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鈍感白魔道士お休みの過ごし方



「…ふぁ」

時計を見るとお昼をすぎたあたりだった。

今日はお休みで急ぎの予定もない。

いつもはそれでもなんだかんだとハルが起こしにくるが今日はハルは護衛依頼で朝早くから出かけているため起こされることもなくお昼過ぎまで眠ることごできた。


だけど流石にお昼、

お腹が空いて来たのでノロノロと身支度をし食堂に向かった。


「…A定食」

「はいよ!」

ギルド館の1階にある食堂に向かい日替わりA定食を頼むと席についた。


「サクラこんにちは!」

「…こんにちは」

「ご飯今から?」

「…うん」

「今日休みなの?」

「…そう」

食堂に来ていたギルドメンバーがサクラを見かけるとあいさつをしたり、話しかけてきた。

それをいつものように返していく


「…さっサクラ…」

…プイッ

だが例外もある。

「うっ…」

ダイチが恐々と話しかけて来たが顔を背けて無視

まだこの間のことをゆるすつもりはないのだ

…まぁ私もやりすぎた感はあるが…


「ダイチドンマイ…」

「お前が悪い反省しとけ」

落ち込んで肩を下げるダイチにギルドメンバーが慰めるように声をかけていた。


そんな風に過ごしていると

「A定食1人前〜」

「….ありがとう」

席に頼んだA定食がやって来た

ほかほかご飯にメンチカツとサラダ、デザートにはプリンつき

「….いただきます」

冷めないうちに食べよう。

すぐさま手を合わせてから食べはじめた。


「可愛い…」

「ほっぺが膨らんでる…」

「和む…」


食事中そんな声がギルドメンバーから言われていたが私はA定食に夢中で気がつかなかった。


「あっ!サクちゃん!」

ムギュ

食堂を出ると今から依頼に行くギルドメンバーと遭遇した。

その中にはナツがいていつものように抱きついてくる。


「…今から依頼?」

「そうなの!あぁ、サクちゃんがいないと癒しがないよ〜!」


ナツは抱きついたままほおをすりすりしてくる

鬱陶しいが放置し他のメンバーを見る

人数は5人の少人数で魔法使いや盗賊職ばかり、どこか緊張した空気感もある。


「…情報収集?」


「…サクラ、あんまり人の多いところで言わないでほしいかな?今回の任務は極秘なんだ」


1人の魔法使いが苦笑いでそう答える。

「…ごめん。頑張って」


「ありがとう、さぁ行くぞナツ!」

「いやぁーサクちゃん!私任務いきたくなーい!」

私に引っ付いているナツを無理やりはがす


「お前がいないと成り立たねぇだろ!」

「…頑張って」

私はもう一度そう告げるとメンバーの前から去った。


ナツは新人でありながら腕の立つ盗賊である。

気配を消して隠密を行わせればギルドで右に出るものはいないので情報収集や魔物狩りなのでとても活躍している


「サクちゃーーん!」

「…」

まぁ、基本はうるさいし、鬱陶しいのだが…



「あれ?サクラではありませんか。」

「…コウ」

ナツたちと別れた後先日寄った街中の武器屋に私は向かった。

お金が用意できたのであのブローチを買いに行こうと思ったからだ。

そして武器屋に入ると店員となにやら話しているコウに出会った。

「偶然ですね。買い物ですか?」

「…うん、取り置きしてたブローチ買う」

「….あー!あの時のお嬢さんか!一瞬わからなかった…あのブローチな、すぐ持ってくるよ。」

店員はそういうとお店の奥に向かっていった。


「ブローチですか?どんな効果の?」

「…魔力増加」

「いいですね!魔法を使う役職には適した魔道具です。ですがサクラならこっちもおすすめですよ?」

そう言ってコウは青色のブローチを見せて来た。

「…効果は?」

「このブローチは回復力増加の効果があるんです。白魔道士職のサクラならこちらのブローチがいいと私は思います!」

珍しい効果だ、まるで白魔道士のためにわざわざ作られたようなブローチ。

私の職なら絶対にこっちの効果の方がいいだろう、だけど…


「このブローチだね?」

店員が奥から緑色のブローチを持って来た

「…このブローチ買う」

私は緑色ブローチを指さしていった。

「なっなんでですか?」

コウが驚いたように聞いて来た。

「…色」

「いっ色が気に入らない…と?」

別に青が嫌いなわけじゃないけどトウマの瞳によく似た緑色がいいのだ。

「…うん」

「そっ………そうですか……」

「…どうしたの?」

何故か落ち込みだしたコウに店員にブローチ代を渡しながら理由を聞いた。

「…なんでも….ありません。」

「…あー、俺がコウの話聞いとくよ。お嬢さんは気にしないでくれ」

店員は苦笑いを浮かべそう言った。

「…わかった。またね。」

コウのことを気遣ってる様子の店員さんがいれば大丈夫だろう。

私はブローチを受け取ると店をでた。


「私の色が気に入らない…せっかく作ったのに…

あぁ、うんドンマイ…」

去った後そんな話をコウと店員がをしていたことをサクラは知るよしもなかった。



「ハッ!ヤッア!」

カンカン!ザンッザンッ!

私はその後ギルド館の離れにある訓練所にやって来た。

訓練所ではそれぞれの得意武器を使ってお互い手合わせしたり、的に向かって武器を当てたり、型の練習をしたりと何人かのギルドメンバーが訓練所に励んでいる。

私はそんな訓練所の1番奥の部屋に急いで向かった。


「ハッ!ハッ!ハッ!」

やっぱりいた。

そこには無心で剣を振り続けるトウマの姿があった。

トウマは元々戦士として旅をしていたがギルド内の白魔道士が不足していたのもあって職をチェンジしていた。

だけど今でも剣の修行を定期的に行っており、特に予定のない休みの日などは訓練所にいることが多い。

休憩用のベンチに座りそんなトウマの姿を見つめる

真剣な目つきでただ真っ直ぐ剣を振る

いつもの白魔道士姿とは違い、凛々しくかっこいい姿にうっとりとしてしまった。


トウマはかっこいい

優しくて時々可愛くて、かっこいいだなんて…

こんなの惚れるに決まってでしょ…

毎日惚れ直す、毎日好きの気持ちが積もる。


「ふぅ…あっサクラ、また来たのか?」

一息つくとトウマは剣を下ろしてベンチの方をみる。

そこに私がいるのに気がつくと柔らかく微笑んだ

「…うん、差し入れ」

好き!そう叫んでしまいそうになるが抑えて持っていた手提げを持ち上げる

武器屋の帰りにちょっとしたお菓子や飲み物を買ってきていた。

「ありがとう。」

トウマはそういうと私の隣に腰掛けた。

「…ん!」

私は手提げの中を取り出してまずは飲み物をトウマに渡した。

「助かるよ。」

トウマは受け取るとすぐに口をつける。

運動あとはやはり喉が渇くようであっという間に飲み干していく。

柑橘系の冷たい飲み物にしてよかった。

シュワシュワの炭酸系も検討したけど、こっちの方が飲みやすいよね。

「…ドライフルーツも」

「おっ!いいね!」

今度は買ってきたお菓子も取り出すとトウマは嬉しそうにつまんで食べはじめる


「サクラは今日なにしてたの?」

ドライフルーツを食べながらトウマはそう聞いた。

「…武器屋行ってた」

「へぇー!なにか買った?」

「…うん。コレ」

カバンから買ったばかりのブローチを取り出して見せる

「ブローチか、なにか効果ついてるの?」

「…魔力増加」

「白魔道士にはうってつけだな」

「…うん、お気に入り」

「俺も今度なにか買おうかな…」

「…今度一緒にいく?」

「そうだな、同じのあれば同じのが欲しいなぁ」

「…お揃い?」

「あぁ、お揃いだ」

トウマとお揃いで物が持てるだなんて

白魔道士の杖もお揃いといえばお揃いだけど女性用と男性用でデザインや大きさが多少違っている。

ブローチなら全く同じものお揃いとしてつけることができる

「…嬉しい」

「じゃあ、今度いついくか決めような?」

「…うん!」

トウマが微笑みながらそういい、いつものように私の頭をなでた

うっとりとその時間を堪能する

「っ…!」

「…?」

そんな時どこからか視線を感じた。

気になりあたりを見回すが誰もいない

「どうした?」

「…なんでもない。」


少し経つとトウマはまた訓練をはじめた。

それを日が暮れるまで私は見て過ごすのだった。




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