものように抱きついているナツの顔を見ると顔をすりすりと擦り付けてくる

鬱陶しい…


「ナツ、今から真剣な話をするんだからサクラから離れて席につけ」

「はーい。」

トウマがあきれながらそういうとナツは返事をし私の隣に座った。


「…えー集まってもらったのは、今の状況についてです。…ハルは今大変なことになってるらしいので、ナツ」

「はいよ、調べましたよっと!」

そういうとナツはコウに返事をすると手にもっていた資料をテーブルに広げた。


「様々な写真や予定表、履歴のメモなど多くの資料があった。」

「…この人」

私はその中にある一枚の写真を指差す。

しっかりとした服装で役人代表のような出立をしている人物。


「そうです。この間ギルドにきていた役人の1人です。そして…この人が」

そういうともう一つの写真をコウは指差した。

上品な出立の若い女性の写真だ

「役人の一人娘です。」


そういうとコウは何が起きてるか説明をしてくれた。


どうやらこの役人の一人娘がハルを好きになったらしい。

ハルと結婚したいと考えた一人娘は父親にいって護衛という名のデートの依頼をしていた。

デートとは知らず一度受けてしまったが何度も受けるわけにもいかず2回目からハルは依頼を断っていた。


だが娘を溺愛している父親はそんなハルに激怒。

権力のあった父親は様々な手を使ってギルドに圧力をかけてハルに結婚を強制しようとしていた。

どうにか話し合いで解決しようとハルは依頼を受け対応しているが一方通行

権力のある父親に目をつけられたと巷で噂になりギルドの依頼がゼロになったということらしい。


ガン!

「なんだそりゃ!!ハルなんも悪くねぇじゃねぇか!」

ダイチが机を叩きながら怒鳴った。


「本当に…調べあげた時殺してやろうかと思ったね。」

ナツはいつもの元気な声で恐ろしいことを口する


「ハルはなにも悪くありません。…ですが一言私たちに相談してくれてもいいのに…」

コウはため息混じりにそういった。


「…話しても解決できないと思ったんだろう。だから1人でかかえてる。…あいつはいつもそうだ」

トウマは眉間に皺をよせる


「…」

ハルはいつもそう、なにか大変なことがあっても1人でかかえる。

お人好しで、辛いことがあったって弱音なんて吐かない。

私たちが気がつくまでずっと…


「…ハルは今日どこ?」

「えっ?たしか…あった…今日は時計台広場でデートみたいだね。」

ナツが資料の中からスケジュール表を取り出しそういった。


「…いってくる」

「サクちゃん?」


私は席から立ち上がりると事務所から飛び出した。

「えっえっえっ??」

「トウマ!サクラが!」

コウは困惑した声を出し、ダイチはトウマに呼びかけた。

「あぁ…いつものことだ…ハルのことを助けるのは昔からサクラの役目なんだよ。」

私が去ったあとをみてトウマがそういった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ